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CSRアンバサダーに聞く、ルイ・ヴィトンが社会に貢献できること

ルイ・ヴィトンのブランド価値は、その優れた製品や、洗練された空間での接客体験から知ることもできますが、それだけにとどまらず、CSR活動を通して、より良い環境、より良い社会のためにさまざまなアクションを起こしています。今回は、初代CSRアンバサダーを務め、ルイ・ヴィトンのストア ディレクターとして、店舗内でもさまざまなCSR活動をリードする伊藤さん、またCSRアンバサダーであり松屋銀座店シニアクライアントアドバイザーでもある及川さんに、この活動の意義、やりがいなどについてお訊きしました。

ルイ・ヴィトンのカルチャーとおもてなしの心

——まずは伊藤さんにお伺いします。CSRアンバサダーはどのような活動を行っているのでしょうか?

ルイ・ヴィトン ジャパンがCSRの活動を始めて今年で7年目になります。業務は主に大きく分けて2つありますが、1つ目は会社のCSR部門が窓口となって、主に日本国内でさまざまな環境活動に参加していくというものです。いろいろな方面でのチャレンジがありますが、なかでも東日本大震災の被災地での活動は大きな軸となります。2つ目は店舗でのアクションです。それはデイリーの業務のなかでチームとしてできることを継続していくことです。

——伊藤さんは初代CSRアンバサダーとのことですが、この活動に従事しようと思ったきっかけは何でしょうか?

この活動のスタートは2011年後半からで、まさに東日本大震災の直後というタイミングでした。その頃私は六本木ヒルズ店で店長として勤務していました。東京では停電が起こったり、店舗側としても営業を自粛するなどの対応に追われましたが、実際に被害に遭われた方々のことを思うと何もできない自分にジレンマを感じていました。そんなときに会社のCSR活動が開始しました。また、新しいことに常にチャレンジしたいタイプなので、いいタイミングだと直感で感じました。

——初代CSRアンバサダーとして具体的にどのような活動をされたのでしょうか?

最初の活動としては、まずは社内にCSRの意味や意義を広めることから始めました。その後2013年には、震災被災地への支援の一環として、宮城県釜石市の中学3年生の女子生徒たち6名をルイ・ヴィトンのオフィス、そして表参道店に招き、2日間に渡っていろいろな体験をしてもらうイベントを企画しました。ルイ・ヴィトンとはどんな会社なのか、ブランドの歴史から始まり、店舗での接客やお修理を体験していただくという支援プログラムです。被災地のお子様たちの未来の夢を育むプロジェクトとして立ち上がったこのプログラムは、今年で6年を迎えました。「DREAM PROJECT」、まさに夢のプロジェクトです。

–実際に体験した女子中学生からはどういう反応が得られましたか?

私たちのミッションとは、彼女たちの未来に対して何がサポートできるのかを考え、アクションしていくことだと思います。まずは純粋に楽しんでもらうことを目標とし、ファッション性、クラフトマンシップ、ブランドの価値観などを共有する。最初はみなさん慣れない場所で緊張もされたと思います。ですが、時間を共有するにつれていろいろなコミュニケーションが生まれてきました。短い時間でしたし、果たして私たちが何を彼女たちにしてあげられたのかはわかりませんが、少なくとも名残惜しそうに、中には泣きながら帰る方もいたので、何かは残せたのかなと思います。

——伊藤さんも実際に被災地に行かれたのですか?

はい、福島県田村町に被災で仮設住宅になっているエリアがあって、弊社のスタッフとつながりがあるフランス料理のシェフを中心とした在日フランス人のコミュニティの方々と協働して、フランス料理の炊き出しをする活動に参加しました。個人として動いていたらできることではなく、やはりルイ・ヴィトンとしてのアクションであったから体験できるものでしたし、直に仮設で生活されている方々を勇気づけたり、楽しませたりということは、なかなかできることではないので、とてもいい経験でした。

——活動の中にもフランスの企業としてのカルチャーが見事に表現されていますね。

フランスのカルチャーを少しでも楽しみながら共有できれば、というのが企画の発端でした。しかし実際は、なかなか外に出てこられない方々もいらっしゃいました。そこで私たちスタッフが個別に声を掛けたり、料理を運んで行ったりしました。またフランス人が選んだパペットなどのおもちゃを子どもたちに渡そうとしても、遊び方がわからないようで最初はあまりいい反応が得られませんでした。そこで私がパペットを使ってショーのように見せたところ、すごく楽しんでいただけて…。私たちの接客の基本である、おもてなしの心をいかに表現するかが大切だと感じました。それぞれの世代の方々に合わせて、どのように伝えるかというところは、CSRアンバサダーのミッションとしては重要であり、私たちが参加する意味はそこにあると思います。


伊藤さんの左胸上に輝くCSRアンバサダーの認定バッジ

自分たちで考え、アクションを起こす

——先ほどのお話にありましたが、CSR活動のもう一つの軸である店舗内でのアクションについてですが、具体的にどういった活動をされていますか?

本当に基本的なことですが、節電の意識だったり、エコキャップを回収する、資料作成の際に出る紙の再利用など、デイリーの業務の中での当たり前にするべきことを、毎日欠かさず実行することが大事だと思っています。また地域の清掃活動も定期的に行っています。

——企業としてのルールではなく、各店舗内でそれぞれ考え、アクションするということなのですか?

