世界のファッションショーから国内のアパレル産業、小売業などファッションにまつわる情報をタイムリーに伝えるファッション週刊紙「WWDジャパン」が今年も、2015年12月14日（月）、ファッション業界と学生をつなぐ1日限りのファッション・カレッジを開校。（2014年のレポートはこちら）
これからファッション業界で働きたい方に向け、今回のテーマ「幸せに働くために」についてや、業界で働く為の心構え、就職活動のポイントなど、多くのゲストによって語られました。
多くの受講者で賑わいをみせたイベント当日の様子をレポートします！
ファッション業界で「幸せ」に働く
1回目のレクチャーではイベント当日に発売されたWWDジャパンの特集「『幸せ』に働くってナンだろう？」を担当した編集長代理兼ファッションニュース編集長村上氏と、編集記者藪野氏が登壇。テーマになったのは、この特集をつくるきっかけとなった“ファッション”と“働くこと”の調和について。
「ディオール」のラフ・シモンズや、「バレンシアガ」のアレキサンダー・ワンの退任劇から、多くのデザイナーが抱えているであろう過酷なコレクションスケジュールを議題にレクチャーはスタート。ラフ・シモンズの退任について藪野さんは、「年8回のコレクションでおよそ400体以上のルックを手がけていた。ハードワークが原因では？」と指摘。
現代のデザイナーに求められる仕事の量や長時間労働など、ファッション業界全体の課題が浮き彫りとなる昨今。世界で活躍するファッションデザイナーの中でワークライフバランスの両立が出来ていることで有名なセリーヌのフィービー・ファイロや、サンローランのエディ・スリマン、サカイの阿部千登勢などを例に、両立の可能性について語った。
村上氏は、「サカイ」の阿部千登勢の影響を受け、校了以外のほぼ毎日18時退社を3年間続けているそう。自分の生活に彼女たちの働き方を取り入れてみることで見えてきた「働き方に対する考え方」は、12月14日発売のWWDの紙面にも取り上げられている。
ファッション業界の多様性
続いてのレクチャーでは、「Numero Tokyo」エディトリアル・ディレクターの軍地彩弓さんと「WWDジャパン」編集長の向千鶴さんが登壇。「ファッションにできること。ファッション業界の多様性」をテーマに、軍地さんが現職に就くまでの経緯や、これまで手がけてきた媒体の年表をもとに80年代〜現代への業界の変遷期について語った。
「女性の思考の変化はメディアと連動している」と向編集長。軍地さんが女性の変革期に手がけた雑誌「グラマラス」は女性にとって非常にセンセーショナルだったと話す。当時のことを軍地さんは“女性の自由解放宣言”と言い、女性の生き方を根本から自由にしていきたかったとコメント。
内容の濃いレクチャーの最後には「ファッションはプラットフォームになっていく。ファッションや雑誌はオワコン、と言われる時代かもしれないがそれがチャンス。これから就職をする人は、ファッション業界の変革をしていく人。90年代以降のデジタルマインドがある人がこの業界を変えていく」と締めくくった。
ファッション業界の先輩方が語る「あの時の自分、今の自分」
「ベイクルーズ」、「アダストリア」、「アクセ」の3社から現役で働く3名の先輩ゲストが登壇し語ったのは、仕事のやりがいや、一番苦労したこと、これからの目標など。当日は3社の説明会も開催されており、注目の企業の先輩方の声を聞きに会場には多くの学生で埋め尽くされた。
入社2年目のファッションアドバイザー、入社6年目のアシスタント・マネジャー、12年目でエリア統括マネジャーなど経歴は様々。“ちょっと先輩”から“すごく先輩”までのリアルな声に会場ではメモを取る学生や頷く姿が多く見られた。
後半では、「今、販売のプロにはどんな人材が求められているのか」をテーマに、元LVMHモエヘネシー・ルイ ヴィトン（LVMH）の人事部長のリュックス・アドバイザリー・ジャパン社長遣田氏とワールド・モード・ホールディングス社長兼iDA社長の加福氏が、販売の重要性をテーマに登壇。
「人事部＆『WWDジャパン』がジャッジ！良い面接＆悪い面接」のレクチャーでは、毎年ファッション業界の人気企業ランキングで上位のオンワード樫山とエイ・ネットの人事担当による、「良い面接」と「悪い面接」についての講義がありました。いくつかの想定質問を元に人事担当として質問する狙いを明かした。
アダストリア、ベイクルーズ、ユナイテッドアローズなど注目企業の就職相談ブース
レクチャーのホール外の会場では「アダストリア」、「アクセ」、「ベイクルーズグループ」、「IDA」、「マッシュホールディングス」、「ユナイテッドアローズ」6社の就職相談ブースが設けられ、ファッション業界を目指す学生達が真剣に話を聞く姿が見られた。
今年も大盛況で幕をとじた「WWDジャパンファッションカレッジ2015」。これからファッション業界で働くことを目指す人はもちろん、既に業界で働く人にとっても非常に得るものが多いイベントでした。2016年の開催にも注目です！
