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“落ちこぼれ”からのキャリアスタート!? フルラ(FURLA)ジャパン倉田浩美氏に学ぶ「女性の心をつかむ国際ブランドビジネスと求められる人材」レポート

東京・新宿の「国際ファッション専門職大学(仮称)」(2019年4月開学 認可申請中) 東京キャンパスにて8月24日、フルラジャパン株式会社代表取締役・倉田浩美(くらたひろみ)さんを講師に招き、「女性の心をつかむ国際ブランドビジネスと求められる人材」をテーマに特別講義が開催されました。同講義は、「国際ファッション専門職大学」の進学検討者を対象にした催し。福岡の電機メーカーからキャリアをスタートさせた倉田さんの、想像もできないこれまでの歩みから、未来に求められる人材のヒントが見えてきます。

7年連続2ケタ成長を続けるフルラの成功要因

フルラは日本での売上が全体を牽引しており、7年連続で2ケタ成長を記録している世界的レザーグッズのトップブランドです。日本ではすでに91店舗を展開。男女を問わず、幅広い世代に受け入れられています。

なぜ、こんなにもフルラが日本での売上を伸ばしているのかーー。それは、フルラには他のブランドにはない自由さがあるから。

通常、世界的ブランドでは、本社が商品開発したものを世界各国へと流通させるのが一般的です。しかし、フルラの場合は日本独自で商品開発のアイデアを出すことができ、本社の許可とることができれば、すぐにでも販売に踏み切ることができます。日本のニーズに即したアイテムを供給できる柔軟なシステムが備わっています。

また、商品開発のスピードも成功要因の一つ。通常、1年はかかる商品開発も、フルラであれば9ヶ月で店頭に商品が並びます。この自由度の高さとスピード感が、日本での売上を大きく伸ばしている秘訣なのです。

まさかの、キャリアスタートは“お茶汲み”から

現在では堂々とステージ上でプレゼンテーションする倉田さんですが、実は、意外なキャリアの持ち主。

学生時代、なかなか就職先が決まらなかった倉田さんは、自らを“落ちこぼれ”と称します。やっとのことで入社したのは電機メーカーのOLの仕事。その中で、毎日3時にお茶汲みをするのが日課でした。

お茶汲みというと、簡単で誰でもできる仕事と思いがちですが、倉田さん曰く、お茶汲みから人との接し方を学んだのだそうです。「この人には声をかけないほうがいいだろう」「少し雑談を交えてお茶を出したほうがよさそうだ」など、人によって対応を変える工夫をし、人とどう付き合うかを知っていきました。

ただ、この仕事を一生続けることはできないと、2年間でOL生活にピリオドを打ちます。そこで一念発起。「語学を身につければ違う仕事ができるのではないか」と、シアトルへ留学することを決意します。

滞在先を決めないままに渡米するなど、とにかくエピソードの尽きない倉田さん。1年の留学の予定が、ビジネスと会計学の大学へ進学。さらに最終的には現地で就職も果たし、10年間をアメリカで過ごすことになりました。

ファッション小売業界へ。転職は「学ぶことは学んだ」というとき

倉田さんがファッション小売業界へ飛び込むことになったのは、日本への帰国がきっかけです。当時、GAPジャパン設立のタイミングで、ファイナンスの担当者として就職。4年間勤めたのち、コーチ・ジャパンへ転職します。

ファイナンス、PR統括、オンラインショッピング、カスタマーリレーションシップなど、業務の幅を広げた倉田さん。コーチ・ジャパン在職中、いくつかの企業から社長業の誘いを受けました。

グローバル人材として活躍する倉田さんも、社長業はとても責任が重い仕事だからと、3年ほど悩んだといいます。しかし、最終的には、自分の軸に立ち返り、決断を下すことにしました。

「自分はこれまでワクワクと心躍ることをずっとやってきた。今の自分が心躍るのは、周囲の人が成長することのきっかけをつくること。社長業は、自分が心躍る仕事に直結している」

そうして倉田さんは2014年、フルラの代表取締役として就任します。

倉田さんは転職を多々経験していますが、そのタイミングとポイントは「上司や部下、同僚がイヤだという理由ではなく、この会社で学ぶことは学んだなというとき」とのこと。“落ちこぼれ”だった倉田さんがいかにしてここまで歩みを進めてきたか、その秘訣は、学びへの貪欲さにあったのだろうと気づかされます。

