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産休・育児休業の実際とは?ファッション業界を代表して社労士さんに訊いてみました

こんにちは。突然の登場、失礼します!Fashion HR編集部スタッフのさくらこです。
女性が多く活躍をするファッション業界、私自身も20代後半を迎え、同世代の友人と将来の話をすると必ず出てくるのが「このまま仕事を続けながら、子どもを授かることはできるのか?」という話題です。今回はファッション業界に関わる働く女性を代表して、ファッション業界での就業経験を持つ「ドリームサポート社会保険労務士法人」の社労士 大野ゆかりさんに、産休・育休に関してのお話を詳しくお伺いしてきました。

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労働基準法で定められている「産休」と、育児・介護休業法で定められている「育児休業」の制度

―まず初めに「妊娠した!」と分かってからの流れを教えてください。

大野 ゆかりさん(以下、大野):タイミングは人それぞれですが、まずは上司に妊娠したことを相談することからでしょうか。大事な決断として、出産後も「働く」のか、「働かない」のかを決める必要があります。「働く」という選択した場合は、産休→育児休業→復職というステップを踏んでいくことになります。

ちなみに「産休」とは、労働基準法で定められた制度で、出産予定日の6週間前からは産前休業、そして出産の翌日から8週間は産後休業を取得することができる制度です。産前休業は任意ですが、産後休業は必ず取得することが決められています。産後休業に関しては、6週間を過ぎれば、本人が請求し、医師が認めた場合に限り、就業が可能です。

「育児休業」とは、育児・介護休業法で定められた制度で、子供が1歳になるまでの間で希望する期間、育児の為に休業することができます。但し、取得出来る要件が決まっています。(復帰前に保育所が見つからなかった場合など、子供が1歳6か月になるまで、延長出来る事があります。また、「パパママ育休プラス制度」といって、父母ともに育児休業を取る場合、期間を1歳2ヵ月まで延長できるという制度もあります。)

話を戻しますが、反対に「働かない」と決断した場合は、いつ退職をするのか時期を決める必要があります。退職をするタイミングなどによっては、「出産手当金」などの給付が変わってきます。

出産や育児に際し、貰うことができる3つの「給付金」- 出産手当金・出産育児一時金・育児休業給付金

―「出産手当金」が貰えるんですね。出産や育児に際して貰うことができる「給付金」に関して詳しく教えて頂けますか?

大野:まず出産や育児に関わる「給付金」には3種類あります。

  1. 出産手当金
  2. 出産育児一時金
  3. 育児休業給付金

の3つです。【1】と【2】は健康保険に加入していること、【3】は雇用保険に加入していることが前提となります。

「【1】出産手当金」とは、産休中に給与が支給されていない場合に、健康保険から1日につき給与(社会保険の標準報酬日額)の2/3が支給されます。給与が支給されていても、その金額が出産手当金の額より少ない場合、その差額が支給されます。上で述べたように、出産手当金は退職をするタイミングに左右されるので、産休前に退職した場合は、受給することができません。
「【2】出産育児一時金」とは、出産につき一定の金額が健康保険から支給されます出産をした医療機関が「産科医療補償制度」に加入していれば、新生児1人につき42万円、未加入の場合は40万4000円が支給されます。出産した新生児の人数に比例するため、双子の場合は受給額が2倍となります。また健康保険組合によっては、給付に付加金がつく場合もあります。

「【3】育児休業給付金」は、育休中、お子さんが1歳になるまで(場合によっては1歳半まで)、給付金を受取ることができます育休開始から180日までは休業開始時賃金日額×67%、180日経過後は50%が支給されます(※平成26年4月1日以降に育児休業を開始した方の場合)。ただし、休業中の給与が、休業開始時の賃金日額の80%未満であることが支給要件です。

産休に入る前でも、妊娠中の病気で仕事を休むこととなり、お給料が出ないといった場合に「傷病手当金」が支給される制度や、帝王切開などで医療費が高額だった場合「高額医療制度」で支払い上限を超えた額が払い戻される、などといった給付金制度があります。

―毎月、給与からさまざまな税金が引かれていますが、こちらは産休、育児休業中も負担をする必要があるのでしょうか?

