大好きなアパレルの仕事を続けてはいるものの、いつも頭の片隅で気になっているのが「お金」のこと。
「いつまで経っても貯金ができない」
「この先ずっとこのお給料で暮らしていける?」
誰かに相談したくてもなかなかできなかったお金の悩みについて、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんにアドバイスをいただきます!
お仕事上、ファッション・美容関係の支出が増えるのは仕方のないこと。とはいえ、「アパレルだから洋服代がかかる」「表参道勤務だからランチ代が高い」と、貯められない理由をあげるばかりでは、いつまで経っても貯金はできません。「ではどこを削ろう?」という発想をもちましょう。
1.「どこを削る?」という発想を持ち、固定費と変動費の割合を見直してみる
まず見直すべきは、「固定費」と「変動費」の割合です。「固定費」とは、家賃・保険料など支払額が毎月一定のもの、「変動費」とは、食費・交際費など月により支払額が変わるもののことです。携帯電話代などの通信費や、水道光熱費は、厳密にいうと毎月価格が変動しますが、毎月決まって引き落とされるという意味で、ここでは「固定費」として考えてください。
この区分で考えた場合、固定費と変動費の割合は、5:5が目安となります。固定費が6割以上だと自由に使えるお金が減り、「節約しているのにお金が貯まらない」という状況に陥りがち。「固定費」の割合が高いという人は、減らせる固定費がないかどうか、検討してみるとよいでしょう。
そのほか、使ってよい金額の目安を下表で年収別にまとめていますので、参考にしてください。
家賃は「月収の20〜30%」
家賃は、手取りの30%が上限。もしオーバーしているなら、もっと家賃の安い住宅への引越しを検討しましょう。
月収 | 使っていい金額 |
---|---|
18万円 | 3.6〜5.4万円 |
22万円 | 4.4〜6.6万円 |
24万円 | 4.8〜7.2万円 |
28万円 | 5.6〜8.4万円 |
30万円 | 6.0〜9.0万円 |
食費は「月収の13〜15%」
独身の方は3万円以下が目標。あまりに食費を切りつめると健康や充実感を損なうので無理はしないで!
月収 | 使っていい金額 |
---|---|
18万円 | 2.3〜2.7万円 |
22万円 | 2.9〜3.3万円 |
24万円 | 3.1〜3.6万円 |
28万円 | 3.6〜4.2万円 |
30万円 | 3.9〜4.5万円 |
水道・光熱費は「月収の5〜6%」
電気・ガス・水道代はこの範囲内に。水道代は2ヶ月に一度支払う自治体が多いので請求額を半分にして試算を。
月収 | 使っていい金額 |
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18万円 | 0.9〜1.1万円 |
22万円 | 1.1〜1.3万円 |
24万円 | 1.2〜1.4万円 |
28万円 | 1.4〜1.6万円 |
30万円 | 1.5〜1.8万円 |
通信費は「月収の5〜6%」
携帯電話やインターネットなどの通信費はとくに使いすぎが目立つ項目。プラン見直しなどでやりくりを!
月収 | 使っていい金額 |
---|---|
18万円 | 0.9〜1.1万円 |
22万円 | 1.1〜1.3万円 |
24万円 | 1.2〜1.4万円 |
28万円 | 1.4〜1.6万円 |
30万円 | 1.5〜1.8万円 |
交際費は「月収の3〜5%」
独身であれば食費+交際費=手取りの20%以内が理想。あまりケチると友達や出会いが減ってしまうのでほどほどに。
月収 | 使っていい金額 |
---|---|
18万円 | 0.5〜1.0万円 |
22万円 | 0.6〜1.1万円 |
24万円 | 0.7〜1.2万円 |
28万円 | 0.8〜1.4万円 |
30万円 | 0.9〜1.5万円 |
被服費は「月収の3〜5%」
月に1万円なんて無理!という人は多いもののこれが現実。削れない場合は他の支出を抑えて捻出を。
月収 | 使っていい金額 |
---|---|
18万円 | 0.5〜1.0万円 |
22万円 | 0.6〜1.1万円 |
24万円 | 0.7〜1.2万円 |
28万円 | 0.8〜1.4万円 |
30万円 | 0.9〜1.5万円 |
出典:『最新版 貯める!』氏家祥美著・主婦の友社
2.家計簿アプリを活用して自分の消費パターンを知る
日々ファッションに携わっていると、ついつい社販をしてしまったり、新作に目がくらんだり、誘惑も多いのではないでしょうか?
