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19世紀後半から21世紀までのファッション史を紐解き、いまを問う 「Think of Fashion Study 講座ファッション史 − プレタポルテ史 ウィメンズ −」レポート


ファッションを体系的に学ぶ講座を企画・運営するFashion Studiesが、6月から5回に渡ってファッションの歴史について学び、考えるための講座「Think of Fashion Study講座ファッション史」を開催しています。今回は第2回目として6月20日に青山スパイラルホールで行われた「プレタポルテ史ウィメンズ」についての講座をレポートします。

そもそもプレタポルテとは?

現在、私たちが日常的に着たり、またファッション業界に従事する人なら仕事でも取り扱ったりしている「ファッション」、または「洋服」と呼ぶものとは、いわゆるプレタポルテ(=既製服)です。オートクチュール全盛期から、どのような背景を経てプレタポルテが生まれたのでしょうか。

イベント当日は、あいにくの雨にも関わらず会場には熱心な参加者が揃いました。講師を務めるのは、文化学園大学非常勤講師で文化社会学(ファッション研究)を専門とする菊田琢也さん。フランスでプレタポルテが誕生した時代から現代までに、その時代ごとのキーとなるデザイナーをフォーカスしながら、既製服とは? ファッションとは?その問いに迫る講義となりました。まず、プレタポルテという言葉の定義から講義は始まりました。

「プレタポルテ(=Prêt-à-Porter)とは、Prêt-à-=〜の用意ができている、とporter=着るという意味を組みわせたもの。あらかじめ着る準備ができている、高級な既製服という意味で使用されます。低価格衣料品に対して、高級な既製服とは、例えばオートクチュールメゾンが作る既製服を指します」

もともとヨーロッパでは、この低価格の既製服を指す言葉としてコンフェクション(=confection)という言葉が使われていたそうです。

「ただコンフェクションが指すイメージはあまりいいものではありませんでした。作りも、質も良くなかったからです。一方、アメリカで既製服市場が発展していくなかで、ヨーロッパにも安いけれど質の良い既製服がどんどん輸入されていきました。アメリカの既製服(=ready to wear)に対して、プレタポルテという言葉が生まれ、第二次世界大戦後から使われ始めます」

プレタポルテの歴史を辿る

プレタポルテはいかに普及し、現代の形になっていったのでしょうか。1949年、パリの婦人服メーカーである「ヴェイユ(Weill)」がこの用語を初めて使用したのだといいます。そして50年代以降、『ヴォーグ』などのファッション誌でプレタポルテ特集が組まれるようになっていくのです。

「60年代前後頃から、オートクチュールメゾンがプレタポルテラインを続々と始めます。オートクチュール(≒高級仕立て服)に対して、価格を抑えデザインも簡略化し、工場で生産したプレタポルテ(≒高級既製服)がどんどん展開されていきました」

ただ実は、それ以前にもいろんなブランドが既製服の試みを行っていたのだそうです。こうした歴史のひとコマを学べることは非常に興味深いことです。

「特に注目されたのが1934年、ポール・ポワレとパリの百貨店プランタンが提携した既製服です。ポワレのデザインが既製服に落とし込まれて、値段がつけられ販売されていく。これがすごく成功したそうです。あのオートクチュールのポワレの作品がこんな値段で買えるということで、成功したのですが、一回限りで中止してしまいました。というのも、ポワレはプレタポルテにそれほど興味がなかったようで、どんなに成功しても結局続けなかったそうです」

さて、60年代の頃に話を戻すと、「Saint Lauren Rive Gouche」をはじめ、多くのメゾンがプレタポルテラインを開始し、こうした広がりを受け、1973年パリにプレタポルテ組合(Prêt-à-Porter des Couturiers et des Créateurs de Mode)が設立されたといいます。その後、プレタポルテの歴史に名を刻むキーデザイナーやブランド、重要な出来事などが、10年単位の年代ごとに菊田さんの視点から紹介されました。

最後には、現在のファッション業界について、菊田さんが関心を寄せている点について言及がありました。

「2015年以降、移民・難民危機が深刻な社会問題となっているなど、西洋社会の構造変化が起こっています。中東やアフリカなどから移民がどんどん流入している状況は、西洋型のライフスタイルやファッションにも少なからず影響を与えているように思います。西洋のものとは異なる宗教や文化、身体観を有する人たちの存在を意識したデザインが、パリのファッションシーンにどんどん入ってくるのでは。また、もうひとつ決定的なのがジェンダー問題です。『ヴェトモン』はメンズファッションウィークで、レディスも平然と登場させていますし、レディスのコレクションにメンズが出てくるといった状況がファッション業界では起きています。これまで業界が明確に線引きしていた男性向け、女性向けという区分、あるいは男性はズボン、女性はスカートといった洋服における性差がどんどん崩れてきています」

2010年代も終盤を迎え、2020年代に突入しようとしている今、あらゆる面でテクノロジーがさらに進化し、人々のファッションとの関わり方や環境に対する関心なども多様に変化しています。これからの時代にどんなファッションが求められ、またそのなかでどんなデザイナーが誕生するのでしょうか。未来のファッション界を考えるうえで、プレタポルテの歴史を学ぶことには大きな意味があるのではないでしょうか。

Text :Etsuko Soeda

今回お伺いしたセミナー主催者

FashionStudies (ファッションスタディーズ)

http://fashionstudies.org/top/
文化、ものづくり、ビジネスなどを軸にファッションを体系的に学ぶ講座を企画・運営する。またwebマガジンもサイト上にて展開し、ファッションを多方面から掘り下げた独自のコラムや、イベントレポート、インタビュー記事などを掲載。

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