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SNS上のビジュアルやECの画面もすべてVMD。SNS時代にリアル店舗だからできることとは?

先日3月27日〜29日にかけて、日本最大のアパレル専門商談展「ファッションワールド東京」が、東京ビッグサイトにて開催されました。その中の店長・販売員向け研修セミナーとして、株式会社ライトハウス代表取締役の藤井雅範さんが登壇され、SNS時代のVMDについてお話くださいました。今回はその貴重なイベントトークの内容をお届けいたします。

心の時代に、お客さまの心に響くビジネスができているか?

会場に突然流れ始めたのは、Jimmy Cliff の「I Can See Clearly Now 」。会場はまるで雨上がりの青空のような心地よい雰囲気に包まれました。今回登壇した藤井雅範さんは、株式会社ワールドにて28年間VMDに従事し、その後VMDコンサルタントとして独立した、いわばVMDのスペシャリスト。

「私は年末に網膜剥離になり、それがきっかけで今まで見えていなかった部分が見えるようになりました。ファッション業界もそれと同じで、今の業界は全体が数値ばかり追い、大事なものを見落としているのではないかと思うんです」と言う藤井さん。

最近はテクノロジーの進化がとても目覚ましく、カゴのなかのものを一瞬で清算できるRFIDタグや、外から商品を届けるデリバリーロボなど、テクノロジーがどんどん実用化されています。それらをファッション業界で考えてみます。レジには人がいらなくなりますし、陳列の補給もAIがやるようになります。

「AIにできるような仕事ばかりしていたら、リアル店舗で働いている意味がなくなります。今は、“心の時代”なので、お客さまの心に響くファッションビジネスを積極的にしていかなければいけません。みなさん、そういう仕事ができていますか?」と藤井さんは問いかけます。

アパレル総小売全体の市場規模は縮小している現在ですが、EC化率は右肩上がり。その一方で、リアル店舗の売り上げは確実に落ちています。そこで考えたいのが、リアル店舗の役割は一体何なのかということ。リアル店舗の役割が変わった今、ECとうまく併用していくことが大事です。

店舗診断をされている藤井さんですが、「本部と店舗には大きな溝がある」と話します。効率よく回したい本部と、それぞれの事情がある店舗。「相手がわかってくれない」と感じていれば、お互いが楽しくありません。

「本部は店舗を知り、店舗のモチベーションをいかにあげられるかが大事。その一方で、店頭は絶対に諦めてはいけません。そこで諦めたら、お客さまに喜んでもらえないんですよ。今は皆で業界を学んで盛り上げる時期です。実績を出せば誰も文句は言いませんし、道は後からついてきます」

VMDのポイントはシンプルに考えること

話はVMDに関する具体例に移ります。

まず、下着屋さんのパンツの陳列の例。「今までずっとこのようにやってきたから」と、三つ折りに畳んで陳列した場合と、きれいなデザインを見せるために、あえて広げて吊るして見せた場合。どちらがいいかは明白です。

これをファッションの店舗でも考えてみます。例えば、ファッションビル外のウィンドウに、きれいなディスプレイがあったとします。ディスプレイが目に止まる人は多いようですが、なぜかお客さまはお店に入ってきてくれません。シンプルに考えるととても簡単で、どこにお店があるかが分かりにくいという問題がありました。そこで、外に誘導ポップを置いてみたところ、入店するお客さまの数が格段に変わったそうです。

また、売れ筋のグレーのセーターを、店内で一番売れる場所に置いて欲しいという本部の指示があったとします。その店舗での一番の売れ筋の場所は、黒いガラステーブルの上。ただ置くだけでは地味ですが、インナーに赤いチェックシャツを入れて置くと、一気に商品が魅力的にみえます。

そして印象的だったのがマネキンの話。お客さまを店舗の奥まで入れたほうがいいとは良く聞きますが、一番奥まで入ったお客さまは、振り返ってそのまま出ていってしまうことが多いのだそう。理由は、マネキンやトルソーが全部お店のファサードを向いているから。そういう場合、人間は潜在的に興味がなくなり気持ちが萎えてしまうのだそう。そこで藤井さんが行ったのは、ずらっと並ぶマネキンの一番後ろのマネキンだけ反対側を向かせるというもの。そうすることで、お客さまの気持ちを維持できたと言います。ディスプレイをほんの少し変えるだけで、購買率が大きく変わるというのを実感するエピソードです。

「VMDの仕事は、シンプルに“いいな”と思ったアクションを積み重ねていくこと。どうすれば目の前のお客さまが喜んでくれるのかをシンプルに考えること。マニュアル通りだと、お客さまの心には響かないし、やっているほうも面白くないですよね。自分も楽しめるように仕事を工夫することは、まったく難しいことではありません」と、藤井さんは言います。

リアル店舗とSNSを切り離してはいけない

一点の商品をお客さまがお買い上げになるまでには、長い道のりがあります。まず店舗を知り、ファサードやメインのディスプレイを見て入店。次に接客、フィッティングを経て購入。ここで終わりかと思われがちですが、さらにその先があります。

「もしもその商品が気に入ったら、ソーシャルメディアでシェアしてくれるかもしれません。ソーシャルメディアのシェアは、店前通行客数を増やすのと同じ効果があります。潜在顧客が増えるんです。よくVMDは店頭だけのものだと思われがちですが、SNS上のビジュアルやECの画面もすべてVMD。大きく捉えることが大事です」

最後に藤井さんは、リアル店舗の魅力にSNSをプラスした結果、効果が出た事例を話してくださいました。この事例で紹介されたのは、「YUNA STYLE」というジーンズがメイン商品のお店。はじめは、わずか4坪でお店を展開したにも関わらず、マネキンを逆さまに設置して遊び心を出したり、SNSでの発信を続けたりしたことで、お客さまが投稿を見て実際に店舗に足を運び、マネキンの前で写真を撮ってシェアするようになったのだそう。結果、お店は25坪のスペースを持てるようになり、売り上げも大幅にアップ。

「リアル店舗の良さとSNSの効果を掛け合わせると、すごくいいことが起こります。いくら店頭でいいディスプレイをしようが、それはお店の前にいる人にしか伝わらない。でもSNSではそれが可能ですし、商品だけではなく人柄に魅力を感じた来店が増えます。これが人間やリアル店舗のできることであり、価値なのです」と話を締めました。

藤井さんの考えるVMDの定義は、「お客さまに企業理念を表現する活動」。お客さまの五感に触れるものすべてに一貫性を持たせて表現し、伝えていくことをモットーにしています。「世の中で売れているから」「トレンドだから」そんな商品をいくら集めようが、お客さまに“買う理由”が伝わらなければ売ることはできません。それぞれに対してVMDのアクションがあり、“伝わる伝え方”があるのだと、強く感じたセミナーでした。

Text:Tomoka Nakano(RhythBiz)

 

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