自身の行動や無駄遣いのパターンを知るためにも、家計簿をつけるのはおすすめです。家計簿アプリを使えば、スマホ上で管理できて便利。おススメは『マネーフォワード』と『Zaim』です。
おススメ家計簿アプリ
『マネーフォワード』
「口座ごとの入出金履歴をスマホひとつで手間なく知りたい」という人向け。銀行口座、ポイントカード、証券口座、電子マネーなどとの連携により、それぞれの入出金履歴や残高がひと目で分かります。
『Zaim』
「口座の入出金履歴と自分の買い物ぐせをどちらもチェックしたい」という人に。カフェ代、ファッション代などオリジナル費目が作れるうえ、支出をグラフで視覚的にチェックできます。
どちらのアプリも無料版がありますので、ぜひ試してみてください。
3ヵ月ぐらい続けると、「こんなにコンビニで買い物していたんだ!」「家にいるとついネットショップで買い物しちゃう」など消費の傾向がつかめます。
それにもとづいて「コンビニを通らないルートで帰ろう」「家でPCばかり見ないようにしよう」など生活パターンを見直していきましょう。
3.消費パターンを把握したら、無理せず貯金をはじめる
削るべき費目や消費パターンをつかめたら、いよいよ貯金です!貯金額は、一人暮らしであれば手取り月給の1割、実家暮らしや夫婦共働きの方は2割を目安に。最初から頑張りすぎてしまうと、普段の生活に無理が出てきます。「慣れてきたら少しずつ貯金額を増やそう」ぐらいの気持ちではじめてみましょう。
貯金の方法でいちばん便利なのは、【給与天引き型の財形貯蓄】です。会社にその制度がない場合は、お給料が振り込まれる銀行の自動積立を利用しましょう。通帳と印鑑だけで簡単に手続きができ、毎月一定額が自動的に定期預金の口座に回されます。
ポイントは、「自動積立の口座は、結婚・家の購入・不慮の大けがなど大きな出来事がない限り下ろさない」ということ。旅行でも下ろしてはいけません。
お金を貯められる人の共通点は「シンプル」です。行動やライフスタイル、考え方、すべてがシンプル。お金をかけるところとかけないところがはっきりしていて、見栄をはることがないのです。
私はこれまで、たくさんの人の家計改善のお手伝いをさせていただきました。「年収が高いのに貯金できない」という人も少なくありません。でも、生活パターンが改善されるとムダ遣いが減り、必ずお金を貯められるようになります。そのことで自分が納得いく生活が実現でき、その人自身もすごくキラキラ輝いてくるのです!
気持ちがスッキリし、「自分でお金と生活の管理ができる」という自信が、内面からの輝きにつながるのかもしれませんね。
*「固定費」と「変動費」の割合を5:5に
*家計簿アプリで消費パターンをつかみ、削れる費目を探る
*月収の1割を自動積立で貯金する
本日お話を伺った方
氏家祥美|うじいえ・よしみ
ファイナンシャルプランナー。お金・仕事・時間のバランスのとれた幸福度の高い家計を追求する。『いちばんよくわかる!結婚一年生のお金』(学研パブリッシング)、『35歳からの女性に贈るこれからのお金のお作法』(秀和システム)ほか著書多数。
Text:Hidemi Hosoi(RhythBiz)/ Edit:Mio Takahashi(Fashion HR)