日本一幸せな従業員がいる会社にしたい――社長就任後の取り組み

倉田さんが社長就任後すぐにとりかかったのが、従業員の幸せ度・充実感を向上するための取り組みです。
・全国のストアを訪れてスタッフの話を聞く
・半年ごとに全ストアスタッフと直接話す機会を設ける
・ストアマネージャーコンベンションという店長会議を開催する
上記のような取り組みを実行しました。また、2015年から従業員満足度調査を開始。回答率が7〜8割を超えると優良企業の証になりますが、フルラジャパンは回答率99.3%を打ち出します。

実は倉田さん、社員一人ひとりに「みんなの声を反映したい!」と直々にメッセージを送っていたとのこと。このような地道な努力が実り、2017年は短期の派遣職員の方も含む100%を超える回答率を達成したそうです。

実際、この調査を調査だけに終わらせることなく、フルラジャパンではきちんと制度化を実現しています。
・ストアスタッフの正社員化
・小学3年生までを対象とする子育てワークタイムシフト制度導入
・7日間の長期リフレッシュ休暇
・スキルアップを明確化したストアスタッフ対象グレード制度改訂
上記が実際に施行された制度です。「日本一幸せな従業員がいる会社にしたい」という倉田さんの意思が伝わってきます。

これからグローバルで活躍するために必要なこととは――

さて、これまでアメリカをはじめ、グローバルな世界で活躍してきた倉田さん。今後、若者たちがグローバルな世界で活躍するためには、どんなことが必要なのか。今回は「成長のレシピ」と題して、4つの大切な成長の要素を紹介してくださいました。

<成長のレシピ>

1.自分自身の軸を持つ
2.持続性
3.オープンマインド、素直さ
4.好奇心
まず、「自分の軸はこれです」と言えるものを持ちましょうと倉田さん。今はその軸がなくても、自分が楽しいと思うこと、ワクワクすることを追求していると、いずれ軸が見えてくるのだそうです。そして、その楽しくてワクワクすることを続けていると、次第にいろんな道が開けてくるのだとか。これは倉田さんのキャリアを振り返るとうなずける項目でもあります。

そして、オープンマインド、素直さは、さまざまな人材を見てきた倉田さんならではのアドバイス。成長できる人は他人からのアドバイスを真摯に受け止め、実行し、自分を変えていくことができるのだそう。身につまされる言葉です。

最後に、好奇心を高く持つこと。多忙な毎日を送る倉田さんですが、「旬の俳優はだれ?」など、いつもアンテナを張っているとのこと。流行を生み出すファッション業界にいる限り、必要な努力なのかもしれません。

最後に、倉田さんは学生たちに向けてさまざまなメッセージを残してくれました。
「学校は勉強をする場所ではなく、考える力を養うところ」
「グローバルでは、言われたことだけをやるというのではダメ」
「“わずかなこと”しか知らないと気づくために、“多くのこと”を知る必要がある」
「私たち一人ひとりが“可能性の門番”。その扉は内側からのみ開く」
すべてのメッセージに共通するのは、主体的に動く積極性です。もちろん、今後のグローバル社会では語学力は必須かもしれません。しかし、聴講者たちは、前進する勇気やどんな人とでも付き合えるしなやかさなど、倉田さんのものごとに臨む姿勢に強く刺激を受けたのではないでしょうか。彼らがこれまでにない新たな課題を見つけ、グローバル人材がこの場から育っていくことを期待します。

Photo&Text : Yuko Sugiura

 

今回お伺いしたセミナー主催者

国際ファッション専門職大学(仮称)

2019年4月に開学(認可申請中)する日本で唯一の「ファッション」「ビジネス」の専門職大学。「ファッションクリエイション」と「ファッションビジネス」で国際的に活躍できる人材を育てることを目的としており、高い実績を持つプロフェッショナルな業界人を教授陣に迎え、実践的なカリキュラムを実施。世界の著名なブランドや企業などと連携し、ファッション業界をリードする人材を養成する。資料請求はホームページから。

 

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