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「次の挑戦は原点回帰」リステア・柴田麻衣子クリエイティブディレクターインタビュー【後編】

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長年バイヤーとして、業界屈指の感性でリステアというセレクトショップを成長させたとともに、日本のファッション業界に多大な影響を与えてきた柴田麻衣子さんのインタビュー。

後編ではファッション業界で働く方、これから業界を目指す方に向けた温かいメッセージをいただきました。

バイヤーに求められるのはコミュニケーションと編集能力

−ファッション業界で働いている方の多くが、バイヤーやPRを目指しますが、バイヤーとして活躍するための秘訣とは?

会社によると思いますが、今は色んなものが同質化している時代ですよね、考え方も物も。
その中で、ユニークなアイデアを出せる力というのは絶対に必要だと思います。

今は、個人でも買い付けができるし、自分でPRもできる時代じゃないですか。別に会社に所属しなくたっていい。でも、やっぱりお店やブランドの中でそれをキャリアとしてやっていくとなると、どれだけ柔軟なアイデアをハングリーに出せるかが大事だと思うんです。特にバイヤーは、どれだけ鮮度のある情報をどこよりも早くホットなうちにお客様に届けられるかにかかっているので。

−そのためには情報収集にもスピードが必要ですね。

ファッション業界は、ファッションウィークに行ってそこで情報収集するのでは遅いというぐらいスピードが早い世界です。どこに行って何を見るかは既に決まっているぐらいじゃないと遅い。今流行っているものを見に行くのでは遅いですし、1歩、2歩先よりも、5歩10歩先ぐらいいかなければならないと思います。

−優秀なバイヤーの定義を他に挙げるとしたら?

数字にも強い方がいいですね。数字と感性は相反するものですが、とても重要です。私はその部分を社内で助けていただいたりしていて、そういうブレーンを持つのも一つの手段かもしれないですね。

−バイヤーと聞くと、買い付けをしているイメージが強いですけど数字と向き合う期間が結構長いですよね。

数字は計画を立てる時に必要です。ただ、すごく難しいのは、去年のデータから傾向がある程度わかったとしても、「それを本当にそうすべきなのか?」という結論は、自分の持つ情報や経験と照らし合わせて、出していかなければならないんです。だから数字も大切ですが、それだけでは足りないのです。

気の利いた一言を切り出すのが苦手な販売員が増えた

−バイヤーは憧れの職業の一つですが、地道な作業についてはあまり知られておらず、華やかと思われがちですよね。

それはそうかもしれないですね。達成感はもちろんすごくあるんですけど、ただ半年後に結果が出るものなので、実感がしづらい面はあるかもしれません。その半面責任もとても大きいと認識しています。そういった意味でも、そんなに華やかではないけど、ものすごく感動的な瞬間にたくさん出会える職業だと思います。

−積み重ねがあって実際に買い付け売っていく。達成感があるけど、同時に次のシーズンのこと絶対考えておかなきゃいけないから大変な職業でもありますね。今後、バイヤーになりたいと考えている方に向けたアドバイスをお願いします。

海外に行って、やっぱり日本人に欠けているなって思うのは言葉です。今、アジア勢に追い抜かれつつあるのも語学の問題が強いんじゃないかと思うんですね。海外に買い付けに行きたいなら絶対そこは外せません。情報も入れられないので。

あと、語学力があった上でにはなりますが、バイヤーの仕事ってお店のスタイリングを組むみたいな、ちょっと大きなスタイリストみたいな役割でもある。そういう意味ではものをどう見せるかという編集能力も必要です。

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−今は高いものが売りにくい時代になってきたと思いますが、販売員の方に向けてがどのようなメッセージを伝えていますか?

私達が服をものすごく買っていた時代の販売員さんって、もっと色んなことについて知っていた気がするんです。服だけじゃなくて、とにかく情報に貪欲だったというか。その人がいるお店に行くと楽しくなっちゃう、そんな話題をいっぱいくれる人が多かったと思うんですけど、今は多くの人がコミュニケーションを苦手と感じていると思うんです。

SNSのせいかな。気の利いた一言をどう切り出すかが難しいと感じる販売員の方が多い気がします。もっとディベートする機会が増えるといいのかもしれませんが、他の人が知らないような情報を知っていれば引き出しも多くなるのでやっぱり情報収集が大切だと感じます。

ファッション業界の変化の波を感じて

−今の日本のファッション業界、トレンドは変わりつつあると実感しますか?

大きく変わってきたと感じます。例えば大きなマーケットで言うと根本的にお洋服に対する出費が減っていますし、使う額も減っています。リステアでは顧客の年齢層が幅広かったのがだんだん明確化されてきています。

また、ブランドだからといって買わなくなってきているのも事実です。昔は「このブランドだったら何でも買う」って時代があったんですけど、ブランドというより、旬なものとか旬なトピックに飛びつくような傾向もあるので、ファッションのサイクルがより早くなっています。

−売る側としてのジャッジも難しくなっています。

リステアとしての役割は、今までも「旬のものを旬な状態で届ける」というのがコンセプトだったので、それは変わらずやっていきたいです。ただその精度をもっと上げなくてはいけないと感じています。より感度の高い、新鮮なものを正しい時期に提供できるお店にしていきたいです。

−柴田さん、またはリステアが今挑戦したいこととは?

直近で、今やりたいと思っているのは原点回帰なんです。「なんだこれ!?」みたいなことをまた創造したいなっていう、私の中の無鉄砲な部分がウズウズしてきていて(笑)。プラス、国内外問わず、若いデザイナーがもっと外に出ていけるようなサポートなども、少しずつですが始めています。今までリステアが多くのブランドと関わってきた中で、ある種の信頼感みたいなものをブランドやお客様に対して作ってこれたと思っています。そういう部分を生かして、いろいろなことにチャレンジしていきたいです。

−ありがとうございました!

大きなプレッシャーがある中で、結果を作り出していく柴田さんのバイイングに対する考えには、バイヤーを目指す方々にとって大きなヒントがいくつもあると思います。めくるめく業界内の変化に対応しながら、確固とした信念を持って仕事に取り組む姿が印象的でした。

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