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Made in Japanにこだわるアパレル企業3社。品質のためだけじゃない、その理由とは?

国内で流通しているアパレル製品のタグを見ると、生産地が中国やベトナムなどのアジアの国々の名前が書かれています。これは今や、珍しいことではありません。しかし、そんな潮流の中でMade in Japanにこだわるアパレル企業の飛躍が目立っています。なぜ今、Made in Japanにこだわるのでしょうか―—。

アパレル品国産比率は5%以下に

1990年の調査では、アパレル品国産比率は50%程度を占めていました。それが、2009年になると5%以下まで落ち込み、2014年には約3%まで減少。国内生産工場は次々と閉鎖され、現在可動している工場でもさまざまな問題が山積みの状態です。

・慢性的な経営赤字で、人材を確保できない

経営状況が悪く、従業員に低賃金しか払えない。新しい人材も採用できない状態が続いている。

・職人の高齢化と後継者不足の問題

設備の老朽化が進み、若者が働きたいと思える環境が整っていないため、新しい人材を確保するのが難しい。熟練職人が高齢化し、次の世代への技術継承が難しい。

・海外の技能実習生を雇うも、長期的な人材確保が難しい

ベトナムやフィリピン、ミャンマーなど、発展途上国からの技能実習生が縫製工場の労働力になっている。しかし、過酷な労働環境に外国人実習生は嘆き、トラブルを起こすことも。実習生は長くとも3年で帰国してしまうため、人材不足解決につながらない。

・工場の営業力不足

工場は、営業をせずとも受注できた古きよき時代を引きずっている。工賃を上げる代わりにプラスαで何ができるのかを求めてくるアパレルメーカーの要望に応えることが難しく、受注量がなかなか増えない。

さまざまな問題を抱える国内生産工場だが、あえてこの斜陽産業の業界に働きかけ、Made in Japanにこだわったものづくりを始めたアパレル企業があります。
 

「ファクトリエ」

https://factelier.com

ECサイトでアパレル製品を販売をしている企業です。世界のトップブランド、プラダやアルマーニなどと契約する高い技術を持った工場と提携し、世界に誇るMade in Japanの純国産ブランドを立ち上げています。

同社で純国産ブランド第一弾となったのは、「Factelier by HITOYOSHI」。です。熊本県人吉市のワイシャツ工場と提携し、工場直販のECサイトにすることで中間コストを削減。同ブランドでは、有名ブランドが3万円で販売するクオリティのシャツが、1万円で購入できます。

受発注の仕組みも特徴的で、まず、初回生産ロットが500のうち250をファクトリエが買い取って販売。売れ行きがよければ残りの250を補充しながら販売するシステムを取り入れています。リスクの分担は工場とファクトリエで折半という構造です。

これが、「在庫が残らないように、もっといいものを」という向上心の誘発につながっているとのこと。また、商品タグには自分たちの工場の名前が入るため、職人たちもプライドを持って製造にあたります。

今では全国20の工場と提携している同社。この取組は縫製工場の救済にあたるだけでなく、地方創生にもなるとして注目されています。
 

「TOKYO BASE トウキョウベース」

http ://www.tokyobase.co.jp

TOKYO BASEも、国産ブランドを推すアパレル企業の1つです。同社のプライベートブランド「UNITED TOKYO」のショップに訪れると目につくのは、「GIFU」「NIIGATA」などの地名が記載された商品タグ。Made in Japanでもない縫製工場がある地名が示されています。

このブランドの特徴は、製品の素材・デザイン・加工すべて「ALL MADE IN JAPAN」にこだわり、かつ原価率50%というアパレル業界では考えられない高さを維持している点です。原価率という明確な数字で品質の高さを顧客に示しつつ、その分、純国産にして在庫回転率をあげることで利益を出すというモデルになっています。また、ZOZOTOWNなどの大手通販サイトでのみ販売を行い、その他の通販サイトでは販売しないことで手数料比率を安く抑え、効率的に販路を拡大させているそうです。

同ブランドの拡大はとどまることをしらず、2017年は海外初店舗として「UNITED TOKYO 香港」をオープン。さらに2018年秋には、原価率50%にこだわったカジュアル衣料ブランド「パブリック トウキョウ」を立ち上げるとのこと。日本の地方にある縫製工場の技術を、日本全国だけでなく世界へと拡散させる事業展開。これからも注目が集まりそうです。
 

零細縫製工場の営業役を担う「sitateruシタテル」

https://sitateru.com

昨今は、さまざまな人と企業などを引き合わせるマッチングサイトやプラットフォームが広がりを見せています。sitateruは、つくりたい人や企業と工場を結びつけるアパレル業界のプラットフォームです。

通常、縫製工場は100単位などのロットで発注しなければいけません。すると、個人のデザイナーなどは、生産を依頼することができない状況に陥ります。ただでさえ生産工場が減少している今、未来あるデザイナーたちを受け入れてくれる工場はありません。

そこで活用できるのが「シタテル」です。同社は、国内の高い技術を持った縫製工場170以上と提携。発注者との間に同社のコンシェルジュが入ることで、工場は小ロット生産でも適正な利益を確保できるようになり、これまで受注できなかった仕様の注文なども受けられるようになりました。現在は、ジャケットやワンピースなどの衣服から帽子や手袋、バッグなどのファッションアイテムまで幅広く依頼することができるそうです。営業力が弱い縫製工場にとっては、受注拡大のいい機会となり、そして、Made in Japanの高品質な製品で業界に貢献することができます。

 
Made in Japanを打ち出す企業たちの事業を見て、あなたはどう感じたでしょうか? 今回取り上げた3つのアパレル企業たちは、とどまることなく事業を拡大しています。今後はまた新たな事業者が参入し、Made in Japanにこだわったサービスを提供するようになるかもしれません。

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