アパレル・ファッション業界の求人・転職ならFashion HR

記事一覧

「女性活躍推進」によって、これからの働き方はどう変わる?

 

WORKINGWOMAN

2015年8月28日「女性活躍推進法」が成立しました。2016年4月に施行となるこの法律は、内閣が掲げた”2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標”へ向けた取り組みでもあります。

ファッション業界には多くの女性が働いています。様々な企業で施行に向けた取り組みがスタートしている一方で、まだ認知が低いとされている「女性活躍推進法」。皆さんは自分の会社で行われる取り組みがどんなものか、知っていますか?

そもそも「女性活躍推進」とは何か、女性が活躍するメリットや企業での実例など、数々の企業コンサルティングを手掛ける株式会社イマージョンのシニアコンサルタント伊藤弘子さんに、女性活躍推進に必要なことや、これからの働き方についてお話を伺いました。

「女性活躍推進」が必要とされる背景とは?

女性活躍推進法が成立された背景には一体どんなものがあるのか?一般的とされている背景を挙げていただきました。

女性の活躍が必要とされる一般的な背景には、主に4つのものが挙げられています。

1つ目は、市場における女性の購買層の増加です。例えば、自動車の最終購買決定者は世界的に見ると、女性がおよそ70%を占めるなど購買決定者のほとんどが女性です。

次に挙げられるのは「2030年問題」とも言われる労働人口の減少。結婚や出産を機に退社してしまう優秀な女性が多いことから、女性の人材確保はとても重要な課題です。

3つ目は、グローバル化の現代で必要とされる、社会進出における男女格差を表す『ジェンダーギャップ指数』の水準が日本は142カ国中、104位であること。これは先進国としては下位の結果です。

そして最後に挙げられるのが、女性自身のライフスタイルの変化です。昔に比べて女性のライフスタイルや考え方が大きく変わっていること。これも大きな背景となっています。

 

zuhyo01-02-09
出典:内閣府男女共同参画局

このような表を見ると、世界的にも日本は管理職の女性の割合が低いことがわかります。では、女性活躍推進に取り組むことによって、会社にはどんなメリットがあるのでしょう。

女性活躍推進に取り組むことによる一番のメリットは、管理職や指導的立場の女性が増えることです。日本では、2013年の雇用均等法調査によると課長相当職の女性が6%しかいないことが分かっています。

また、女性の管理職が一人もいない企業の割合はおよそ44%にものぼります。

実際に女性活躍推進に力を入れている企業では、女性が活躍する職場をつくることで、社員の満足度が上がります。社員の満足度が上がるとサービスの向上につながり、それがお客様満足へとつながり、最終的に利益の向上へとつながるケースが多く見られます。

長時間労働は、女性活躍推進での大きな課題

女性活躍推進を実施しながらも、成功にいたらないケースも多いようです。うまくいかない組織には、どんな問題があるのでしょう。そこには日本特有の文化による課題が見えてきました。

会社でいくら女性活躍推進を掲げていても、結局は会社のトップや経営陣が本気になって取り組まないとうまくいかないケースが多いです。取り組みが名ばかりで持続していかないのは、うまくいくはずがありません。取り組んでいたとしても、女性の管理職が形だけ据えられている場合もあります。

さらに、昔から根付いてきた働き方や考え方を変えていくことが重要です。特に日本では長時間労働が大きな問題で、例えば東京で夜の22時過ぎに電車に乗ると仕事帰りの人々で混雑していますよね。長時間労働を是正していかなければ、子供がいる女性や、家事をする女性にとっては非常に働きづらい環境だと思います。

『長時間働くことが美学』という文化も日本独特のものですが、仕事が終わってもなかなか帰らないような上司を見ていると昇進したいという意欲は低くなるでしょう。

女性自身も意識改革を

女性自身の意識改革も大きな課題です。2015年2月、正社員を対象に実施された内閣府調査によると「今の会社で昇進したいか?」という問いに対し、男性が42.8%だったのに対して女性が25.7%と低い水準となっています。こうしてみると、女性はまだ社会において自分の評価を低く見ているところがあります。

女性の自己評価が低い原因には、周りからの間違った気遣いによる影響もあります。例えば「女性だからできないだろう」や、「この仕事は嫌がるかな」というような過度な配慮によって、女性は「自分は期待されていないんだ」と思い込んでしまうのです。

最後に、伊藤さんは興味深いデータをもとに”なぜ女性の昇進願望が低いのか”を解説してくださいました。

「女性が昇進したくないと思う理由」

1位 長時間勤務でワークライフバランスが崩れそうだから
2位 自分には向いていないから
3位 役割に見合った収入が得られそうにないから
4位 ロールモデルとなる管理職がいないから
5位 役割や責任が重くなるのは嫌だから

多くの女性が昇進したくないと思う理由の上位に「長時間労働でワークライフバランスが崩れそう」と答えています。ワークライフバランスを保ちながらも、やりがいを感じられる。そんな働き方がこれから必要となってくるはずです。女性活躍推進の取り組みには、長時間労働の改善を一緒に行う必要があります。

まだまだ日本では実現に向けて、多くの課題がある女性活躍推進の取り組み。長時間労働が少なくないファッション業界では、今後どのような取り組みが行われていくのでしょう。ただ目標数値を達成させるためのものではなく、誰にとっても働きやすい環境づくりをしていくことが今後の課題になりそうです。

今回お話を聞かせてくれた方

株式会社イマージョン シニアコンサルタント 伊藤弘子

株式会社イマージョン シニアコンサルタント 伊藤弘子

大手コンサルタント会社に25年勤務、アメリカにて能力開発やデベロップメントを研究。専門分野はパートナーシップおよびチームのマネジメント、メンタルヘルスマネジメント。

 

アパレル業界特化型転職・求人サイト
Fashion HRはこちらから

 

Fashion HRはファッション・アパレル業界に特化した求人情報サイトです!

FHR_top

ショップスタッフや店長などの販売職から、PR、MD、VMD、営業、総務/経理、秘書、ロジスティックスなどのバックオフィス職まで、外資系ラグジュアリーブランドから国内有名ブランドまで求人情報を多数掲載中。早速、会員登録をして求人をチェック!

   
無料会員登録する

記事一覧