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雇用条件が聞いていたものと違いすぎる…波風を立てずに改善してもらう方法はある?労働契約とその条件を示すこととは

蓋をあけてみると、意外に狭い世界であるファッション・アパレル業界。人と人との繋がりを活かし、知人の紹介などで転職される方も多く見受けられます。残念なことではありますが、口約束で転職を決めてしまい、蓋を開けてみたら、職場環境、待遇、仕事内容などが聞いていたことと全然異なっていた……という話を耳にすることもあります。こんな場合、会社側に改善を求めることはできるのでしょうか?今回はファッションと法律を考えるWEBサイト「FASHIONLAW.JP」メンバーである弁護士の河瀬季さんに、法の専門家の立場からアドバイスをいただきました。

最近転職をしましたが、内定の際に聞いていた条件と、働き出した現状の条件(収入、業務内容)が異なっており、困惑しています。
小さな会社への転職で、労働条件なども口約束で進めてしまい、雇用契約書を結んでいません。契約書が無いということは、現状の条件で働き続けるしかないのでしょうか?条件面を内定の際に聞いていた内容にしていただく対処法はありますか?できれば、波風は立てたくないのですが……やはり納得ができず、今の環境で働き続けるには、モチベーションも下がってきてしまっています。

労働契約は、「雇用契約書」がなくても成立していますし、その条件は「内定の際に聞いていた条件」です。ただそうは言っても、「そのことをどう証明するか」というのは、また別の問題です。万一でも、いつか「波風を立てても良い」と思うようになるかもしれないのですから、今は証拠集めをしておくことをオススメします

雇用条件が聞いていたものと違いすぎる…波風を立てずに改善してもらう方法はある?労働契約とその条件を示すこととは。

労働契約は契約書がなくても成立する

労働契約の成立に、必ずしも「雇用契約書」は必要ありません。理論的に言えば、口頭でも契約は成立し、口頭での合意内容、つまり内定の際に聞いていた条件で契約は成立しています

では「雇用契約書」とは何か?というと、大きく、二つの役割を担う書面です。

まず、契約のために使われる書面だということ。「口頭でも契約は成立する」とは言っても、労働契約においては、賃金や労働時間など重要な条件が多く存在するため、契約を書面で行うことが望ましい、ということです。

次に、条件明示のために用いられる書面だということ。
会社側は従業員側に対し、賃金や労働時間から休職に関する事項など、各種の条件を法律上明示しなければならず、また、特に重要な賃金等については書面で明示することが要求されています。その明示方法として「雇用契約書」が用いられることが多い、ということです。ただ、こちらについては、雇用契約書ではなく「労働条件通知書」「雇用通知書」を用いるケースも多いと言えます。

いずれにせよ、「雇用契約書」などの書面は、作ることが企業側に求められているものであり、それを作らないことで従業員側が不利になるというのは、本来あってはならないことです

ただし、内定の際に聞いていた条件をどうやって証明するかは別の問題

ただ、「内定の際に聞いていた条件」で契約が成立したことをどうやって証明するか……というのは、また別の問題です。
いくら「内定の際にはこういう条件だと聞いていた」と言っても、会社側が「そんなことは言っていませんよ」と言い、そして何も証拠がない、という状況になってしまうと、結局、「内定の際に特に条件面についての合意はなかった」という話になりかねません。

もっとも、小さな会社ということですが、その会社には、どのように入社されたのでしょうか?例えば、友達から紹介され、まず社員などにメールでコンタクトを取り……といった経緯であったならば、条件面についてもメールか何かでのやりとりが残っていないか、という望みがあります。

労働契約は契約書がなくても成立する。
言い換えれば、どんな形式のものであっても…「雇用契約書」でも「メール」でも「録音」でも……とにかく何か証拠があれば、「内定の際に聞いていた条件」での契約成立があったことの証拠になり得るのです

したがって、「自分はそもそも書面での明示を受けていない」「そして内定の際に聞いていた条件はこうであった」と証拠付きで主張すれば、「内定の際に聞いていた条件」と「働き出した現状の条件」の給与の差額などを要求することもできます。

雇用契約書とは

……ただ、これは、完全に波風を立ててしまう方法です。

今は証拠集めを行っておいてみては。

「波風を立てずに、自分の要求を通す」というのは、なかなか難しいものです。
例えば、他の人を引き合いに出して、「私は構いませんが、他の人が騒ぐとマズいですよ」と会社を心配してみる、など、いくつか方針はあり得ますが、結局のところ「会社側に応じる気がないなら、波風を立てるしかない」というのが正直なところです。

相談者様は、当然ながら納得できないでしょうし、現在も既にモチベーションが下がっているとのこと。ひょっとしたら今後、万が一「波風を立ててでも」という気持ちになるかもしれません。例えば、良い転職先の話が見つかり、転職後に「やはり今考え直しても、前の会社(現在お勤めの会社)での待遇は納得できない!」とお考えになるかもしれません。そうした場合に備え、現在から証拠を集めておく、というのはどうでしょうか?

例えば、内定の時に話をしていた担当者に、飲み会のドサクサで「一ヶ月○○万円と仰ってたのに」などと切り出し、「たしかにあの時はそう言ったけど……。」などと言わせて、それを録音しておく、というのも良いでしょう。仲の良い同僚にメールを送り「私も内定の時に聞いていたのと違う条件で働かされている」といったメールを貰うのも良いでしょう。こうした証拠を積み重ねれば、後々「波風」を立てた際に、要求を通すことができる可能性はあります

人は「同僚」でなくなった人に対しては、冷たいものです。例えば上記の「担当者」は、相談者様が転職した後だと、警戒して何も言わなくなるかもしれません。「仲の良い同僚」も、相談者様が転職した後だと、同じようにメールを送っても「よく分からない」などと返してくるかもしれません。今だからこそできる証拠集め、というものもあるのです。

なるべく波風を立てない方が良い……というのはもちろんなのですが、上記のような「証拠集め」についても検討してみては?

今回お話を聞かせてくれた方
FASHIONLAW.JP
弁護士 河瀬 季さん
FASHIONLAW.JP 弁護士 河瀬 季さん

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。ファッション・音楽好きの弁護士として、デザインなど知的財産権関連や労働問題を含む、各種アパレル業界関連の法律問題などを手がけている。

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