HR TALKS

キャリアコラム

接客販売の仕事はいつまで続けられる?ファッション業界・販売員のキャリアアップを叶える5つの答え

「この仕事(接客販売職)は、いつまで続けられますか?」

これは私がファッション業界の人事として仕事をしていて『よく聞かれることのベスト3』に入る質問です。Fashion HR読者の皆さんの中にも、同じような疑問をお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか?

この質問に対して、いつも私の答えは決まっているのですが、今回のコラムでは過去によく販売スタッフの方から実際に受けた質問を元に、Q&A形式で接客販売職の方が抱える5つの“お悩み”に答えていきたいと思います。同じような悩みを抱える接客販売職の方は、ぜひご自身の課題解決の参考にしていただければ幸いです。

今回のコラム執筆者

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合同会社NOBuコンサルティング|青栁 伸子さん

東京都生まれ。人事・総務・ITを専門分野とするコンサルタント。日系企業、日系ベンチャー企業での人事経験を経て、1999年にラグジュアリー・リテール業界へ転身。エルメスジャポン、ボッテガ・ヴェネタジャパン、フォリフォリジャパンの各社で人事・総務部門の責任者として、人材育成・組織開発・制度設計などにあたる。同時にビジネスパートナーとして、経営陣に対して人事的な側面からのサポートを行い、会社の業績向上にも寄与。特に接客販売職の「専門職」としての地位確立、処遇の改善、女性が無理なく永く働ける環境づくりなどに注力。2015年にコンサルタントとして独立。

『この仕事(接客販売職)はいつまで続けられますか?』

『あなたが続けたいと思う限り、いつまでも』

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私には知り合って15年以上になる友人がいますが、彼女は今でも(60代になっても)接客販売の仕事を続けています。もちろん、フルタイムでの勤務はハードなので、1日の労働時間を短くして、週3日くらい勤務する「派遣社員」という仕事のしかたです。

彼女は現役の時(定年退職前)は店長を経験したこともありますが、「今の方がずっと楽しい」と言って、毎日ニコニコお客様と過ごしています。私も含めてたくさんのお客様が彼女に会いたくてそのブランドに通ってしまうのは、何より彼女がブランドと接客販売の仕事と、そしてお客様が大好きで、本当に楽しんで働いているからです。

また、通常の勤務に加えて、これもかなり異例な事ながら、そのブランドが新しい店舗をオープンする時には、必ず彼女に声がかかって「新店舗オープンのヘルプ」に抜擢されています。これはひとえに彼女の接客スキルの高さやお客様への対応の素晴らしさが、ブランド側に認められて評価されているからです。私も永年ブランドで人事の仕事をしていましたが、新店舗のオープニングメンバーの選定にはとても気を使いましたし、新しいメンバーが多い場合には、他店舗から一定の期間「応援」という形でベテランのスタッフに入ってもらうようにしていました。

新店舗のオープニングというブランドにとってはとても大切なイベントで、彼女は新しいスタッフへの指導やお店のオペレーションのサポートなどを担当して、とても強力な助っ人になっています。今年のGINZA SIX(銀座に新しくできた複合商業施設)のオープン時には、ブランドが交通費と宿泊費を負担してまで、大阪からの出張を要請したほどです。……素晴らしくないですか?こんな働き方!

彼女の楽しそうな仕事ぶりを見ているので、私の答えは「あなたが続けたいと思う限り、いつまでも」になるのです。年齢を重ねることで、体力的にはキツく、しんどくなると思います。彼女自身も「フルタイムではもう無理」と言っていました。ただ、「こういう働き方を認めてくれるブランドがあったのは、私にとってもラッキーだったわ」と今のブランドにも感謝していますので、今まで同様、もうしばらくは仕事を続けるのだろうと思います。どこにそんなエネルギーが?と思うほど、いつ会ってもニコニコしていて楽しそうなので、ひょっとして70の声を聞いても、店頭にいるのでは?と思ってしまうくらいです。

