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デザイナー退任騒動の裏側で起きていることとは?ラグジュアリーブランドで働く販売員に聞いてみた。

ブランドの行く末を担う重要な役割である、クリエイティブディレクター、デザイナーの退任騒動はここ数年、ファッション業界の大きなニュースとして取り上げられています。デザイナーの退任理由や次期デザイナーなどがメディアで取り沙汰される一方で、その背景で働く人たちに何が起きているかは意外と知られていません。

今回、某ラグジュアリーブランドの販売員として働くAさんに、実際に経験したことのある“デザイナー退任劇の裏側”についてお聞きすることができました。一体、ブランドで働く人たちはどのようにして退任について知り、どのように感じているのでしょうか?

やはり有名メゾンのデザイナー退任の影響は大きい?

−有名なラグジュアリーブランドでのデザイナー退任は影響が大きいですか?

影響は絶大です。特に、そのデザイナーだからこそ購入する、“ファン”の多いブランドにとっては痛手になります。元々ファンが多いデザイナーがブランドに就任すると、最初はブランドイメージを一新するため顧客様の層もがらっと変わります。それだけブランドの売り上げに絶大な影響をもたらすことになるので、それが退任となればその分の影響が間違いなくあります。

−では、就任のときもお店への影響は大きい?。

まず、顧客様が大幅に入れ替わりましたね。前任のデザイナーの頃に購入していた顧客様はほとんど来なくなりましたし、反対に影響力のあるデザイナーが就任すれば新たに買いに来るお客様が増えます。デザイナーの就任自体がニュースとなり、メディアで大きく取り上げられることで業績に大きく影響します。

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販売員にはいつ頃どうやって公表される?

−ちなみに、販売員にはいつ、どのような形で通知が来るんですか?

実は、以前私がいたブランドの場合は販売員も全員、メディアで報道されるまで知りませんでした。本国での発表日が決まっていたことは後から知りましたが、社内でもかなり内密のことだったようです。一度、メディアで噂が流れたときに社員の間で話題になり、本社に問い合わせたスタッフもいましたが、結局教えてもらうことはできませんでした。多分、本社や本国の社員も直前まで知らされていなかったと思います。

本格的な通知は、実際に退任する1週間くらい前の全世界の社員に向けたメール配信でした。

−知るタイミングはお客さんと同じくらい?

ブランドや会社の方針によりますが、全世界に展開するラグジュアリーブランドでは、デザイナーの退任について事前に知らされることはあまりないと思います。理由としては、外部に漏れないためにはもちろん、社員の退職を防ぐためでもあると思います。でも、結局メディアで先に報道されてしまうんですけどね(笑)。一度メディアで取り沙汰されてしまうと、ショップでお客様に「本当はどうなんですか?」とよく聞かれました。でも、私たちも知らないので、本当に「分かりません」としか言えないんです。

−通知がくるとショップではどんな反応がありますか?

噂はあったにしろ、ショックは大きかったです。一部では泣いているスタッフもいました。でも、デザイナーがいなくなることに悲しむ人って実は少ないんです。ラグジュアリーブランド経験者はデザイナーの退任、交代をしょっちゅう経験しているので慣れているんですよね(笑)。意外と、いなくなるショックよりも“売れなくなる”ショックの方が大きいんです。

−そうなんですか!それは意外です(笑)。

ラグジュアリーブランド経験が長い販売員は、結構ドライに受け取っていますよ。それよりも、デザイナーが変わることで会社の方針が変わるので、そこに戸惑う人の方が多いかもしれません。私の時もデザイナーが変わった途端、接客スキルアップのための研修がかなり増えました。

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辞める人は増える?トップセールス販売員の退職を防ぐための会社の取り組み

−辞めたいっていう人は増えたんでしょうか?

増えましたね。会社の方針が変わったことに不満を感じて辞める人もいれば、辞めたデザイナーを追って次のブランドに移る人もいました。また、「残留しても給料が下がることはないから給与面で不満に思わないけど、大幅な給与アップが見込めるわけでもないからとりあえず様子を見る」という人も多かったです。

中でも会社が本当に辞めてほしくない一部の「トップセールス」の人たちに新たなポジションが用意され、手当が支給されることもありました。良い人材に留まってもらうために会社側も色々な策を考えていたようです。

−Aさんが感じる、働く側のメリット・デメリットは?

有名なデザイナーの退任に関する話題が一度メディアに出てしまうと、かなり早い段階でお店に影響があります。まだ次のシーズンもそのデザイナーの商品を売るのにとても残念です。

普段から日本のラグジュアリーブランドではバッグやレザーグッズの売り上げシェアが大きいので、ますます洋服が売れなくなってしまう現象にも繋がります。そう考えるとメリットの方が少ないかもしれませんが、デザイナーが変わるということは、裏を返せばまた新たな時代を一から見れるということです。ある意味、貴重な体験なんですよね。

ラグジュアリーブランドの販売員として働くということは、デザイナーのつくる世界観をショップで体現できる唯一の仕事です。デザイナーの退任騒動にまどわされずに、素晴らしいコレクションをお客様に届けることが私たちの使命であり、誇りある仕事だと思っています。

−ありがとうございました!

Aさんはこれまでに2度デザイナーの交代を経験されているとのこと。その当時を思い返すと大変なことばかりだったそうですが、一方でデザイナーの退任は、自身のキャリアを見つめ直す良い機会になるそうです。

ファッション業界の一大ニュースとして取り上げられるデザイナーの退任劇ですが、その背景で働いている人たちはいたって冷静で、個々が高いプロ意識を持って働いていることがよくわかりました。ラグジュアリーブランドで働きたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょう。

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