BARNEYS NEW YORK(バーニーズ ニューヨーク)のインタビュー
INTERVIEWインタビュー
バーニーズ ニューヨーク(以下、バーニーズ)は、プレステージブランドから、気鋭のデザイナーアイテムまで、独自の審美眼による幅広いセレクションで、ファッション感度の高い男性、女性を魅了し続けるスペシャリティストア。
今回は、バーニーズ ニューヨーク横浜店のメンズフロアを担当するセールスアソシエイト原田直也さんに、バーニーズ流の接客のコツや、働く環境についてお聞きしました。
難関をくぐり抜けて勝ち取った採用
−バーニーズの新卒採用はかなりの応募数だとお聞きしました。その中で2〜30人の方たちが選ばれるということですが、このように高い倍率を誇るバーニーズを受けようと思ったのはなぜですか。
単純にかっこいいと思ったのが、一番の理由です。もともとファッションが好きということもありますが、バーニーズには歴史があり、これだけのデザイナーズブランドを揃えているショップはほかになく、憧れの存在でした。デザイナーズブランドはもちろん、クラシックもたくさんありますし、総合的にメンズファッッションに携われるのはここしかないと思いました。
−入社までの経緯についてお聞かせください。ファッション分野での経験はこれまでにありましたか?
大学生の時、新宿にあるファストファッションブランドでアルバイトをしていました。その頃からファッションの分野で働くということを意識し始めました。そのショップは上司と部下の間に隔たりがなく、意見も言いやすかったですし、アルバイトの大学生も社員の方たちのように色んな経験をさせてもらえたんです。
僕はフロアよりも特にストック業務を中心にやっていたのですが、生産性の効率をどのようにしたら向上できるかなど、いろいろと試行錯誤しながらやっていました。
−そうした地道な努力を重ねてきた経験が、採用につながったのですね。
面接では、とにかくアルバイトで必死に頑張ったということをメインに話をしました。その店舗は特に売り上げもすごく高いところでしたし、レジ打つと言っても、1分間に何人のレジ打つのかというくらいの規模でした。この時の経験はほかのショップではなかなかできないですし、そういう環境の中で努力してきたという自信がありました。
−それ以外にはどんなことをアピールしましたか?
応募者はもちろん洋服好きやファッションにすごく詳しい人が多かったのですが、何か人とは違うことをしたいと考えていました。
自分のファッションをアピールする場があったんですが、ちょっと独自のアプローチをしたくて、「赤いベルトに、赤いパンツを揃えてみました」と、こんな感じでファッションのポイントを説明する人はほかにいなかったので、ちょっとは印象に残ったのかもしれません(笑)。
バーニーズならではの貴重な体験
−入社して最初に感じた、これまでのアルバイトでの経験と違った点とは?
普段生活している中では出会うことのない、ビジネスや様々な分野で成功された方たちと接することですね。学ぶことが本当に多いんです。お客様から自分にプラスになることが少しでもあればいいなと常に思っています。
−そうした方々への接客というのは、最初は大変だったのではないでしょうか?
そうですね。所作や、言葉遣い、たたずまいなど、どうするべきか、戸惑いましたね。目上の方にこんな新人の僕が洋服について話をしていいのかとも思いましたし。
−どうやって乗り越えたのですか?
何よりも先輩を見て覚えたことが今のベースに成っていると思います。新入社員にはスポンサーという、入社した時から何から何まで見てくれるメンターのような先輩がつきます。一人で接客についた後、より良い対応をするためにはどうするべきか、などのアドバイスしてくれます。このことが大きかったですね。
−スポンサーからもらったアドバイスで印象的だったものはありますか?
最初は言葉遣いや、お客さんとの間の取り方、接客に入るタイミングなどが全然わからなかったんです。そんな時、接客へのゴーサインを出してもらったりしていました。それから、注意深く見ていると「こういう感じでお客さんの懐に入っていくんだ」など、本当に勉強になりました。
特に、お客様には色々なタイプの方がいるので、タイプに合わせて接客方法を使い分けている点はとてもためになりましたね。そのあたりのアドバイスは今も生きています。
−入社した直後は、そうした接客のノウハウに加えて、商品知識もまだまだ乏しいですよね。原田さんはどのようにして商品知識を学んでいったのですか?
基本的にはトレーニングを受けますが、調べて分かることは自分なりに調べて身につけていきました。最初はクラシックの担当だったのですが、商品について何一つわからなかったんです。
朝の就業時間前に早く来て、先輩に教えてもらうこともありました。もちろん、シーズンの始まりになると、各フロアのMDによる勉強会が月1回くらいの頻度であるので、そこでも必死に覚えました。あとは休みの日を利用していろんなショップを見て回ることもしてきました。
−お客さんとのつながりも重要ですよね。顧客を作るためにやっていることとは?
僕は1人の方を接客する中で2、3回はお客様を笑わせたいなと思っています。結構緊張してこられる方も多いので、ちょっとフランクで、親しみやすさを感じてもらえたらと思っています。
−鉄板の持ちネタなどあるのでしょうか。
いえいえ(笑)、特別ネタがあるわけではなく、その場の雰囲気と直感を信じて接客しています。
−なるほど。お客様の立場になると、確かに緊張をほぐしてくれるのはありがたいことですね。他にも接客する上で実践していることはありますか?
顧客になってもらうために、僕はいつもあえて今流行っている服以外に、絶対その人に似合うというものをお勧めするようにしているんです。そこで提案したものを気に入ってもらえると、その方は必ず戻ってきてくださいます。一度着てもらえれば納得してもらえる自信があるので、ご提案させてもらっています。
フランクなコミュニケーションで、心地良い環境に。
−バーニーズの社風はどういったものでしょう?
上下関係はあまりなく、みんな仲が良いことが特徴ですね。友達とはまた違いますが、仲間としての意識は強いんです。一緒に飲みに行くことも多いです。仕事帰りなど、誰かしら誘い合って、お酒を飲みながら、仕事のことやそれ以外にもいろんな話をします。
本当に個性が強い人たちばかりで楽しいんです(笑)。そして全員に共通していることとは。いい人が多いですね。
−先ほど先輩の方から色々と学んだというお話がありましたが、後輩の方に対してはどんな風に接するよう心がけていますか?
極力注意したり、叱ったりしないようにしています。どうやって伸ばすか、ほっとくわけにはいきませんが、自分で気づいてもらうよう導けたらと思っています。気づかない場合はもちろん言葉で説明することもありますが、今後成長していくために何をやっていくべきか、自分も先輩を見てきたように、後輩たちにも学んでもらえたらと思っています。
−バーニーズで働くためにはどんな人がふさわしい、または求められていると思いますか?
もちろん洋服が好きなのはベースにありますが、洋服以外に同じものくらい好きなものがあるということも大切だと思います。
お客様との接客の中で色々な引き出しを持っておくという意味でも趣味にも力を注ぐことは大事なのでは。僕の好きなものですか?お酒です(笑)。話すことが好きなので、仕事仲間や友人とお酒を飲みながらじっくり話ができる場が好きなんですよ。
インタビュー中も、リラックスした表情でフランクにお話しくださった原田さん。きっと顧客の方も原田さんになら、安心してショッピングの相談ができるのでしょう。顧客になってもらうための独自の接客術など、とても興味深い内容を話してくださいました。