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H&Mジャパン社長 クリスティン・エドマンさんが語る「H&Mに学ぶ、ファッション業界における女性の社会進出」レポート【前編】

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2015年9月30日(水)からの3日間、日本最大のファッション展示会である、「ファッション ワールド 東京2015秋」が開催され、期間中、業界活性化と若手応援のための特別講演が行われました。錚々たるファッション企業のリーダーたちの講演のなかで、今回はH&Mへネス・アンド・マウリッツ・ジャパン代表取締役社長のクリスティン・エドマンさんによるセミナー「H&Mに学ぶ、ファッション業界における女性の社会進出」の講演内容をレポートします。
エドマンさんは、H&Mジャパン社長としての手腕をふるいながらも、8歳と4歳の2児の母であり、仕事と幸せな家庭の両立を成功させているロールモデルの一人でもあります。

自身の経験をふまえながら、日本のファッション業界において、ワーキングマザーがリーダーとして活躍するための重要なポイントを、明確に、そして力強く語ってくれました。

 

あなた自身、そして企業が変えるべきマインドセット

H&Mはスウェーデン発のファストファッションカンパニーとして、今やグローバルでビジネスを展開していますが、会社としての考え方にはスウェーデンのカルチャーが強く根付いています。男女平等、ワークライフバランス、女性のリーダーシップに基づいて成り立っていて、女性の社員は76%、そのなかで女性の管理職の人は72%にも達していると言います。

エドマンさんは冒頭でこう話しました。

「私がここでお伝えしたいのは、女性が持っているパワー、ポテンシャルについてです。そのポテンシャルを引き出すためには、2つの大きなマインドセットのチェンジ。考え方のチェンジが必要です。」

そのひとつ目は 「You can」

「あなた自身が自分のマインドセットを変える必要があります。あなた自身が今の組織のなかで、リーダーになれるということを信じて、キャリアを成功させ、さらに幸せな家庭も両立できるということを信じることです。」

そしてもうひとつが「We Must」

「これは会社のマインドセットの改革を表します。組織がリーダーシップにおける女性の影響力を重要視し、十分評価し、理解しなければなりません。一度この価値観を深く理解し、環境を整えることで女性たちのサポートをすることがよりスムーズになります。」

「私にはできる!」と強く信じること。“You can”のメンタリティ

エドマンさんの“You can”のメンタリティは幼い頃から培われたと言います。

「私の父は起業家で、彼が毎日パッションを持って仕事に打ち込み、母もパートナーシップとして情熱的に働いていました。その姿を見てきて、私もいつかビジネスの世界に身を置きたいと思っていました。そして時が経ち、夫に出会い、家族という大切な可能性を見つけたと同時に、刺激的なキャリアと未来の幸せな家族と両方を手に入れることはできるのか考え始めました。

おそらく自然な流れで結婚し家庭を持ち、仕事は諦めなければならないのではないかと思っていました。」

意外なことに、エドマンさん自身も結婚した当初は、いずれ自分のキャリアを諦めなければならないと思い込んでいたようです。しかしその考えを変えたのは、スウェーデンの女性の働き方を知ってからでした。

「スウェーデンに移り住み、私はH&Mで働くことになりました。そこで私のマインドセットは180度変わりました。

スウェーデンでは、いわゆる主婦と呼ばれる方たちはほとんどいません。スウェーデンの福祉を支える高い税金を支払うため、妻と夫はともに働く必要があります。

そこで私がみたのは、夫婦一緒に子育てをしながら仕事もバリバリこなし、お互いのキャリアをどう支えるかを考えている姿でした。スウェーデンの女性は仕事と子育てを両立させる権利があるという強い信念が根底にあります。どちらかを犠牲にする、選ばないといけない、ということは一切考えていません。

彼女たちはこのようなマインドセットで長い目でキャリアを見ており、1年や2年の産休、育休はキャリア全体で考えた時にネガティブなインパクトはないと信じています。女性はキャリアに対しすごく積極的に考えていて、明確なゴールを設定し、アクションプランを持って、個人が成長できるチャンスを掴んでいます。

スウェーデンの働く女性のポジティブでパワフルな姿勢にとても勇気づけられますよね。

さらにエドマンさんはこの経験をふまえ、“You can”のメンタリティを強く女性に訴えかけます。

「スウェーデンで実際に見て経験し、私を変えた考え方は日本の社会の状況も変えることができると信じています。

すべてがあなた自身から始まります。女性として自立し、自分自身のキャリアを築く姿勢が重要です。あなた自身がキャリアと家庭を両立することが可能で、母親になったときにキャリアヴィジョンを捨てなくていいと信じること。

そのためにはあなたのキャリアのゴールを達成するためにサポートしてくれる組織を見つけることや、あなたの夢を実現するためにサポートしてくれるファミリーネットワークが必要です。それがマネージメント職に近づく第一歩です。そして、リーダーシップを目指すことは決して夢ではなく、絶対確実になることだと思い聞かせることです。

そして“You can”の思いだけでなく、“You will”として、確実に実現することが大切です。」

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女性リーダーを生む 環境を整えることが重要

次にもうひとつのマインドセットのチェンジ、“We must”の精神についての説明が続きます。

「企業は女性の重要性を理解し、女性がリーダーになる必要性がある環境を整えねばなりません。女性たちが企業に求めているのは、取り巻く状況や直面する問題を深く理解し、受け入れることです。お互いにとってよい環境を整えることがロールモデルや女性のリーダーシップを生み出す力となります。

それを実現するために日本の企業はどんなことをすればいいのでしょうか。なぜ今そのような状況が必要なのでしょうか。エドマンさんは、日本社会でいまだ拭いきれない女性のリーダー進出への道を妨げる通説を指摘します。

「個人的な意見ですが、日本の企業の場合、女性がリーダーになることがなかなか難しいのは、3つの大きな要因によると思います。

ひとつめの通説は、女性は男性よりマネージャーとしてポジションを背負うためのストレスやプレッシャーに耐える能力が欠けているということ。しかし、これはまったく事実ではありません。H&Mでは性別と社員のポジションはまったく関係がありません。彼ら自身のリーダーとしての資質のみが問われます。私たちのグローバルな組織にもリーダーシップを担う女性は72%。この数字は女性がマネージャー職にふさわしくないという仮説が正しくないことを示しています。

2つ目の通説は、女性はいずれ子育てや家庭を選ぶので、管理職になれないということ。そして3つ目は日本ではまだまだ産休、育休がネガティブな印象になっていることでしょう」。

インタビューは後編へ続きます。

(Text : Etsuko Soeda)

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