昨年12月から、50人以上の従業員を抱える事業者に「ストレスチェック」の実施が義務化されました。「うつ」などのメンタルヘルス不調を抱える人が増えた昨今、ファッション業界も例外ではありません。
昨年の夏には人気モデルのカーラ・デルヴィーニュがストレスを理由にモデル業を離れる決心をし、世間を騒がせました。彼女は弱冠23歳にして12年のモデルキャリアがあり、精神的にも肉体的にも多大なストレスを感じ続けていたことを新聞のインタビューで明かしています。
世界的にも働く環境やストレスへの対処法が重要視される中、働く人間のメンタルヘルス不調を未然に防止するために導入されたのが「ストレスチェック制度」です。具体的にどういうことが行われるのか、雇用されている側はどんなことをすればいいのか、くわしく見ていきましょう。
ストレスチェック義務化の背景
ストレスチェックがなぜ義務化になったのか?その背景には様々な理由があります。中でも大きな理由のひとつに挙げられるのが、メンタル不調の労働者が増加傾向にあること。厚生労働省の発表資料である「平成24年度 脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」によると、精神障害の労災請求件数が1,409件(前年度比152件増)と過去最多となりました。
こうしたメンタルヘルスの不調により発生する、離職率の増加や、会社のモチベーションダウン、人材不足など様々なリスク軽減のためにこのような制度がつくられたと言われています。ファッション業界においても、こうした問題に取り組む企業が増えている今、労働者一人一人のメンタルヘルスの管理が求められています。
ストレスチェックの概要について
年に1回、医師や保健師などが労働者にストレスチェックを実施
・労働者はストレスに関する質問票に記入する
・結果は本人に直接通知し、同意がない場合は事業者に提供しない
一定規模の集団(部、課など)ごとに結果を集計、分析
必要に応じて職場環境の改善を行う
高ストレスと評価された労働者から申し出があった場合の医師による面接指導
事業者は面接指導をした医師から就業上の措置の必要性等の意見を聴き、必要な措置を実施する
ストレスチェックの質問イメージとは?
国が推奨する質問票のイメージは以下のようなものになります。職業性ストレス簡易調査票というもので、およそ57問の項目で作られています。(導入方法は企業ごとに異なります。)
調査結果は「ストレスの要因に関する項目」「心身のストレス反応に関する項目」「周囲のサポートに関する項目」の3つで評価されます。結果に応じて、必要であれば医師の面接指導や相談を受けるようにしましょう。
たとえ高ストレス者と判定されなかった場合でも、現代社会で働いている人は多かれ少なかれストレスを感じているもの。
ストレスチェック制度に関わらず、自分の仕事を円滑に遂行するためにも「自分は大丈夫」と過信せず、ストレスを溜め込む前にうまく発散させ、上手に仕事と付き合っていくことが大切ですね。