大野:産休、育児休業に該当する期間は、社会保険料が免除されるため、健康保険、厚生年金保険など各種の負担は無くなります(但し、会社が申出をしないと免除されません)。しかしながら、住民税は免除がありませんので、会社が立て替えている場合は会社に返金することになります。

条件を満たしているのに、産休・育休の取得を認めないことは、法律上NG

―将来的に「子どもを授かりたい」と考えている同世代の女性から「今勤めている会社に産休や育児休業を取得する人がいない」「産休や育児休業を取得した前例がない」という悩みを良く耳にするのですが、会社の福利厚生によって制度は異なるのでしょうか?

大野:「産休」はお子さんを出産する方であれば、どなたでも取得をすることができるものです。また「育児休業」は、取得するのに無条件では無い場合もありますが、男女とも取得可能です。 期間雇用(契約社員・派遣社員・パート・アルバイト)の場合は、取得に一定条件を満たしている必要があります。但し、条件を満たしているのに、会社が産休・育休の取得を認めない、というのは法律上NGです。詳細を確認したい場合は、会社の人事や総務の方に確認して頂くのがいいと思います。

また、お子さんが3歳になるまでは、法律で定められた「短時間勤務制度」の元、時短で働くことが許されています。企業によっては、お子さんが3歳以上になっても、条件を満たせば時短が適応されるなど、別途独自に時短勤務の制度を定めている企業もあります。こういった制度に関しては、就業規則に記載されているので、確認してみても良いと思います。もちろん、時短勤務をした場合は、給料も按分されるので、ご注意を。

―例えば、産休・育児休業明け、復職をすることが難しいと判断して、離職する決断をした場合、何かペナルティはありますか?

大野:特にペナルティはありません。子育ての諸事情で、復職すること難しくなることもあるでしょう。ただし「育児休業給付金」は職場復帰を前提とした給付なので、休業取得時に退職が確定(予定)している場合、支給の対象となりません。

―最近、ウェブなどで「マタハラ」という文字をよく目にするのですが、マタニティハラスメントがあった場合の対処法はありますか?

大野:会社に相談窓口があればいいのですが、そういった窓口が無い場合には、人事や総務に時間を作ってもらいましょう。それでも、解決出来ない場合は、労働局の雇用均等室、労働基準監督署、弁護士等の専門家に相談をすることも可能です。お一人で悩まずに、専門家に相談してみてくださいね。

―最後にファッション業界の方への産休・育児休業取得時のアドバイスをお願いします。

大野:職場のみなさんには、話せる段階で早めにお伝えするのがいいと思います。店頭で働いている方も多いと思います。お休みは法律上の権利ではありますが、長ければ1年以上も会社を休むことになります。産休・育休を取得する方も、される方も、お互いに譲り合いの精神を持ち、理解しあう事が大切ではないでしょうか。職場の仲間や会社との関係性を良くしておくことで、気持ちよく職場復帰する事が出来るのではないかと思います。

―給付金や法律で定められている事項など、知らないことも多く、将来に活かすことができそうです。ありがとうございました!

※こちらは2015年4月21日現在の情報です。
法律の改正や各企業で定められた制度によって、取得要件や期間、金額などに相違がある場合があります。

今回お話を聞かせてくれた方
ドリームサポート社会保険労務士法人
特定社会保険労務士/産業カウンセラー/キャリアカウンセラー 大野 ゆかりさん
大野 ゆかりさん

外資系映画会社を退職後、社会保険労務士資格を取得。アパレルメーカーの人事総務で採用・手続き等を経験した後「おおの社労士事務所」を開設。4月に設立された「ドリームサポート社会保険労務士法人」の設立に参画。

 

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