皆さんが今までに積み上げてきた「経験・知識・スキル」は皆さんだけのもので、例えば10年の経験には10年分の重みがあります。若手の社員が逆立ちをしても敵わないこの経験値を武器に、年を経ても楽しく仕事を続けてください。今、世の中では「働き方改革」が流行語になる程、働き方の多様化が求められています。これはベテランの皆さんには追い風になるはずです。

まずは「どんな形で仕事を続けるか」を考えて、その働き方の実現に向けて努力をしてください。望めば道は開けるはずです。

『いつか本社の仕事がしたいのですが、可能性はありますか?』

『可能性はゼロではありませんが、準備が必要です』

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接客販売の仕事をしている方が「オフィス(本社)で働きたい」と思い、相談を受けることはとても多く、その度にこんな答えをしています。

可能性は誰にでもありますが、本社への異動を実現するには準備が必要です。かなり厳しい話になるかもしれませんが、簡単に「準備が必要なこと」をご説明します。

1. 外資系企業の本社で仕事をするのならば、語学力(英語)はMUST(必須)です。

今、あなたが外資系のブランドで仕事をしているか、あるいはいずれは外資系のブランド(企業)の本社で仕事がしたいと思うのならば、語学力(特に英語)は必要です。それもただ「話せる」だけではなく、ビジネスレベルの語学力が必要です。ペラペラと流暢に話せる必要はありませんが、ビデオ会議の席で意見を求められる、本国(海外)からゲストが来日した際にアテンド(例えば店舗訪問)をする、突然電話がかかってくる、など英語を使う場面は数多くあります。

例えばメールでのやり取りがメインとなる仕事であれば、翻訳ソフトを使ってなんとかする、という方法もあるかもしれませんが、翻訳ソフトの英語が正しいかどうか、意味が相手にきちんと伝わるか、メールの返信として必要な情報が提供できているか、誰が確認するのでしょうか?その度に上司にお願いしますか?

語学力といってもただ単に英語が話せるだけではなく、自分の意見(言いたいこと)が要領よく、簡潔に言えるかどうかも大事なポイントです。また、日本人はどうしても文法的に正しい英語を話そうと思うばかりに、沈黙してしまう傾向が強いと言われていますが、言葉はコミュニケーションのためのツールです。多少文法が間違っていたとしても、相手に伝わる事が大事です

今となっては笑い話ですが、私自身もラグジュアリーリテールの業界に転職した直後は、自分の英語に自信が持てずに、本国(ブランドの本社)からかかってくる電話から逃げ回っていました。そんな私を救ってくれたのは、最初の出張でパリに行った時に本国のマネージャーが言った「私達にとっても英語は頭痛のタネなのよ。私も英語苦手だし。」という一言でした。考えて見れば確かに本国がイタリアやフランスという英語圏ではない国にある場合、彼女たちにとっても英語は母国語ではないのです。それがわかってから、私も恐れずに英語でコミュニケーションをとるようになりましたし、伝えたいことを整理してメールを書いたり電話をしたり、という工夫をするようにもなりました。

語学力を磨くのと同時に、日本語力も磨いてくださいね。日本語できちんとしたコミュニケーションが取れない方は、英語でも「話せるけれど中身がない」ということになってしまいます。繰り返しになりますが語学は「コミュニケーションのツール」です。伝えたいと思うことから全てが始まります。英語は「学問」ではないのです。

2. ビジネスマナーを身につけてください

例えば「お客様」に当たる方と話をする場面でも、店舗で接客の場面で使う敬語とビジネスシーンで使う敬語は異なります。また、取引先に電話をして訪問のアポイントを取る、ということも販売職の時代には経験がないかもしれません。

