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パート・アルバイト戦力化のプロに聞く、非正規雇用をとりまく現状と課題

働き方研究所アイキャッチ

 

 

パート、アルバイト、契約社員、契約職員、派遣社員と呼ばれる雇用がいわゆる非正規雇用です。現在、厚生年金の短時間労働者への適用拡大など、非正規雇用をとりまく環境が変化しようとしています。そのような状況を把握し、自分にとってのベストな働き方を考えていかなければなりません。

今回は株式会社働きかた研究所の代表取締役を務める平田未緒さんに、”非正規雇用をとりまく現状と課題”についてお話をお伺いしました。

多様化する非正規労働者の“今”

―非正規労働者を取り巻く現状について教えて下さい。

非正規労働者は年々増加しています。しかも単なる増加ではなく、多様化しています。例えば20年前の非正規雇用者の中心は、主婦パートや学生アルバイトなど補助的収入を得る人がほとんどでした。でも近年は、学校卒業後、正社員として就職できずフリーターになった人や、リーマンショックで正社員の職を失った人、育児や介護などでフルタイム勤務や残業が難しい人たちなどが、非正規労働者として再就職するケースが増えています。

 

 

パートアルバイト戦力化のプロに聞く©働きかた研究所

―非正規社員の社会保障制度についてはどうでしょうか。

そうした非正規労働者の社会保障制度に、近年着目すべき動きが生じています。このうち、すでに変更が決定しているのが、厚生年金の短時間労働者への適用拡大です。

現在、厚生年金には、同じ職場で働く正社員の4分の3以上働いている人が加入することになっています。ところが2016年10月以降、法改正により、大企業で週20時間以上働く年収106万円以上の労働者も加入することになったのです。

これは、主婦パートにとって、たいへんに大きな制度変更です。従来主婦に対しては「あまり働かないほうが有利」とも言えた社会保障制度がありました。そうした制度が変更となり、その恩恵に浴することのできる主婦パートが、制限される方向での変化が生じているのです。

ワーキングマザーへの影響は?

―厚生年金の短時間労働者への適用拡大が、主婦パートのに及ぼす影響は?

そうした変化を、大手スーパーで働く主婦パートAさんを例にご説明しましょう。

Aさんの夫は、会社員。厚生年金の被保険者です。妻であるAさんは、夫の被扶養者として自ら保険料を納めることなく厚生年金・健康保険に加入していました。その際、自分の年収が130万円以上になると、夫の扶養をはずれ、自ら厚生年金または国民年金に加入することになるために、自ら就労調整を行い年収は120万円程度に抑えてきました。時給1000円で週25時間働くことにより、いわゆる「130万円の壁」を超えないようにしてきたのです。

ところが前述の改正法施行後は、今まで同様週25時間働けば自ら厚生年金に加入することになってしまいます。Aさんは今後、「週の労働時間を20時間未満にすることで、第三号被保険者であり続ける」か、「いっそもっと働くか」、判断に迷っています。

―税金についても見直しがあるのですか?

同様に、主婦に対する税制上の優遇措置も、見直しが検討されています。具体的には「103万円の壁」と言われるもので、現在、主婦パートの年収がこの額を超えなければ本人の年収に所得税がかかりません。さらに夫の所得に対しては「配偶者控除」が適用されますが、2015年度の税制改正大綱に「(配偶者控除を含む)各種控除や税率構造の一体的な見直しを丁寧に検討する」とすでに記されているのです。

こうした環境の変化に応じ、働き方を変える主婦パートも出てくるかと思います。

 

社会保障制度
出典:日本経済新聞

 

―とくにファッション業界で働く人の変化を教えてください。

今、働く人は多様化しています。冒頭で紹介した非正規社員だけでなく、正社員の働きかたも多様化しています。特に女性労働者の多いファッション業界は、その傾向が顕著です。

例えば正社員で働いていた女性が出産し、育児休業後に短時間勤務で復職した場合、その働き方は従来の「フルタイム正社員」のそれとは異っているわけです。そうなれば当然、企業側が行うべき、雇用管理も変わってきます。かつての「フルタイムで働き、かつ残業もでき、転勤もできる」正社員を基準にしたものから、「短時間」だったり「勤務地限定」の正社員も念頭においたものに、変えざるを得なくなっています。

そうした、多様なニーズをもった社員との「相思相愛」を考えることが、企業力を高めることでもあります。

―平田さんがおっしゃる「相思相愛」とはどういった状況ですか?

