昔から「ITやテクノロジーに弱い」というイメージを持たれていたファッション業界も、ウェブやSNSなどを活用するデジタル・マーケティングやEC(Eコマース)などを中心に、ここ数年で各社デジタル分野の活用は必須となってきています。
矢野経済研究所が発表をした「ファッション・インテリア・雑貨EC市場に関する調査結果2014」のデータをもとに書かれている、「Fashionsnap.com」の記事(5年で2.5倍成長、ファッション・インテリア・雑貨のEC市場規模が大幅拡大)によると、ファッション・インテリア・雑貨のEC市場規模はここ5年で、2.5倍(2008年:4,142億から、2013年:1兆512億)までに成長しているそうです。今後も益々成長していく分野であることは間違いないでしょう。
ファッション業界のリクルーティングに長年精通している転職エージェント、エーバルーンコンサルティングの代表取締役 池松 孝志さんにお話を伺ったところ「明確な統計データをもってはいないが、デジタル・マーケティング担当やWEBプロモーション担当、EC担当など、数年前にはほとんど見られなかったデジタル分野関連職の求人が近年急増していることは間違いなく、求人数はEC市場規模と同様に2008年に比べて5倍以上に増えていると感じる。」とのことでした。
WEBやECの強化、メディアの多角化やファッション系WEBサービスの増加に伴って、関連求人数が増え続けている
ファッション・アパレル業界でデジタル分野関連の求人数が増えている要因として、下記の3つの理由が考えられるでしょう。
- 各社がウェブ及びECを強化している(WEB運営関連、EC運営関連の求人の増加)
- 広告出稿は雑誌だけではなく、オンラインメディアへ。またSNSやオウンドメディアの運営など、メディアの在り方が多角的になった(オンライン/デジタル・マーケティング関連求人の増加)
- 「GILT(ギルト)」、「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」、「LOCOND.JP(ロコンド)」、「iQON(アイコン)」など、新しいファッション系WEBサービスの増加している(ファッション、デジタル双方の知識・スキルを必要とする求人の増加)
前ELLE girl編集長がファッションアプリ「iQON(アイコン)」のエディトリアルプロデューサーに就任したニュースが昨年話題となりましたが、メディア側でも紙媒体からファッション系ウェブメディア、ファッション系ウェブサービスなどの企業に転職する流れも多く見られるようになりました。特にファッション系EC企業では、各社売上シェア拡大をするべく争っていると同時に、人材獲得の競争も激化しています。
「ファッション」×「デジタル」関連の求人数が増加する一方で、企業側が求めるスキルや経験をもった人材を充足できていない現状があります。2008年以前はデジタル関連の職種自体が稀なものであったこともあり、転職市場では経験10年以上のベテランはほぼ存在していません。つまり、他の職種に比べると、若手にチャンスがあり、年収が高め、加えて、専門知識・経験を持っていれば転職に困ることがない、売り手市場の状況なのです。
「ファッション」×「デジタル」求められる人材とは?
では、求められる人材とは、どのようなスキルを持った方なのでしょうか?Fashion HRに掲載されているデジタル関連職の応募条件や仕事内容をチェックしてみると、おおよそ下記のような内容に集約されます。
ウェブ/EC系職種は、
- WEBサイトの運営、分析、管理経験(Google Analytics等の分析ツールの知識)
- WEBディレクションの経験
- WEBプロデュースの経験
- WEBサイト制作における知識、経験(HTML、CSSなど)
- フォトショップ、イラストレーターの実務スキル
- ECサイトの売上・在庫管理や、販売戦略企画立案の経験 など
デジタル・マーケティング職は、
- オンライン広告運用経験
- オンラインプロモーションの企画、運営経験
- オンラインメディアに関する知識
- デジタルメディア広告のトラフィック分析に関する知識 など
上記のようなデジタル分野の知識だけではなく、合わせてファッション・アパレル業界に関する知識や実務経験も合わせ持っている人材は現状では稀で、長期的にキャリアを構築すれば、転職に困らない上、好条件を望めます。
「ファッション」×「デジタル」分野はまだ成長の過程にあり、求人数は2015年も引き続き増加していくでしょう。ファッション業界で長く働く武器を探している方は、「ファッション」×「デジタル」を専門分野として、その道のスペシャリストを目指してみるのも良いかもしれません!
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Fashion HR編集部が執筆いたしました
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