例えばこんな場面に遭遇したら、どんな電話をかけて相手の方とアポイントを取るのか、ちょっと考えてみてください。

(例)あなたは、有名なチョコレートのブランドの営業担当です。先輩が突然の病気で退職してしまったため、後任を務めることになりました。ある得意先企業の広報担当の方と「今年のクリスマス用商品とイベント」について打ち合わせをしなければならない時期になっていますが、先輩は引き継ぎもなく退職してしまい、あなたの手元には広報担当の方の名刺と、昨年のクリスマス時期のイベントの記録があるだけです。取引先の方(ある企業の広報担当)は、先輩が退職したこともご存知ないかもしれません。

さて、あなたならどうしますか?取引先としては大事な(取引額も多い)企業なので、いきなりメールは失礼になりそうです。

少しハードルが高いかもしれませんが、オフィスで仕事をしているとこんな場面に遭遇し、どうすれば良いのか誰にも聞けない、などという事が多々あります。こんな時の電話やアポイントのマナー、正解はひとつでは無いかもしれませんが、最低限「失礼ではないレベル」のビジネスマナーはぜひ身につけておいてください。

もちろんそれ以外にも名刺の交換、客先を訪問した時の立ち居振舞い、ドレスコード、取引先とのおつきあいの仕方、先輩や上司に同行するときのマナー、タクシーの止め方、乗り方、「上席」はどこかという問題等々、今までオフィスで仕事をした経験がない方には馴染みのない決まり事やルール、マナーが多いかもしれません。ただ、これらは「ビジネスマナー研修」というような新人・若手社員向けの研修に参加すれば、身につけられることですし、本を読んで一通りの知識を身につけることは可能です。

3. PCスキルも大切です

例えばブランドのVMD担当として、ある店舗にそのシーズンのディスプレイの確認と修正(手直し)に行ったと仮定します。修正前と修正後の写真を撮って、どんな点が良くできていたか、どこをどう直したか、なぜその手直しをしたか、などのコメントを添えて自分の上司に報告をする。1日に2店舗でその作業をしたとすれば、上司への報告はその日のうちに2店舗分必要になりますね。

これらの「写真を撮る」「自分の作業をまとめる」「メールに写真を添付して、コメントを書く」「上司に送る」という報告を、サクサクとあまり悩まずに作業できなければなりません。自分の意見やコメントをまとめる事に時間は使えますが、写真を添付したりメールを書いたり、というPCを使った作業に手間取っている暇はありません。翌日には別の店舗に行く予定があるでしょうし、それ以前に今日のあなたの作業(手直し)に上司からダメ出し(再手直しの指示)があったら、もう一度その店舗に行かなければなりません。

以前、「残念だったケース」の方は、このPCを使った作業がとても遅かったのです。作業報告のメールが届くのが翌日の午後になる事が頻繁に起きて、部門全体としてのパフォーマンスにも支障が出てしまいました。私達のようにオフィスで仕事をしている者から見れば「何故そんなに時間がかかるの?」と疑問に思えるほど、PCの作業が遅かったのです。

今、皆さんはメールを書いたり送ったりは「得意」と思っていらっしゃるかもしれませんが、ビジネスメールを送る事は、お友達にメールを送るのとは少し事情が違います。また最近ではLINEのようなチャットツールを社内メールの代わりにビジネスに使う企業も増えていますが、だからと言って上司とタメ口でLINEをして良い訳では無いことは、少し考えていただければわかることです。

Word, Excel, PowerPointなどはビジネスでよく使う基本的なソフトウェアですが、これらをある程度のレベルで使いこなせることや、メールの送受信を適切なタイミングできちんとできること(メールの文章の言葉遣いを含む)は基本的な要件です。お友達とのチャットやインスタグラムがどれほど得意でも、残念ながらそれはビジネス上のPCスキルとは認められないのです。

『子育てとの両立は可能ですか?』

『もちろんです。でも会社や家族の理解と協力も必要です』

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今、時代の変化に伴ない「女性の活躍」がクローズアップされていますが、女性を、特に子育て中のお母さんをとりまく環境は決して「活躍を支援する」ものではないかもしれません。

