消費者心理を熟知したカリスマ販売員としてメディアでもおなじみの橋本和恵さんに、販売ノウハウを余すところなく教えていただく連載も、いよいよ最終回。最後は、販売員として奮闘されている読者の皆様から日頃多く寄せられる悩みをピックアップ。ひとつ一つ丁寧にお答えいただきました。
【Q&A1】
【Q&A2】
もちろん、お迎え・お送りのとき、お客様が笑顔になったときは、私も自然に笑顔になります。ナチュラルな笑顔であれば、疲れることはありませんよ。
【Q&A3】
コンプレックスはむしろ、あったほうがいいでしょう。お客様の気持ちに寄り添えるからです。私はアトピー性皮膚炎で、顔が赤く、肌荒れしやすいというコンプレックスがあります。これまでに20社近くの化粧品メーカーで美容部員を務めてきましたが、どこでも本当によく売れました。敏感肌の方の気持ちに寄り添えるからでしょう。
洋服の場合なら、背が低い、ウエストが太い、腕が太い、脚が太いといったコンプレックスをお持ちの方であれば、同じ悩みを持つお客様の気持ちがよく理解できると思います。そういった方に悩みを解決できるアイテムを紹介すれば、きっと喜ばれるはずです。
お客様は単純に商品だけを買いに来るわけではありません。「私の気持ちをわかってくれる人から買いたい」と思っているのです。
【Q&A4】
プレゼントする相手の言葉を想像して代弁してみましょう。たとえば、「この商品はすごく人気ですので、あけた瞬間に『かわいい!』と喜んでくださると思いますよ」「ご自分ではなかなか買わない物ですから、プレゼントされたら『うれしい!』と喜ばれるはずですよ」などです。相手に喜ばれてこそ、プレゼントする甲斐があるというもの。“喜ぶ”という言葉を強調するのがポイントです。
逆に、言ってはいけない言葉は「どなたへのプレゼントですか?」。お客様へのプライバシーに土足で踏み込む言葉であり、「彼女というほどの関係ではない相手だけど……」「ちゃんと『彼氏』と答えるべきなの?」などお客様を戸惑わせてしまいかねません。
とはいえ、贈る相手について何らかの情報がないと、いっしょに選ぶのが難しいのも確か。そんなときは「たとえば」で聞きましょう。「たとえば、20代ぐらいのお相手ですか?」「たとえばカジュアルとエレガント、どちらを好まれそうですか?」という聞き方であればハッキリした答えを必要としません。“たとえば質問”を重ねることで、よりニーズやターゲットを絞り込むこともできます。
【Q&A5】
私はおススメしません。連載2回目で「試着や試用後は『上品ですね』と言う」とお伝えしましたが、似合わないと思ったらそうは言わず、「いかがですか?」とお客様にお尋ねしています。もちろん、お客様が気に入っている場合に止めることはありませんが……。
お客様から「どう思う?」と聞かれた場合は、改善策をお伝えします。「白は膨張色ですから、上に刺し色を持ってくるといいと思いますよ」「ボリュームのある素材ですので、Vネックなどシャープなトップスと合わせるといいですね」という感じです。
【Q&A6】
【Q&A7】
常連やリピーターさんは、「このブランドが好き」という気持ち以上に、「このブランドの〇〇さんから買いたい」という気持ちが強いものです。そして、多くのファンをもつ販売員とは“お客様の価値観に寄り添い、ともに問題を解決し、ニーズを満たそうとする姿勢”と“お客様へのちょっとした心遣いができる”という共通の特徴があります。お客様に「この人から買いたい」と思わせる販売員が多いお店であれば、ネットにお客様を取られてしまうことはありません。
今回お話を伺った方
橋本和恵さん
売れる売れる研究所代表。さまざまなメーカーで驚異的な売上を記録した「カリスマ販売員」として、多くのメディアにも登場する販売のプロ。どんなに売れない販売員も6ヵ月で売れる販売員に変身させる「橋本式売れる接客方程式」を編み出し、販売員研修で実践した100%の企業の売上増を実現している。
今回お話を伺った橋本和恵さんの著書
『誰でもアッという間に不思議なくらい商品が売れる販売員の法則』
「販売は才能ではなく技術である」という信念のもと、自身の実体験(実験)に基づき導き出した“商品が売れるための法則”を紹介。わかりやすく書かれた橋本流ともいうべき法則の数々はオリジナル性にあふれ、かつ誰もが実践しやすい、販売員の方におすすめの一冊です。