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「ヒューマンエレメント」― 人としてやるべきことを追求する | ルイ・ヴィトン松屋銀座店 ストアディレクター 伊藤大さんインタビュー


伝統に裏打ちされたクラフツマンシップ、革新的なデザイン性、洗練された空間デザイン。トップブランドとして、すべての要素において常に高いクオリティを提供するルイ・ヴィトン。今回は、ラグジュアリーブランドが立ち並び、海外からのビジターも集中する銀座エリアにある、松屋銀座店でストアディレクターを務める伊藤大さんへインタビューを実施。トップブランドストアのマネジメントを担う伊藤さんの仕事術に迫ります。

人との関わり合いにフォーカスしてキャリアを構築

−−ルイ・ヴィトンに入社したきっかけをお聞かせください。

入社したのは2006年の12月16日で、今年で13年になります。前職もリテールに従事していましたが、さらに大きいステージ、大きいチャレンジをしたいと思うようになりました。そんなときにルイ・ヴィトンのとある店舗を訪れました。店内ビジュアル、空間、製品すべてが最高でしたが、意外なほど接客を受けたときのインパクトが薄かったんです。ここで強烈なインパクトを残す接客をしてみたいと思ったのがきっかけでした。

−−実際に入社してどんなことを感じましたか。

一番驚いたことは、それまで想像することさえできなかった数のお客様が店舗にお越しになられたことです。前職では1日平均来客数は約10人という過酷な環境でした。ルイ・ヴィトン製品や空間の素晴らしさはもちろんのこと、全てがとても恵まれた状況の中、この環境に慣れてしまってはいけないと感じました。高い志と情熱を持って、自分なりにこのブランドの素晴らしさをもっと発信していこうと入社当時に思ったことは、強く印象に残っています。

−−リテールビジネスに従事するうえで、ご自身のこだわりとは?

こだわっているのは印象です。ルイ・ヴィトンは全世界に店舗を構えており、いわばどこででも製品を買うことができます。EC環境も整っているので、店舗に足を運ばなくても製品を購入することは可能です。そういう状況下で、お客様に私から「製品を買いたい」と思っていただく理由を自分自身で創ることが重要だと思っています。最初に印象を残すことができれば、お客様に再度ご来店いただけるはず。ただ、印象といってもお客様一人ひとりの感じ方次第です。見た目なのか、話している情熱なのか、痒いところに手が届くようなサービスなのか、はたまたスタイルのご提案がお客様のライフスタイルにフィットしたのか、答えがあるわけではありません。ただ目の前のお客様のために最善を尽くす努力をしています。

−−現在、松屋銀座店でストアディレクターとして勤務されて6年。ストアディレクターの仕事の魅力とは?

やはり人との関わり合いです。130人のスタッフがいると、130人分のパーソナリティを知ることができるんです。男性、女性、育児をしているなど、さまざまなライフスタイルがあり、またナショナリティも幅が広いのが松屋銀座店の特徴です、それぞれの思いや目標を共有してくれるということは、私にとっての財産であり、ストアディレクターとしての仕事の醍醐味はそこにあると思います。「こういう結果を出しました」、「こういうキャリアを描いています」などといった声が聞くことができるのが一番の喜びです。

−−マネジメントするうえで譲れないこと、特に意識してやってらっしゃることは?

コミュニケーションの時間です。もちろん立場としては、オフィスからの仕事や個人としてやるべき仕事が常に山積していますが、もし目の前でスタッフが悩んでいると感じたら、優先するのはそのスタッフとのコミュニケーションです。今、やらねばならない自分のミッションよりも、チーム、スタッフの悩みに時間を投資するようにしています。私は現場主義なので、店頭もバックヤードも常に見て回っています。ですからスタッフの中には、私に見られているという意識が浸透していると思います。「どこでどう見られているかわからない」とか「こんなことまで知られていたんだ」などと驚かれることもよくあります(笑)。

徹底的に現場主義。

−−女性は妊娠、出産、育児といったさまざまなライフステージの変化がありますが、女性スタッフのマネジメントについてはどのようなお考えをお持ちですか?

私のミッションは、全員がハッピーに仕事をしている環境を整えることだと思っています。松屋銀座店には、育児と両立して働く女性が全体の約10%〜15%います。この店舗に配属されたときに着手したのは、育児をしながら働く女性のそれぞれの悩み、思い、気持ちを全部聞くことでした。結果見えてきたことは、フルタイムで働く仲間と育児をしながら働く自分たちの間に自ら壁を作っていたようです。これは健全なことではないですので、その壁を取り払うことから始めました。時間に制限があるとしても、その中でベストなパフォーマンスをしてくれればもちろん見ているし、きちんと評価すると彼女たちに伝えました。そのことで、彼女たちのモチベーションに変化が生まれ、高いパフォーマンスが見られるようになりました。女性スタッフだけでなくあらゆる環境にいるスタッフにも言えますが、悩みを共有し、勇気づけること。これは継続していくしかありません。

−−デジタル時代のリテールビジネスの難しさについてはどうお考えですか?

弊社のデジタル部門も非常に整っており、お客様の利便性も高まっていると思います。これからの未来は、AIがフィーチャーされていくことは間違いありません。一方で、人との違いについて考えると、やはり感情じゃないかって思うんです。今年の戦略として「ヒューマンエレメント」というテーマを掲げています。チームに伝えようと思っているのは、人としてやるべき要素を追求していこうということです。泣いたり怒ったり喜んだり、感情を持つことが人の素晴らしさなんですよね。これを表現していかないと、頭のいいロボットには勝てないと思います。お客様も人ですし、どこまで「感情」を共有、共感できるかが重要だと思います。

−−今後のご自身の展望、目標についてもお聞かせください。

まずは、これまでお話ししたように、お客様と価値観の共有、スタッフと思いの共有は継続して続けていくことが重要だと思っています。また、メンズのアーティスティックディレクターにヴァージル・アブローが着任したことで、製品を単品で売るのではなくて、お客様のライフスタイルに沿って、ワードローブとして製品を提案していくという接客にシフトされました。そこにはファッションだけではなく、ミュージック、アート、カルチャーという要素も重要になってきます。こうした要素を踏まえた上で、お客様にしっかりとプレゼンテーションしていく必要があります。ヴァージルのフィロソフィーをできるだけ多くのお客様そして何よりスタッフに伝えていくことが今の自身のミッションだと思っています。

 

どこまでお客様と「感情」を共有、共感できるかが重要だと語る伊藤さん。その眼差しが温かだったことがとても印象的だ。ルイ・ヴィトンのストアディレクターの凛とした生き様を見た気がする。

 

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