フランスの企業に勤めていた時には、フランス人の同僚に「産休に入るけど、子供が生まれたら5週間ぐらいで戻るからよろしくね?」と言われて、本当に驚いた事がありますが、その頃と今を比べても日本の「子育て支援」は少しも先に進んでいない気がします。当然、フランス人には産休・育休で約2年仕事を離れて、最悪の場合職場復帰できない、という典型的な日本の事例は「全く理解不能」で「政治の怠慢」とまで言われたものです。

育児休業が終わったら仕事に戻りたい、と希望しながら、保育園がみつからずに退職していった社員を過去に何人も、いえ何十人も残念な気持ちで見送りました。退職していく社員に必ず伝えていたことは「子育てはいつか終わる時が来るので、その時は会社に戻ってきてね。それまでも例えばイベントの手伝いで月に1日か2日でも良いので、会社と繋がっていてね。」ということでした。子供を預けるところが見つからなければ、また見つかったとしても様々な事情によってフルタイムで仕事に戻ることは難しいかもしれません。時間短縮勤務であっても、企業側が歓迎しないかもしれません。会社にそういうシステム(規程)がない場合もあります。だからといって仕事をすることを諦めてしまうのは、とても“もったいない”と思います。

子育ては10年と言われています。お子さんが小学校の4年生になる頃には、もちろん個人差はあるでしょうが、子育ては一段落するそうです。塾やクラブ活動などでお子さんが忙しくなってしまったその時に「さあ、フルタイムで仕事に戻りましょう」と思っても、今度はなかなか仕事がみつからないという現実があるようです。経験があっても社会人としてのブランクがある人よりも、若くて現役の人を採りたがる会社が多いですから。そこでお願いしたいのは「月に1日でもいいから、何か仕事をすること」できれば「元居た会社(ブランド)とのつながりを切らないこと」です。

例えば私の居たブランドでは繁忙期と言われる忙しい時期や、期間限定店舗の運営などに、子育て中のお母さんに声をかけて仕事をしてもらっていました。「一日5時間で15:00までの勤務」というような条件付きでも、全く新しい方に一から教えるよりも、色々な事に慣れている“お母さん部隊”の方がありがたかったからです。また、オフィスで急にヘルプ(事務作業のお手伝いなど)が必要になったような時にも、平日の昼間の数時間で2日間だけというようなアルバイトで“お母さん部隊”に活躍してもらいました。この中には少しずつ仕事をする時間と日数を増やしてフルタイムの勤務に戻りつつある方もいます。

育児休業が終わったらフルタイムで仕事をする、と決めてしまうと子育てとの両立かなり難しくなります。そこを「できることから少しずつ、完全復帰は10年後」と少し考え方を変えてみると、道は開けると思います。働き方というとつい「フルタイムで」と考えがちですが、働き方改革は「働くということへの考え方改革」なのかもしれません。どんな形でも良いので「働く」と考えると、選択肢の幅は広がりませんか?在宅でできる仕事(例えばデータの入力やオンラインショップの運営のお手伝いなど)も最近では増えています。外に出て働くことだけが「働く」ことではありません。どんな形ならば子育てと両立して無理なく仕事ができるのか、情報を集めて考えてみてください。

社会情勢も今から5年も経てば大きく変わっていて、待機児童などという言葉が死語になっているかもしれません。そんな時代もあったわねぇ、と笑い話になる未来が来ると良いですね。

『目標にできるようなロールモデルが見つかりません』

『パーツモデルを探して、自分のスタイルを作りましょう』

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ロールモデルとは「お手本になる人」のことです。あんな人になりたいと目標にする人ですね。ところで、ロールモデルが見つかったとして、その人を完全にコピーすることはできるでしょうか?

