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今年のファッション業界はどうなる? ファッション系人材のエキスパートが2018年を予測!

大手ラグジュアリーブランドのクリエイティブ・ディレクターの退任劇をはじめ、2017年もファッション業界には様々なニュースが飛び交いました。2018年がスタートして約1ヶ月になりますが、ファッション業界で働く私たちはこれからどんなことに注目していけばよいのでしょうか。また働く環境にどのような影響が起こりうるのでしょうか。

ファッション業界に特化した人材紹介会社のエーバルーンコンサルティング代表池松孝志さんにお話をうかがいました。

 

2017年のニュースから読み解く2018年のファッション業界

1.グッチフィーバー

2017年の大きなニュースを振り返ってみると、セリーヌのクリエイティブ・ディレクター、フィービー・ファイロ、そしてバーバリーのクリエイティブ・ディレクター、クリストファー・ベイリー退任のニュースがありました。この2つの事例がグッチフィーバーの話にどうつながるのかというと、グッチも2015年にアレッサンドロ・ミケーレがクリエイティブ・ディレクターに就任し、リブランディングしたことで、現在のフィーバーにつながっています。ですから、今後、クリエイティブ・ディレクターが交代することでセリーヌ、バーバリーがどのような変化を遂げるのかしっかり見守っていきたいと思います。

そして、グッチフィーバーに関して特に印象深いのが、ミレニアル世代の購入率がかなり高いということ。これは他のラグジュアリーブランドではなかなか見られない動きで、2017年第1~第3四半期の消費者の購入率において、全体の約55%を35歳未満が占めているという驚異的な数字にも着目しています。(「ウォール・ストリート・ジャーナル」2017年10月30日の記事より)

比較的年配の富裕層が購入者層の中心を占めるラグジュアリーブランドが多い中で、これだけファッション感度が高いミレニアル世代に受け入れられ、それにともなって世界でも日本でも売上が伸びているブランドは他に類を見ません。人材業の観点からいっても、2017年は特にグッチの人材採用力が高かったと思います。売上が伸びるとそれに並行して人材採用意欲も上がっていきます。ですから、今後グッチの成功例にならったブランドが出てくれば、人材採用もそれだけ活発になるのではないでしょうか。

2.百貨店の経営回復

富裕層の売上や外商が伸びており、インバウンドによる収益が2016年に比べて増えています。人材業の観点から見ても特に宝飾品、時計販売の求人が増えていたので、そういった面からも好調だったことがうかがえます。今(1/18取材日時点)、日経平均株価が24,000円に迫っていますが、株価がそれなりに高く、景気がいい状態というのは百貨店の経営にダイレクトに影響を及ぼすものと考えます。「BoF」(※)によると、ラグジュアリーブランドの購入率の7割が百貨店だそう。ですから、現在のように百貨店が好調だと、ラグジュアリーブランドも恩恵を受けやすいと言えます。業界全体が縮小傾向にあるとはいえ、百貨店の経営を左右する株価や景気の動向には、各ブランドも注目しているのではないのでしょうか。

人材面に関して言えば、GINZA SIXが2017年にオープンしましたが、人材獲得にはどのブランドもかなり苦戦していました。これまで人材不足といえば地方やアウトレットなどで聞かれることが多かったのですが、銀座の一等地でもこの問題が起こっているということに、人材不足に対するブランドの深刻度は相当高いのではと感じました。

※BoF=「ザ・ビジネス・オブ・ファッション」…2006年に英国で設立された、ファッションビジネスに携わる世界中の業界人の間で必読とされているウェブメディア

3.アパレル企業が住宅やホテル産業へ参入

アパレルが供給過多であることには間違いありません。今の問題はプロパープライスでいかに消化できるかです。どこの企業も苦戦しています。プロパーで売れない理由のひとつは、消費者のお金の使い方が変わってきたことにあります。たとえば、お財布に給与の30万円が入っていたとして、その30万円の中から洋服代にどのくらい使うかというと、昔とは金額がまったく違ってきています。今は、洋服をネットサービスなどを利用して借りたりできますし、洋服に使っていたお金を、体験やエンターテイメント、または学びや趣味、外食に使う人も増えています。それにともなって、ファッション業界も競合として他ブランドではなく他業界を意識するようになってきました。例を挙げると、ストライプインターナショナルがホテル併設型店舗「ホテル コエ」をオープンしたり、ユナイテッドアローズやベイクルーズはそれぞれリノベーション企業と協業するなど、ファッションで培ったセンスを生かした空間作りの提案に力を注いでいます。

