2月28日に開催された「2016-17年秋冬ミラノ・コレクション」のランウェイショー。さまざまなブランドやファッショニスタがSNSで情報を共有するなか、「MSGM」がSNSへの写真投稿を禁止したことが話題となりました。今や、ファッション業界のプロモーションツールとして欠かせないSNS。しかし便利な一方、デメリットが少なからずあるのも事実です。今回は、そんなSNSとファッション業界の関係について考えてみました。
ファッション業界でますます活発化するSNS
SNSを活用し、ブランドや消費者が情報を発信することはあたり前の世の中。新着情報のほか、コーディネート紹介、広告の展開、コレクションの動画配信、ファッションアプリの開発、店舗やECとの連動など、さまざまな活用法が注目されています。
インスタグラムで絶大なフォロワー数を誇る「フォーエバー21」では昨年、新たにメンズ専用アカウントを開設。「ジーユー」もインスタグラムを活用したカタログサイト「GU TimeLine」において売り上げを伸ばすなど、従来のSNSツールにも新たな動きが。
また、「バーバリー」はコレクションの模様をLINEで中継。「エルメス」ではファッショニスタを起用してインスタグラムでコレクションの様子をリアルタイムで投稿するなど、ラグジュアリーブランドにおいてもSNSは欠かせない存在に。SNSいうツールによって、より親しみやすいイメージをつけるという手法が主流になっていきそうです。
今や消費者への情報発信だけがSNSの活用法ではなく、昨年には、撮影やショーに出演するモデルのキャスティングを依頼から支払いまで一括管理できるSNSアプリ「Swipecast」がニューヨークで開発され、ファッション業界で話題になりました。
SNSの活用が盛んとなった今、他社との差をつけるため、企業のコンテンツの展開はますます進化していきそうです。そして、これまでSNSとは縁のなかった企業の参入も増え、企業にとっても消費者にとっても便利なツールとして更なる進展に目が離せません。
SNSがアパレル・ファッション業界にもたらすメリットとは?
これだけ多くの企業がSNSを取り入れている今、ファッション業界においてどのようなメリットがあるのでしょうか?
- 最新の情報が瞬時に発信できる
- 口コミにより情報が拡散できる
- イベントと連動できる
- 企業と消費者でコミュニケーションがとれる
- 掲載されたアイテムをそのまま購入できる
- 同じ趣味や嗜好を持った人とつながることができる
- 新たなファッショニスタが生まれる
企業にとっては、雑誌や広告とは違う常に最新の情報提供や、プロモーションができることが最大のメリットといえるでしょう。また、多くのフォロワーを持つファッショニスタが自社の商品やイベントの写真などを投稿することで、注目度が上がります。そのために企業は、SNSに投稿したくなるようなコンテンツ力が必要とされます。
消費者にとっては、スマホひとつで手軽に情報収集ができ、なおかつ買い物もできることが大きな人気の理由。また、自身がファッショニスタになれる可能性も広がります。
反対に、どんなデメリットがあるのか?
冒頭でお伝えした、「MSGM」のクリエイティブ・ディレクターのマッシモ・ジョルジェッティはSNS禁止について、「情報が瞬時に拡散されるとすぐに人々に飽きられてしまう」「スマホの画面を通してではなく直接目でコレクションを見てほしい」とういう理由を挙げました。
このように、メリットの裏側には以下のようなデメリットがあるのかもしれません。
- 情報発信に時間を費やす
- 情報が限定されてしまう
- 誤った情報が拡散されてしまう
- すぐに飽きられてしまう
- 買ったもののイメージが違う
- 個人情報流出のリスクがある
- 炎上・誹謗中傷のリスクがある
そして、SNSでは新しい情報発信を継続的に続けることが求められます。限られたスペースのなかで、フレッシュなコンテンツを日々更新し、コメント返信等でコミュニケーションもとる。企業には多くの時間と手間が必要になります。
消費者側が注意するべき点は、SNSでの情報はあくまでも“間接的な情報”であるということ。そして、自身の投稿でトラブルを起こさないよう、アップには細心の注意が必要です。
便利なSNSを正しく使う
自宅にいながらコレクションが満喫できたり、買い物ができたり。いつもフレッシュでオシャレな情報を供給してくれるファッション業界のSNS。
しかし、SNSの情報だけに縛られるのは避けたいこと。百聞は一見に如かず。SNSを通じで多くの情報を広く得ることも必要ですが、実際に自分の目で見て情報をつかむことも大切ですね。自分に本当に必要な情報はなにかをしっかりと見極め、SNSを上手に活用しましょう!
(Text:Sayaka Seko)