ルールを設け、それを「やってください」ということではないと思うんです。店舗ごと、エリアごとにやるべきアクションも違ってくると思います。私たちはルイ・ヴィトンの一員として、お世話になっている地域への貢献を念頭において活動しています。その一つが各エリアのクリーンアップです。CSRアンバサダーだけではなく、全スタッフから希望者を募って、始業前の朝9時から実施しています。これはもうスタッフそれぞれの自発性に期待するしかありません。

——この活動を続けていて難しいと感じることはありますか?

難しいことはまったくありません。自然災害だったり、現状置かれる自分たちの環境をどう捉えて、何ができるかを考えられるかがポイントだと思います。幸いにもチームのスタッフがいろんなことを共有してくれます。たとえば「プライベートで行った沖縄の海が汚れている、これなんとかしないと」、という議論を持ち込んだり、「何処どこでクリーンナップ活動があるそうです」、などスタッフの間でさまざまな情報を共有し、その中で何ができるか、検討できるようなチームになっていますね。

——では、この活動を続けていてやりがいを感じるのはどんな時でしょう?

まずは行動を起こすことだと思います。自分がチームに共有できること、想いがあるなら迷わずアクションすることが必要だと思います。アクションした先にやりがいが出てくるのではないでしょうか。私が松屋銀座店に在籍して約5年。スタッフ自体の人数が増えている中で、きちんと意識を持って行動できるスタッフも多くなってきたと感じます。

——なかなか成果が目で見えづらい部分もあるかと思いますが、スタッフのモチベーションをどのようにキープするのでしょうか?

やはり継続がないと評価されにくいアクションなので、定期的に意識づけをチームに発信しています。その中の一つとして社内アプリの活用がモチベーション維持に役立っています。店舗内でのアクションを全国の他店舗と共有できるツールです。店舗やエリアによってもちろん取り組むべきアクションは異なりますが、それを知ることによっていい刺激になったり、自分たちの活動を知ってもらい、よかったら「いいね」というような共感、賞賛を得られるシステムになっています。

一歩踏み出す勇気をくれたきっかけ

——ここからは及川さんにもお話をお訊きしていきたいと思います。及川さんがCSRアンバサダーになろうと思ったきっかけは何でしょうか?

何か社会に貢献したい、困っている人を助けたいという気持ちは心の奥底にずっとありました。そんな中で2017年に被災地である岩手県の子どもたちに、ルイ・ヴィトンのフレグランスを通して、「香り」を紹介するという企画がありました。私はフレグランスチームに所属しており、当時の上司にその企画にジョインしないかと誘われたんです。実際に子どもたちと触れ合い、とても有意義な時間を過ごしたのですが、その時の経験が大きいですね。

——実際に活動の現場を間近で体験したことが、活動への参加を後押ししたのですね。

実は入社して以来、なかなか結果が出ない自分に対して焦りや不安を感じていました。自分にできることは何かずっと考えていたそんなときに、CSRアンバサダーという良いきっかけをいただいたので、これこそ僕が今やるべきことなんだと思いました。このようなきっかけをいただいたことに感謝しています。

——CSRアンバサダーとして現在、どのような活動をされているのですか?

2018年4月から第4期がスタートしています。夏に第3回目となる山田町からの子どもたちをご招待してさまざまなアクティビティを実施したり、先ほど伊藤からの話にもあったように、地域の清掃活動を行っています。このように、人にフォーカスしたアクション、環境に対してのアクションとそれぞれに取り組んできました。

——活動を始めて感じたこととは何でしょう?

あるとき、お客様から「ここの周辺地域を定期的に掃除されていますよね。さすが一流のブランドですね」と言われたことがあるんです。そのお客様にとって、ブランドのイメージとして求めているのが、クリーンであること、ブランドとして社会にどれだけ貢献しているのか、だったんです。それまで僕はCSRの活動とは、ボランティア的な要素が強いと思っていました。活動することが直接的に会社に利益を生み出すわけではないと思っていたからです。しかし、お客様に対し、僕たちが作り上げていくブランドイメージというのは、一つの経営戦略でもあると実感しました。

——今後の活動目標をお聞かせください。

僕が当時の上司からきっかけをもらったように、今度はアンバサダーとしてそのきっかけを作る責任があると思っています。スタッフも一人ひとり、何かアクションをしたいと心の中で思っていても、なかなか実行に移せずにいるというのが現実です。そのため、先ほどのクリーンアップ活動も、毎回同じ人が参加するのではなく、店舗のスタッフ130人全員が少なくとも1回は参加できるような仕組みを整えています。なぜなら一度でも経験をするとその人の気持ちに変化が起きてくるのです。気持ちが変われば当然行動も変化します。そういった好循環を作っていけたら嬉しいですね。

伊藤さん、及川さんお二人のインタビューを通して、世界に誇る一流ブランドの一員として活動する誇り、そして社会に対する使命のようなものを強く感じました。ルイ・ヴィトンのCSRアンバサダーたちの活躍をこれからも追い続けたいと思います。

Interview&Text : Etsuko Soeda

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