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ルイ・ヴィトン、DOLCE&GABBANA、イッセイミヤケの元VMD責任者から学ぶ、VMDの本質と実践!「お客様の『買いたい』を作るVMD」とは?


東京・有明の東京ビッグサイトで開催された日本最大のファッション展「ファッションワールド東京」にて10月23日、ハイファッションの現場でVMDを歴任してきた堀田健一郎さんを講師に招き、「お客様の『買いたい』を作るVMD」をテーマに店長・販売員向けの研修セミナーが行われました。これからの時代に求められる新たなVMDの役割と責任について、堀田さんが語ったその内容の一部をお届けします。

 

今求められているのは、美しさと売上げのバランスを見る力

「お客様の『買いたい』を作るVMD ~ルイヴィトン、DOLCE&GABBANA、イッセイミヤケの元VMD責任者から学ぶVMDの本質と実践~」に登壇したのは、ワールド・モード・ホールディングス ビジュアルマーチャンダイジングスタジオの堀田健一郎さん。
堀田さんは23歳のときに『BEAMS京都店』のアルバイトスタッフとして勤務することからアパレル業界のキャリアをスタート、その後ブランド立ち上げに参加した後、転職。『イッセイミヤケ』青山店の店長を経て、新設されたVMD部署の責任者に。その後は『DOLCE&GABBANA』『D&G』のVMD責任者を7年間、『ルイ・ヴィトン』ジャパンゾーンのVMD責任者を5年間。セレクトショップ、日系ファッションブランド、ラグジュアリーと、各セグメントのニーズに応じて約17年の経験を積んできた、日本におけるVMDの草分け的存在です。

最初のお話は、ここ20年におけるVMDの移り変わりについて。

 

「20年前のVMDは美しさを重視し、必ずしも売上げとのリンクを求められない“デコレーション”的なものでした。会社から送られてくるガイドラインに基づいて、どのお店も同じビジュアルを作ることがその目的。しかし現在において、ガイドラインはあくまで参考書にすぎません。ブランドイメージは大切ですが、単なるコピー&ペーストのビジュアルではマーケットに刺さりません。市場を理解しつつ、お客様や店長・スタッフのニーズを尊重した店作りをしていくことが重要である、という流れに変わってきています」


かつてはお店に行っても担当者としか話をせず、どういう目的でこのVMDが行われているか、共有しないことが当たり前に行われていたとのこと。

 

「今はできるだけ店頭の全員で作業をして、ビジュアルの意味や本質を理解することが求められています。昔はVMDになるキャリアパスも『ディスプレイが好きな人・得意な人』という感覚を重視して選ばれる傾向でしたが、チームプレイが前提となった今は、人材管理やプロジェクト進行についてマネジメントできる能力が必要に。多くの会社が、VMD担当者が売上げの比重を担っていることを理解していますので、たとえば『ルイ・ヴィトン』ではVMDスペシャリストという呼称を店頭スタッフにつけ、給与や能力面での評価制度を導入しています。現在におけるVMDは、MDを可視化するという意味でマーケティング手法であり、ブランド戦略の要。オフィスがお店に対して行える、最後の後方支援なんです」

 

美しさを追求するだけでは市場には刺さらず、一方で売上げだけを追求してもブランドの価値を損なうことになる。その両方のバランスが取れるVMDがいま求められている、と堀田さんは話します。

お客様の声なき声をキャッチし、ビジュアルに反映する

アパレル不振を背景に、地方の百貨店の閉店が相次ぎ、郊外型のモールが増加。ブランド過多の状態が続いており、イベント型のポップアップストアの需要が増えている、という現状に対し、VMDがどう関係性しているのかについても、堀田さんは触れました。

 

「モール型のお店が増えたことで、テナント前のVMDを編集する必要が増加していますが、まだまだどのお店も似たような手法でディスプレイをしている状況があります。また、ポップアップストアやイベントが増加していることで、VMDの需要がキャパシティオーバーの状態を起こしており、ブランドのイメージ訴求力が鈍化傾向にある。アパレルに影響を高めるECストアやSNSの存在も見逃せません。簡単に買い物できるECがある以上、リアル店舗にはこれまで以上に付加価値を求められます。また、SNSでの発信内容と店頭のビジュアルをどう連動させていくか、という発想ももっと必要になるでしょう」

 

ここで堀田さんは、あらためて基本を振り返りました。

 

「VMDというのは、ビジュアル+マーチャンダイジングを組み合わせた造語で、仕入・品揃え・量・価格帯によるMDのビジュアル化、と呼ばれています。ブランドや商品のアイデンティティを見せて、他との差別化をしっかりと図っていくマーケティング活動のひとつ。それを実行する人たちがビジュアルマーチャンダイザー。視覚に訴えながら、MDあるいはブランド戦略の可視化、購買喚起と販売促進を行うのが仕事です。新規のお客様を獲得しつつ、既存のお客様の注目を集めてセールス拡大を狙います。その基本のひとつが、声を聞くことです。本国のブランド本部、店頭のスタッフ、お客様の声。変化の早い時代だからこそ、さまざまな声をしっかりとキャッチして、見えないニーズを吸い上げることが強く求められています」

このとき気をつけたいのが、仮に店長の声を聞いたとして「売上げをあげたい」という端的な要望しか出てこないケースがある、ということ。

 

「この場合『じゃあ、どうすれば売上げがあがると思う?』と聞くと、ほとんどの場合答えが返ってきません。というのも、きちんと現状分析ができていなかったり、販売計画を練るのに手一杯でバックヤードにこもっていたりする店長もいるからです。『店内の回遊性を高めて、お客様の在店時間を延ばしたい』とか『スタッフが商品を紹介する機会が増える店頭にするにはどうすればいいでしょう?』という課題意識を持っている店長は非常に少ないのが現状です。お客様の動きから“声なき声”をキャッチすることの大切さについて、浸透させるのも大切な仕事です」

 

示唆に富む話は続き、会場内には真剣にメモを取りながら講義に臨む人たちの姿が見られました。

 

「VMD領域について全体を理解してクオリティの高いサービスを提供できるプロフェッショナルは、日本に決して多くありません。このようなセミナーや講演を通じてひとりでも多くの方々に、少しでもVMDについての理解を深め、関心を持っていただきたい」

 

と堀田さん。日本全国はもとより、世界各国からも自由に買い物ができ、情報が届く今の時代こそ、ビジュアル提案における重要性が非常に高いのだ、ということを深く感じた講演でした。

Interview&Text:Aki Kiuchi

 

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