企業側、あるいは上司が働く側、あるいは部下に対して「あなたに働いてほしい」「働き続けてほしい」と明確に伝えていること。そうした思いを感じた働く側あるいは部下が、その思いに応え「この会社で働きたい」「働き続けたい」と思っている状況です。「相思相愛」は、雇用形態に関わらず、すべての働く人に定着してもらい、その力を引き出し、活躍してもらうための成功法則です。これを、現場に落とした実務ノウハウを私は、企業経営者や人事担当者にお伝えし、雇用管理改善のお手伝いをしています。具体的なポイントは3つ。「働きやすさ(勤務時間の柔軟性)・処遇」「やりがい・自己成長」「コミュニケーション・参加・参画」す。パート・アルバイトの場合、特に「働きやすさ」が重要です。

これらのポイントを抑えたマネジメントによって、「あなたに働いて欲しい」という思いを伝えることが、社員の活躍を大きく後押しします。このことが、結果的に売上アップにつながるのです。

 

成功実例の共通点©働きかた研究所

―ファッション業界で、パート・アルバイトからスタートし、自分の望む働きかたを手に入れた方の事例を教えてください。

人気ファッションブランドの地方店舗にパートで入社し、その後、契約社員、正社員になり、ついには都内大型店の店長に登用されたという女性もいます。「パート労働者キャリアアップ支援サイト」のキャリアアップ事例では、パートからスタートしてキャリアアップに成功した方々のインタビューが掲載されていますので、とても参考になると思います。
キャリアアップ事例

 ファッション業界で大切にしたいこれからの仕事の選び方

―相思相愛になれる会社の選び方、仕事の探し方のポイントを教えてください。

あなたが誰かと相思相愛になりたい場合、相手は誰でもよいでしょうか? 違いますよね。会社選びも同じです。

まずは、自分は何のために働くのか、仕事に何を求めているのかといった、自分なりのこだわりポイントを明確にすること。ゆずれるもの、ゆずれないもの、またその優先順位を決めることです。その上で、応募する企業を探すときには、求人広告に載っている情報だけでなく、その会社の情報をできるだけ多く集めます。例えばその会社のホームページを探し、より詳しい採用情報をチェックします。採用情報がなくても、どんな人が働いているかなど、垣間見られる場合はよくあります。一番いいのは「応募してみる」ことです。その後面接になったら、自分から質問をしてみてもいいですし、会社の雰囲気や、他の社員の様子などもわかるでしょう。

そうやって、自分が求めているものがその会社で得られるのかを、見極めることが大切です。自分に合った良い仕事を探すには、自分から動くしかありません。よい仕事は、単に待っていても、簡単に降ってはこないのです。

―パートやアルバイトなど短時間からの仕事復帰を検討中の方にメッセージをお願いします。

ファッション業界でこれからも、しっかり仕事をしていきたいなら、単に時給の高さや、家からの近さ、勤務時間が短いこと、などだけを理由に会社を選ばないようにしましょう。働く時間に制約がある場合は特に、これらももちろん会社選びの重要な要素です。

しかし、目先のことだけを考えて刹那的に仕事を選ぶと、将来のより充実した仕事人生につながらない可能性があります。そこでお勧めしたいのが、「数年後、どんな人生を歩んでいたいのか」という視点で、応募先を見てみること。例えば「時間の拘束度は強めだけれども、パートにも社員教育をしている」であれば、子どもは小さいうちはキツいかもしれませんが、その分スキルアップできます。また、短時間勤務であっても、会社への貢献意識を持って、できることは自ら進んでやってみる、一歩踏み出してみる、姿勢も大事です。

そうした小さな行動が積み重なって、新しいステージに上がっていけるのだと思います。

今回お話を聞かせてくれた方
株式会社働きかた研究所
代表取締役 平田未緒
株式会社働き方研究所 代表取締役 平田未緒
2013年に株式会社働きかた研究所を設立、「企業に対するパート・アルバイト活用支援」を実施する。各種公的委員会・研究会の委員も務めるほか、各種専門誌への執筆、講演も多数。著書に『パート・アルバイトの活かし方・育て方(PHP新書)』などがある。

text : Lina Ono(Rhythmoon

 

いかがでしたでしょうか? 将来のより充実した仕事人生を見越しながら、「相思相愛」の会社で働き方を考える。
自分にとって何がベストなのかを自分の足で動いて考えてみることが、よりよいキャリアを手にいれるための第一ステップなのかもしれません。

 

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