ロールモデル(仮にAさんとします)には、その人の人生がありました。今Aさんが35歳だとすると、単純計算で12,775日の、生まれてから今日までの積み重ねでAさんができています。この12,775日を完全にコピーすることが不可能なことは、おわかりいただけますよね。

Aさんのどこが素敵ですか?なぜAさんをロールモデルにしたいのでしょうか。ファッションセンスですか?立居振舞いですか?お客様に対する心遣いですか?何事にも前向きな考え方ですか?Aさんのすべてを真似ることはできなくても、素敵な部分の一つ一つをパーツ(Aさんの構成要素)と考えて真似することはできますね。

あなたにはあなたの歴史があります。あなたも35歳だとすると、12,775日の積み重ねであなたができています。これから先の「モデル」を一人に決めてしまうのではなく、Aさんのこれとここ、Bさんのこのパーツ、Cさんからはこのパーツをいただきましょう。という感じで素敵なパーツを集めて次の自分を作ってみてはいかがでしょうか?それはあなただけの「オリジナルモデル」になります。誰のコピーでもない、あなただけのものです。もちろん「お手本になる素敵な先輩」が居た方が良いとは思いますが、その人と全く同じにはなれない、ということは心にとめておいてください。

また周囲には「素敵ではない」人もいますね。あの人のあそこだけは好きになれない、とか、どうしてあの人はあんな物の言い方をするのだろう、と思うようなネガティブモデルがいる場合には反面教師にしてしまいましょう。私は「これだけはしない、言わない」ということです。

ただ、ネガティブモデルだと思う方にも、素敵なところはあるはずです。ロールモデルにしようと思っていたAさんにも、えっと思うような黒いところがあって、そんな場面を目にしてしまうかもしれません。ロールモデルを持って目標にしていくことは悪い事ではありませんが、その人のコピーになることはできませんし意味もありません。また、妄信してしまうことも危険です。「あの人の素敵なところをいただいて、もっと素敵な私になろう」そんな形で自分のオリジナルモデルを作ってください。

そしていつかあなたに憧れてくれる後輩ができたら、良いパーツを沢山さしあげられる先輩でいてください。

『キャリアアップのために何をしたらいいですか』

『ご自分が必要だと思うことを自腹で(自分のお金と時間を使って)勉強してください』

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私自身、ビジネスの場面で英語でコミュニケ―ションが取れるのは、高校時代から語学学校に通っていたことと、1か月でしたが英国の外国人むけの語学学校に短期留学したことが大きかったと思っています。特に短期留学は「ホームステイ」でしたので、ホストファミリーと毎日話をしていましたし、ホストファミリーには5歳から9歳の3人の子供がいて、英語のレベルが似通っていたのかホストマザーには良く笑われました。何より自分の希望を何としてでも伝えないといけない、という状況下で「多少文法が間違っていても、単語を並べるだけでも話す(言ってみる)」という毎日でした。もちろん語学学校では「正しい英語」を習っていましたが、「生活する英語」は学校で教えてもらうものではありませんでした。

私が英語は「コミュニケーションツール」とういう持論を持っているのは、この時の経験によるものです。ちなみに、この語学留学の費用は、留学を企画したツアー会社が用意した「社会人になったら支払開始」というローンを組んでいましたので、帰国後入社した会社でもらう毎月の給与から返済をしていました。

また、人事の仕事をするうえで必要な知識やフレームワーク、論理的に物を考える力などはグロービスというビジネススクールで40代になってから身につけたものです。当時の私にはかなり思い切った額の投資でしたし、忙しい中での時間のやりくりも大変でしたが、グロービスに行っていなければ今の私は無いと断言できるぐらい、良い勉強ができ素晴らしい人間関係も築けました。学校を離れてしまうと中々「勉強をする」という環境に身を置くことはできませんが、あえて「新しい知識やスキルを身につける」と決めて、自分に投資をすることは将来必ずあなたの役にたつはずです。ただ、語学もそうですが「いつかは役にたつ」その『いつか』がいつなのかはわからないのです。

高校時代と短期留学で身につけた語学がビジネスで役にたったのは30代後半、勤めていたIT系の会社が外資(米本社)に買収された時でした。グロービスで身につけたスキルや知識は、今でも役にたっていますし、当時の恩師とつい最近約20年ぶりの再会をしたところです。そういう意味では「いつかは役にたつ」のを待っているのではなく、いつか必ずこの知識やスキルを使う、役立てると思っていることが大事なのかもしれません。

