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「私たちコミュニケーション」がお客さまとの境界線をなくす!スタイリストが教える、商品とお客さまの“幸せな出逢い”を導く接客|スタイリスト山下万里香


「接客は必要ないです」とさっきまでクールに言っていた人や「話しかけないでオーラ」いっぱいの人でも、一転、相談相手を強く求めるタイミングがあります。それは“買うかどうかの決断の時間”。

お客さまのショッピングを毎日手伝っている私ですが、自分の買い物になると急に弱気になり…某少年になって青いネコ型ロボットを呼びたい気持ちになります。

 

「買って失敗したらどうしよう」

「買わずに後悔したらどうしよう」

 

こんな状態のお客さまに「頼りになる!」「相談したい!」と思ってもらえる存在になれたら嬉しいですよね。

お客さまが求めているのは「売る」接客じゃなくて、「買うのを手伝う」接客

まりかの接客メソッド、前回から一歩進んだ「パートナーシップ」へのステップです

“相談したくなったときにできる相手”になるためには、お客さまにとって敵ではなく味方だということを知ってもらわなくてはいけませんね。そのためには、まず私たち販売側の頭の中を切り替える必要があります。

「売る」というのは「買う」の反対の言葉ですが、「買うのを手伝う」というのは「買う」の補助ですよね。そして、「売る」というのは主語が「商品」ですが「買うのを手伝う」というのは主語が「お客さま」です。主語が変わると同じシーンでも、接客フレーズが自然に変わってきます。

 

売る →「今シーズン当店で一番人気があるスカートです」

買うのを手伝う →「お客さまのようにスカートが苦手な方にもこれなら使いやすいと言っていただいているスカートです」

 

売る →「よかったら鏡で合わせてみてくださいね」

買うのを手伝う →「今日お召しの服はブラウンですが、普段も茶色をよく着られますか? もしそうなら今手に取ってくださっているニットは使っていただきやすいと思います」

 

接客シーンでいつも同じ表現になっていることに悩んでいる方も、この方法だとバリエーションを増やしてもらえるのではないでしょうか?

お客さまとの距離がぐっと縮まる「私たちコミュニケーション」

もしあなたがお客さまなら、次のAとBどちらのトークが本音を話しやすいですか?

 

A「お客さまはお背が高いので、こちらのお洋服がおすすめですよ」

B「こちらは、私たちのように身長が高い人向けのお洋服なんですよ」

 

Aは『親切』なアドバイスをしていますが、お客さまと販売スタッフの境界線がはっきり見えますね。お客さまであるあなたと販売スタッフである私、という感じです。

では、Bならどうでしょう?お客さまと販売スタッフの境界線がなくなって、二人でひとつのグループのようです。こうなることにより、“親切”から“親身”へと変わりましたよね。あなたに自分ごとのように接客してもらっている印象を受け、お客さまはあなたを「売ろう」とする相手、ではなく「買うのを手伝ってくれる」身内だと自然に受け入れてくださるようになります。

「私たちコミュニケーション」のコツは、「私たち日本人は」など最初は大きなくくりで話し、会話が進んでいくにつれて「わたしたち裾の長さにいつも困っている人は」など、お客さまの好みや共有できる『あるある』に応じて小さなくくりで話すことです。くくりが小さくなるにつれて、お客さまとの親密度がアップしていきますよ。

そして、「私たち」を使うと、3つのいいことがあるんです。

 

お客さまとの共通点を探しながら話を聴くので、会話が自然に弾む
お客さまが普段コンプレックスに感じていることを話してもらいやすくなる
あなたからお客さまへの親近感が深まるので、肩のチカラを抜いて接客できる

 

接客研修をさせていただくとき、初対面の2人組で「私たちコミュニケーション」のワークをしますが、どのチームも「うんうん」と頷きながら会話が盛り上がっています。普通に話をすると緊張してなかなか会話が進まなかったのに、共通点を探しながら話そうとすると、急に表情も穏やかになりうなずく回数が圧倒的に増えます。

「うなずきながら話を聴いてもらえるからすごく気持ちがよかった」「話しやすかった」とお客さま役の方も嬉しそうに話されます。「初対面のお客さまと仲良くなる方法がわからない」と不安に思っていた方が、「これならできるかも!」と言われるようになるので、みなさまにもおすすめしたいと思います。

 

お客さまから相談を受けたとき、大事なのは答えをひとつに絞ること

たとえばお客さまが2点のどちらを買うか迷われたとき、「どちらもお似合いです」では相談になりません。せっかく親身な関係ができたのに、お客さまは突き放されたような気持になってしまいます。かといってお客さまが気に入っているものを当てにいく必要も一般論を話す必要もありませんので、安心してくださいね。

こんなときは「私たちコミュニケーション」での会話を活かして「同じ悩みを持つものとしては…」「私たちシックな色を好む人同士の意見としては…」と前置きして、あなたが思うお客さまのベストを伝えてください。そうすると、きっとお客さまはネコ型ロボットを呼ばなくても、あなたに助けてもらったという気持ちを抱いてくださるでしょう。

買うのを手伝ってお客さまのパートナーになる、というのは、お客さまに喜ばれてあなたもやりやすい方法です。ぜひ試してみてくださいね。

 

今回のコラム執筆者

スタイリスト/パーソナルスタイリスト|山下万里香さん

1979年生まれ。ホテルや会場の専属ブライダルスタイリストを経て2014年スタイリングオフィス『デイズ・ヌーヴォー』を立ち上げる。パーソナルカラー・骨格・イメージなど「似合う」を取り入れつつ、カウンセリングに愛情を注ぐ独自のパーソナルスタイリングを実施。10,000人以上の女性から支持され、トータルコーデレッスンやショッピング同行が人気を集める。2017年『スタイリストが教えるお客さまがもっと素敵になる接客術』を出版。『ファッション販売(商業界)』にも寄稿。蔦屋書店でのトークショー、企業研修や講演を通じ「出逢わせ」で売る側と買う側の両方のスキルアップにも力を注ぐ。大手通販会社での商品開発や百貨店でのイベントプロデュースも手掛ける。

 

山下万里香さんの著書


『スタイリストが教える お客さまをもっと素敵にする! 接客術』
お悩み別スタイリング処方箋。お客さまの「こうなりたい」を叶えるコーディネート術。信頼関係をつくる裏表のないコミュニケーション。お客さまの隠れた本音の見つけ方。―すぐに使えるテクニック満載!

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