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空気を読まない突破力が未来を作る!? ファッション業界の第一線で活躍する軍地彩弓さんと千原徹也さんが語る「FASHION CREATIVE 東京会談 Vol.1」レポート

ファッションクリエイターをサポートするクリーク・アンド・リバー社 ファッションクリエイター・エージェンシー主催のイベント「FASHION CREATIVE 東京会談 Vol.1」が2015年1月29日(木)に開催されました。ゲストは「VIVI」や「Glamorous」などのファッションライターや編集を経て、現在は「NumeroTOKYO」のエディトリアルディレクターのほか、自身の会社「gumi-gumi」を主宰する軍地 彩弓さんと、ファッショングラフィックを中心にWebや雑誌、空間をデザインするアートディレクターであり、デザインオフィス「れもんらいふ」代表の千原 徹也さん。第一線で活躍されているお二人の貴重なお話を伺うべく、Fashion HR編集部も会場にお邪魔させていただきました。

ユーザーがものの価値や値段を決める時代に作り手が考えるべきこととは? これからのファッション業界はどうなる? お二人がまさに体感されている業界の今とこれからを対談から紐解いていきます。

FASHION CREATIVE 東京会談

司会:「今日はよろしくお願いします。まず最初に、お二人の関わりについて教えていただけますか」

軍地さん:「千原さんと初めて一緒にした仕事は、『VOGUE GIRL』の創刊号でした。ビューティページだったんですが、千原さん、太田莉菜ちゃんの顔にすごい落書きを描いたんです。ビューティページで、モデルの顔に落書きをするなんてあり得ない!その時はいろいろと物議を醸したんですが、やっぱり、そこに千原さんの面白さがあって。私も今までにないビジュアルを作りたかったので、とても面白い体験でした」

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千原さん:「そうでしたね。僕も思い出に残っています。ちょうど独立して会社を作ったばかりで、これから自分がどういうスタイルでいこうかと考えていた時でした。チャレンジングな仕事でしたが、あの経験が今の千原スタイルにつながっているかもしれません」

軍地さん:「たしかに。千原さんと言えば、ハンドライティングとか、ロゴタイプというイメージがありますね」

「誰に対して何を訴えているかを描けている人は、クリエイションにも筋がある」

司会:「今回のテーマは、『ファッションの未来をみなさんで考えましょう』ということで、そもそもお二人が”ファッションクリエイティブ”に対して、どういった価値観を持っているのかを事前にお聞きしました。

軍地さんは「売れないものはクリエイティブではない」
千原さんは「人にやさしく」

これについて詳しくお聞かせいただきたいのと、ズバリ成功するクリエイティブとは?というところをお話いただけますか」

軍地さん:「ガールズカルチャーを作ってきた『VIVI』では、やはり売れることがすべて。売れないものは退化してしまうんです。どうしたら売れるだろうか、売れるものをどうやって作るかを考えられる人が、クリエイティブの本質を分かっている人なんじゃないかなと思います」

5051_2デザインオフィス「れもんらいふ」代表 アートディレクターの千原 徹也さん

千原さん:「僕はクライアントからの依頼で仕事をするので、その辺はいつも攻めぎあいですね。ロゴを大きくしたら売れるけど、デザイン的にはカッコ悪い。だから、ロゴを大きくしないで売れるものを考えなくちゃいけない。自分のエゴで仕事をせずに、相手がどう思うかをいつも考えます

軍地さん:「そうそう、売れるものを考えるときは、“人のことを考える”のがベースですよね。それが人にやさしく、というのと通じるのかも。雑誌の場合、雑誌を出したことが終着点ではなく、読んだ人がその次は何を買いたくなるかを考えてつなげていくことが大事。誰に対して何を訴えているかの像をしっかりと描けている人は、クリエイションにも筋が出てきますよね。それで仕事が次に繋がっていく、という印象があります」

自分に自信がある分野だとついつい自分の価値観やエゴで仕事をしてしまうことってあるかもしれません。でも、やはり、誰に対して何を訴えているのか、相手がどう思うのかを明確にすることが成功するクリエイションの鉄則といえそうです。

これからは “クオリティ”、“クリエイティビティ”、“エシカル”の時代

司会:「次に、最近注目されているファッション業界の傾向や事象について教えていただけますか」

軍地さん:「今まではパリやミラノなどでコレクションがあり、そこからファッションの情報やトレンドが発信されていましたが、今は、ユーザーがものの価値を決める時代。『これ、可愛いですよ』とおすすめしても、同じようなものがもっと安く買えることが、調べればすぐにわかってしまう」

