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古着が1点物に、海洋ゴミが服や靴に生まれ変わる!?サスティナブル・ファッションに向けたアパレル企業の挑戦


ファッションが地球環境を破壊しているーーそう聞いて、あなたはどう感じるでしょうか。機械や石油産業と同様に、衣服や靴などを生み出すファッション産業も地球環境に大きな影響を与えています。そこで昨今注目されているのが、資源循環を目的としたアパレル企業の取り組みです。同じ業界に属する一員として、ファッションと環境問題にまつわるさまざまな問題にも意識を向けておきましょう。

なぜ、今ファッションと環境問題の関係が問われるのか?

まず、ファッションは地球環境に対して、どんな悪影響を与えてしまっているのでしょうか。ここでは、ファッションと環境問題に対して、これまであまり意識してこなかった人のために、ファッション産業の現状をご紹介します。

●無視できない膨大な温室効果ガス排出量

「温室効果ガス」という言葉を聞くと、自動車や石油工業などでよく耳にするイメージがあるかもしれません。しかし、ファッションアイテムの多くは工場で生産されており、繊維を生産したり、糸を加工したり、染色などをしたりする過程で、多くの温室効果ガスを排出しています。その量は、なんと世界全体の8%を占めるという試算も。いずれはアメリカの温室効果ガス排出量と並ぶのではないかという見解もあり、深刻な問題となっています。

また、日本で販売されている衣類の約95%が、外国で製造されていると言われています。それらが船舶などの燃料を使って輸入されているとなると、排出されるエネルギーは膨大なものです。

ほかにも、染色加工の工程では、水資源を大量に消費します。カーボンフットプリントやウォーターフットプリント(※)などの観点でも、ファッション業界が環境に与える影響は小さくないのです。

※商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したり、使用された水の総量を商品やサービスに分かりやすく表示する仕組み

 

●流行・消費の早さ

ファッションと流行は切っても切れない関係性があります。

人は年間で10kgの服を買い、9kgの服を捨てていると言われるほど、衣服を消費します。また、流行に乗り遅れるかたちで供給される衣服は売れ残り、行き場のない状態に…。流行をあまりに重んじることは、糸や生地を無駄づかいするリスクを伴います。

●リサイクルしにくい現実

最近では街中でリサイクルショップを目にすることが増えました。また、古布回収など、自治体によっては着なくなった衣服を回収する事業もあります。しかし、昨今のファッションはさまざまな部品や素材で製造されることが増えており、簡単にリサイクル資源に転用できるわけではありません。実際、衣服のリサイクル率は全体の約10%とも言われています。

リサイクル資源というと、馴染みがあるのがペットボトルやアルミ缶などの容器ですが、これらのリサイクル率は約8割です。衣類のリサイクル率がどれだけ低いかが、おわかりいただけるのではないでしょうか。

現状を変えるためには

製造過程でも多くのCO2を排出するうえ、製造された服はどんどん消費されていくだけのアイテムたち。しかし、リサイクルやリユース、リペアをして使い続けるよりも“新たに購入するほうが安い”ため、消費者側の行動を変容させることは簡単ではありません。

そこで、サスティナビリティ(持続可能性)を高めるために立ち上がったのが、アパレル製品を製造する民間の企業です。環境問題を改善していくには、生産者が製造段階でリサイクルやリユース、リペアのシステムを取り込み、消費者に任せきりにしない資源循環の仕組みを構築することが求められます。

資源循環を目指す企業の取り組み

ここからは、いくつかの企業が取り組んでいる資源循環の取り組みをご紹介していきます。

●デッドストックをアップサイクル

アパレルセレクトショップで知られるBEAMS(ビームス)も、資源循環の取り組みを始めた企業の1つです。大量なアパレル製品を取り扱うブランドでは、デッドストック(売れ残り在庫)はどうしても避けられない問題。流行などから置き去りにされたファッション製品たちが日の目を浴びるのは、せいぜいセール期間中のこと。そこでも売れ残ると、それは廃棄処分をするしかありませんでした。

そこに活用価値を見出したBEAMSは、アップサイクルにチャレンジしました。そうして誕生したのが「BEAMS COUTURE(ビームス・クチュール)」です。アップサイクルとは、今ある資源をさらに価値あるものにアップグレードさせてリサイクルすること。ただ、素材を再利用するのではなく“価値をさらに高める”ことに重きをおいた資源の循環方法です。

BEAMS COUTUREでは、BEAMS社の倉庫に保管されていた商品に、別の古着や装飾品を用いながらリメイクを施します。デットストックであることからアップサイクルされた製品は数に限りがあり、一点物もたくさん。ファッションにこだわりを持つ人の心をくすぐるアイテムが増えています。

●海洋ゴミから100%リサイクル可能な素材を

資源の有効活用は、何もファッションからファッションへとは限りません。「Econyl(エコニール)」は、世界の海で問題になっている海洋ゴミを活用した繊維で、ファッションブランドOuterknown(アウターノーン)が開発した新素材です。

このEconylで作られた衣服は、メーカーへ返送することで100%リサイクルできるという大きなメリットがあります。消費者たちはもう「服を捨てる」という選択をすることなく、新たな服を手に入れることができるようになったのです。

海に漂う漁網や破片となって散らばったプラスチックなどのボトルとナイロンを合成してつくられたEconyl。このサスティナビリティの高さは、ファッション産業の環境問題解決に大きく寄与することに違いありません。

また、同じ様に海洋ゴミを活用したリサイクルに挑んだのが、スポーツブランドのAdidas(アディダス)です。Adidasは、海洋ゴミのプラスチックを利用したランニングシューズを発表。水資源をできるだけ使わないように染色もせず、自然環境に徹底的に配慮した製品づくりをしています。
 
流行と消費のサイクルが早いファッションの世界では、早急に資源循環の取り組みを進めていかなければいけません。ファッション産業の環境負荷を下げるのはもちろんですが、さらに、海洋ゴミなどの別の環境問題の解決をアパレル企業が率先していくようなシーンも、今後は増加していくはずです。ファッション産業における資源循環のシステムが、世の中からもっと求められるようになるでしょう。

 

 

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