余談になりますが、私の本の英訳をお願いした株式会社アルビスは古くからの友人の会社です。今回の翻訳以前にもビジネス上で翻訳や通訳をお願いしたこともあります。ただ、彼女の会社への最初の「仕事」の依頼は20年近く前になります。本の英訳をお願いしたことで思い出したのですが、IT企業から転職をする際に私の職務経歴書のネイティブチェック(英語が母国語の方に英文のチェックをしてもらうこと)をお願いしたのです。当時、ビジネスで英語を使ってはいましたが、自分の英語が「暮らす英語(生活する英語)」のレベルだということはわかっていましたので、自分で書いた職務経歴書が英語として文法的に正しいのか、職務経歴書として魅力的なのか全く自信がなかったのです。彼女とは「そんな事もあったわね」と笑い話になりましたが、私がIT業界からラグジュアリー・業界に転職できたのは、ネイティブチェック済のしっかりした職務経歴書の力が大きかったかもしれません。「プロにチェックしてもらったから大丈夫」という安心感は、何かと不安な転職活動中に心の支えになりましたし、その後転職の度ごとにこの「ネイティブチェック済の職務経歴書」が活躍したことは言うまでもありません。もちろん「お友達価格」にはしてもらいましたが、費用はしっかりお支払いしました。

会社が資格の取得や語学のスキルアップなどを「サポート」してくれるのであれば、ありがたく受けて良いと思いますが、自分の財産になるものを勉強するのに、人の(会社の)お金をあてにするのは何か違いませんか?自腹の覚悟があなたを磨きますし、支払った額以上のものをもたらしてくれるはずです。

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『自分のキャリアは自分で作るものです』

今回のコラムで取り上げたテーマ以外にも、ご自分のキャリアで悩むことは多いと思います。私も今だからこそいろいろと経験談を語っていますが、振り返ってみれば30代、40代、50代の前半ぐらいまでは悩みの中にありました。

そんな中で持ち続けていたのは「自分の人生は自分のものだから、自分で組み立てていこう」という覚悟でした。20代の最後に離婚を経験していましたので、余計にそんな覚悟を決めていたのかもしれません。仕事をしていれば、大げさな言い方をすれば生きていれば、毎日いろいろな事が起こります。起きた事件を無駄にせず「経験」として自分の中に取り込んでいくことができれば、40代、50代の人生が豊かになります。「あ、あの時の経験がここに繋がるのね」と思ったり、「あの時の投資がようやく回収できたのね」と思う日がいずれきます。

その日のためにも「面白い」と思ったこと、興味を持ったことにはとりあえずトライをしてみてください。このコラムを書いている間に知人から「フランス(パリ)のファッション系のディプロマ(学位)が、日本で勉強して取れるようになる」という情報が入ってきました。(詳しくは『ファッションを学び直したい社会人にも!エスモードジャポンの新プログラムとは?』の記事を参照してください)

いいなぁ、うらやましいなぁ……というのが私の正直な感想ですが、私自身が仕事を辞めてまでMBAを取りに行くには年齢的に難しく、それでも勉強がしたくてグロービスに通ったように、ファッション系の学位が欲しいと思っている方には大きなチャンスだと思います。

自分で考えて選択し、時間とコストをかけて身につけたものは、一生の財産になります。知識やスキルだけでなく、そこで得たネットワーク(人間関係)も大事な財産です。先のことはわからないからこそ、自分の意志で道を決めて、ご自身のキャリアを作っていってください。

《青栁 伸子さんの著書》

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『人を幸せにするMétier お客さまを虜にする最強の接客サービス』
エルメスやボッテガ・ヴェネタなど、憧れのラグジュアリーブランド。それぞれのブランドでスタッフ育成を手がけた人事コンサルタントが、顧客の心をつかむコツを伝授する。人事のプロが贈る接客販売職への賛歌。

 

 

 

 

 

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