千原さん:「SNSの存在は大きいですよね」

軍地さん:「そう、うそをついている広告はSNSなどですぐに暴かれちゃうので(笑)。広告の立ち位置も難しくなってきてますよね」

千原さん:「今、インフルエンスムービーが、すごく話題になっていて。Webでバズるムービー、泣けるムービーを考えて欲しい、と求められることも増えてきました」

5051_4『NumeroTOKYO』のエディトリアルディレクター、「gumi-gumi」代表の軍地 彩弓さん

軍地さん:「今までの広告は“無いもの”に価値を作ってきたけど、どうやって本質に近づけるか、がこれからは大事なのかも。先日、あるブランドの方と話をしたんですけど、今、京都の職人さんが作った10万円近くもする1点ものの革バッグがものすごく売れてるんですって。ブランドでなくても、正直にものづくりをしていて、そこにストーリーがあって、価値を感じることができれば、高くても売れるんです。その方は、これからは “クオリティ”、“クリエイティビティ”、“エシカル”が大切と言い切ってましたファッション業界でも二極化が進んでいって、中途半端なものはどんどん売れなくなっていくと思います

SNSという存在によりユーザーが情報をすぐに得ることができ、ものの値段を決める時代だからこそ、もの作りにストーリーがあり、価値あるものを正直に作ることが「売れる」に繋がっていくというのは、とても興味深いお話でした。

人と会い、新しい情報に触れる機会を積極的につくることが大事

司会:「それでは最後に、仕事の発想のヒントを得るためにされていることがあれば教えてください」

軍地さん:「発想は人。人からもらう情報がすべてなので、いろんなジャンルの人と知り合うようにしています。今の若い世代の子たちって、SNSがあるから、人と知り合う力は長けていますよね。」

千原さん:「そうなんです。僕たちの時代の常識が通じなくなってきていて、次元を超えたところで、繋がっていくんですよね。友達同士で仕事を作っていくスタイルも増えてきてますし」

軍地さん:「最近インタビューした新鋭アーティストも、自分中心にものを作ることを考えてないのが印象的で。1人で頑張らずに、同じセンスを共有している仲間と作るのが心地よい、それが海外で認められて、ポンと賞をとっちゃうみたいな。空気を読まないクリエイティブの突破力を感じますね

千原さん:「そこに我々もなんとかしてついていかないと(笑)」

軍地さん:「でも千原さんは、まさにその突破力があるんですよ。縦書きとハンドライティングと日本語フォントっていう、人がやらないことをやって。たった3年でこんな大きな仕事ができるようになっているんだから」

千原さん:「一発屋芸人のようにならず(笑)、ていねいに仕事をして、次につなげていくことが今の僕の目標です。あと僕は、発想のヒントを得るために、チームで本屋にこもったりします」

軍地さん:「意外とアナログなんだ(笑)」

千原さん:「そうなんです。忙しいので、普段雑誌もなかなか読めなかったりするんですが、周りのスタッフにも情報をインプットしてもらいたいので、月に1回、みんなで代官山の蔦屋書店に行って、好きな本を持ってきて、2階のラウンジでお茶を飲みながらひたすら読む。それをやると新しい情報が入ってきて楽しいんです。そういった体験の場を作らないと、なかなか脳みそに入っていかないんですよね」

軍地さん:「『体験』はこれから大事になってくるキーワードのひとつだよね。今までは、これが流行ったら次はこれが来る、というようなセオリーがあったけれども、今はそれがない。そういう時代からこそ、会社やMDというこれまでの概念をはずして、ユーザーとコミュニケーションをとりながら洋服づくりをした方がいい。発想を変えていくことも必要かなと思います」

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軍地さん:「あと、『DECODED Fashion』 という海外の面白いサイトがあって。ここでも書かれているように、今ファッションに必要なのは、お金とインベンターなんですよね。それで、作ったものが面白ければSNSで一気に広まる。日本でもこうしたファッション系のスタートアップがもっとうまれていくべきだと思います」

この後、質疑応答なども行われ、ファッションの第一線で活躍するお二人の目線から語られるクリエイティブの今と未来について、リアルで貴重なお話を伺うことができました。会場との距離も近く、参加者のみなさんは興味深く、お二人のお話を聞かれていたようです。

面白いものを作って、しっかり発信することで繋がり、突然賞を獲ってしまうようなクリエイションの突破力、その反面、確かな技術と正直なもの作りが作り出す価値の大切さ。そして、情報があふれる時代だからこそ、「もの作り」+「発信をする力(IT)」が求められ、そこから新しいファッションの可能性がどんどん湧いてくるのですね。

今回お邪魔させていただいたイベント「FASHION CREATIVE 東京会談」は、今後もさまざまなゲストをお迎えして開催されるとのこと。詳細情報はクリーク・アンド・リバー社ファッションクリエイター・エージェンシーのウェブサイト「SOW.TOKYO」でチェックしてみてくださいね。

こちらの記事は
Fashion HR編集部が執筆いたしました
Fashion HR

Text Miyuki Hayashi (Rhythmoon)

 

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