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お客さまは動物的な本能で警戒する!?スタイリストが教える、商品とお客さまの“幸せな出逢い”を導く接客|スタイリスト山下万里香


接客ってメイクと似ているな、といつも思います。肌の調子が良くないときって、頑張ってメイクをしても時間が経つと崩れやすいですよね。だからといって厚塗りにすると不自然になってしまうし…。やっぱりメイク上手はスキンケア上手からだなと身に染みる今日このごろです。

同じように、気持ちが整っていないときは、いくら笑顔を頑張ってみてもなんだか不自然。お客さまと一緒に鏡に映ったとき、笑っているのに怒っているような自分の顔にびっくりしたことが何度もあります。疲れ・悩み・不安などがあると、自分では気をつけていても表に出てしまうものなのですね。だから「素肌」ならぬ「素心」のケアが必要です!

ということで、今回は前回ご紹介した「まりかの接客メソッド」のステップ① お客さまの「居心地の良さ」のつくり方がテーマです。

お客さまは動物的な本能で警戒してしまう

前段で触れた「素心」を見抜くかのようにこちら側の状態が伝わってしまうのが、初来店のお客さま。「場違いだったらどうしよう」「売りつけられないかな」など不安な気持ちを抱えているときに特に身を守ろうとする本能が強く働くので、場の空気やスタッフの何気ない行動や表情にマイナス面があると、すかさずキャッチして帰ってしまいます。そうなると接客そのものが始まらなくなってしまいますね。何とかしなくては!

〈自身の「素心」をくすませてしまう要素〉
・自分に自信をなくしている
・プライベートから気持ちが切り替えられていない
・スタッフ間で人間関係がうまくいっていない人がいる
・お店の売上が良くなくてピリピリしている
・スタッフがお互いのことに無関心 など

自分自身やお店のことばかりですよね。こうして見ると「お客さまに構っているどころじゃない」とも言えそうです。お客さまが歓迎されない雰囲気を感じてしまうのも頷けます。

自分を知って、めいっぱい褒めてあげよう

接客業をしていると、優しい人や責任感の強い人ほど相手を優先しすぎて自分自身のことが後回しになっていることがほとんど。それを毎日繰り返しているうちに、自分が何を好きなのか、何をしているときが楽しいのか、どういう長所があるのか、わからなくなってしまうこともあります。

私たち接客業は、お客さまのこころを扱う仕事。自分に対して空っぽな状態ではお客さまのこころは扱えませんよね。自分への感情を取り戻すために、一日の終わりに自分を褒めてみてください。ポイントは「行動を褒めること」です。

例えば、ただ「優しい」ではなく「ミスをした後輩を頭ごなしに怒らず優しく声掛けできた」というふうに。こうすることで、自分を褒めつつ自分の行動とも向き合うことができます。

最初は1日ひとつ、徐々に2つ、3つと増やしていきましょう。昨日と同じことでもOK!逆に何回も出てくるということは、その長所が強いとも言えますよね。そのように取り組むと、ミスやクレームなど落ち込んでしまうことが起きても、心まで折れてしまうことが減り、早く立ち直れるようになります。

仲間のいいところを見つけて伝えてみよう!

自分を褒めることができるようになると、一緒に働く仲間のことも褒められるようになります。自分への褒めワークを通じて、状態ではなく“行動”を見るという習慣がついているので、例えば普段やる気のない人だと決めつけてしまっているスタッフがいたとしても、「商品の扱いが丁寧」とか「出勤するのが一番早い」など、新たな長所に目が行くようになるはずです。

それを口に出して本人に伝えることで、こじれていた人間関係を溶かしていくきっかけにもなることも。「○○さんってデキる人だね」というのは言いにくいしウソっぽく聞こえるかもしれませんが、「○○さんって、私が手いっぱいで困ってたらいつも真っ先に気づいてフォローに来てくれるね。ありがとう」なら言いやすいのではないでしょうか。

人通りの少ない通りで「どうせ誰も見てないし」とポイ捨てが多いように、周りからの関心がないと「どうせ誰も見てないし」と人の気持ちは荒れていきます。褒めるコミュニケーションを仲間うちで交わすと、一時的に気分が良くなるだけではなくお店全体のモチベーションがアップして、結果お客さまの居心地の良さを作ることに繋がります。

自分以外はすべてお客さま

このフレーズは、私がブライダルシーンでスタイリストをしていた際、スローガンのように繰り返し教わった言葉です。当時は「今は直接お客さまではない人もいつかお客さまになるかもしれないから丁寧にしよう」と思っていました。館内を掃除してくれる人や配送してくれる業者の人など、お客さまでも取引先でもない人にも愛想よくしておこうと。今から思うとちょっと計算高い感じもしますね。

今はこの言葉をこんなふうに捉えています。
「お客さまと同じくらい、一緒に働く仲間も家族も自分も大切。優劣なくみんな同じように大事にすることが接客のはじまり」
接客シーンだけ頑張るより、日常生活でみんなを大切にしていたら自然に接客も上手くいくようになるということだと思います。

いかがでしたか?
接客の入り口として、まず自分をしっかり褒めてあげましょう!

 

今回のコラム執筆者

スタイリスト/パーソナルスタイリスト|山下万里香さん

1979年生まれ。ホテルや会場の専属ブライダルスタイリストを経て2014年スタイリングオフィス『デイズ・ヌーヴォー』を立ち上げる。パーソナルカラー・骨格・イメージなど「似合う」を取り入れつつ、カウンセリングに愛情を注ぐ独自のパーソナルスタイリングを実施。10,000人以上の女性から支持され、トータルコーデレッスンやショッピング同行が人気を集める。2017年『スタイリストが教えるお客さまがもっと素敵になる接客術』を出版。『ファッション販売(商業界)』にも寄稿。蔦屋書店でのトークショー、企業研修や講演を通じ「出逢わせ」で売る側と買う側の両方のスキルアップにも力を注ぐ。大手通販会社での商品開発や百貨店でのイベントプロデュースも手掛ける。

 

山下万里香さんの著書


『スタイリストが教える お客さまをもっと素敵にする! 接客術』
お悩み別スタイリング処方箋。お客さまの「こうなりたい」を叶えるコーディネート術。信頼関係をつくる裏表のないコミュニケーション。お客さまの隠れた本音の見つけ方。―すぐに使えるテクニック満載!

 

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