4.ラグジュアリーブランドもECで買う時代に

アマゾンや楽天でモノを買うという行為は当たり前になりましたが、2017年はラグジュアリーブランドをECで買うことも一般的になったと言えます。ルイ・ヴィトンやグッチなどは、EC事業がとても好調で、人材も増やしています。さらに「ファーフェッチ」や「ユークス」といったラグジュアリーブランドを取り扱うアパレルECサイトも売上を伸ばしています。今後、ますますECサイトでブランドを購入する動きが盛んになるでしょう。

そして、ECサイトでありながら、パーソナルでスペシャルなサービスに力を入れている企業が増えてきたことにも注目しています。これは求人動向でも実感しており、EC部門の中でもお客様と接する職種の求人がとても多く見られます。お客様に向けて特別な日にプレゼントを贈るというサービスをEC上で展開したり、これまでショップスタッフが実店舗で提供していたようなサービスを、EC上でも提供する時代になりました。日中は仕事でなかなか店舗に行けない人や、何かと注目の的になりすやい芸能人などに需要があるそうです。実際、ECを入り口にして顧客獲得を広げるという動きも始まっています。購入履歴を元に、オススメの商品をメールや電話で案内するというものですが、求められる人材としては、実店舗でお客様、特に富裕層を対象に接客を行い、高いカスタマーサービスを提供してきた経験。それに加えて、いろんなブランドに精通し、お客様ひとり一人に合ったファッションを自ら提案できるスキルが重要になるのではないでしょうか。

5.ケイト・スペード ニューヨークとコーチがM&Aで統合

2017年5月、ケイト・スペード ニューヨークとコーチがM&Aで統合し、タペストリーとなったことも興味深いトピックでした。これまで両社のような競合同士が統合するといったケースはあまり見られませんでした。今後この統合が、ファッション業界にどんなインパクトを与えるのか、シナジー効果で売上を伸ばしていくのか、商品構成がどう変化していくのか、また人材面にもどのような変化をもたらすかが注目です。ケイト・スペードは買収された側ですが、昇進する人もいるでしょうし、様々な動きが出てくると思われます。この統合による影響が、2018年のファッション業界にとってひとつのベンチマークになるのではと考えています。

6.東京ベースの株価が急上昇

日本のファッション業界に元気がないと言われて久しいですが、特にセレクトショップは現在苦戦中です。そんな中、UNITED TOKYOなどを運営する東京ベースの株価が昨年一年でとても上昇しました。1年での株価上昇率がランキングでトップテンに入るほどの高成長で、株式市場の中でアパレル企業が評価された良いニュースだと感じました。ファーストリテイリングやスタートトゥデイなども健闘していますし、東京ベースもアジアにおけるLVMHのようになっていくのではと言われています。ですが、こういった企業がもう数社出てこなければ日本のファッション業界は厳しい状況が続くのではと思います。

2018年のファッション業界はどうなる?

◎米国の小売店舗減少の影響

アメリカでは小売店舗の減少が深刻化しているとメディアで騒がれています。3,600店舗が2018年中にクローズするとも言われています。もちろん中にはアパレル企業も含まれており、ギャップは20店舗、マイケル・コースも50店舗閉鎖することが予定されています。アメリカが今直面している問題は、日本でも2018〜9年にかけて直面する問題ではないかと感じています。

◎ファッション業界のイノベーション

ファッションは着るものですから、基本的にイノベーションが起こりづらく、スマートフォンや家電のような革新的な商品がなかなか出てきません。ただ、ゾゾタウンを運営するスタートトゥデイが開発した採寸ボディスーツ「ゾゾスーツ」はグローバルに展開する可能性を秘めています。こういったイノベーションは、今後日本のファッションビジネスに必要な要素だと感じます。

◎顧客満足だけでなく、従業員満足度をアップ

これまでは企業のミッションとして、売上達成や顧客満足度の向上といったことが重視されてきましたが、これからは従業員満足度の向上というのも重要になってきます。アパレル企業の多くは、正規社員への雇用やインセンティブアップなどを従業員のモチベーションを上げるための施策として打ち出してきました。ですが、2018年はこれまで以上に従業員のことを考えた働き方改革が多くの企業で展開されるでしょう。実際、人材を紹介する立場としては、今の求人ニーズは悪くありません。2018年のスタートとしては順調と言えます。

今回お話を聞かせてくれた方

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エーバルーンコンサルティング 代表 池松孝志

アメリカ留学時代に古着屋のディーラーを経験。国内の紹介会社を経て、2008年にエーバルーンコンサルティングを設立。主にエグゼクティブのサーチやM&A案件を担当。

 

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