4月25日(火)、IFIビジネス・スクール主催のストリートスタイルフォトグラファーシトウレイさんによるセミナー「シトウレイファッションセミナーvol.6」が行なわれました。シトウさんは、“ランウェイ周り、つまりオフ・ランウェイのリアルトレンド、両方を見ると次のトレンドが見えてくる”という独自の審美眼で、コレクションに訪れる世界中のファッショニスタのスタイルを撮り続けています。
開催6回目となる今回は、2017年秋冬のパリコレ オフ・ランウェイについてキーワードで解説してくれました。
ランウェイとオフ・ランウェイ、両方見ることで分かる“答え”とは?
シトウさんはまず、オフ・ランウェイを見るべき理由について教えてくれました。
「オフ・ランウェイを見ることで、2つの“答え”が見えてくると私は思います。1つ目は、ランウェイで提案された先の“答え”です。今パリには100以上のブランドが様々なトレンドを提案していますが、『じゃあ本当に人々は買っているのか?』ということが重要だと考えます。実際に消費者がお金を使っているものこそが“答え”であり、それが分かるのがオフ・ランウェイなのです。
2つ目は、昨今のデザイナー達が“次に見ているもの”が分かるということ。ここ数シーズン、ストリートクチュールという大きな流れが来ていて、ストリートの注目が増しています。デザイナー達がインスピレーションソースとしてストリートからどんなものを見ているのか、その“答え”もこのオフ・ランウェイにはあるのです」。
さらに、「両方を見ることで、ファッションの方向性をより精度を増して見ることができる」と、ランウェイとオフ・ランウェイ、両方を見る大切さも表現しました。
ストリートから見えてくるファッション・ビジネスのヒント
セミナーでは、シトウさんがファッションウィーク中に撮影したスナップの数々から次のトレンドの方向性を探っていきます。ストリートの着こなしからは、商品企画やMDなどの職種がすぐに取り入れられそうなアイテムや、販売職が接客に活かせるコーディネートなどが発表され、ページがめくられるたびに会場に多くのシャッター音が鳴り響きました。
終盤には質疑応答へと移り、会場に駆けつけた多くのファッション業界人からの質問にシトウさんが回答。その一部を抜粋します。
Q:シトウさんがストリートスナップ以外でインスピレーションを得るものとは?
A:「全てのものがインスピレーション源になっています。例えば、街を歩いていて建物の配色がきれいだなと思ったら、それを自分のワードローブに落とし込んでみる。服以外の風景やアートなど、目に映るものをファッションに置き換えてみると着こなしの幅も広がるのではと思います」。
Q:ファッション・ビジネスで有効なSNSツールとは?
A:「今は一番インスタグラムが有効だと思います。文字要素が多いものより、写真で見ることができるものの方がファッションとの親和性が高いです。海外ではすでにインスタグラムのストーリー機能を広告で使い始めている企業もいますが、日本でもこのストーリー機能を広告として活用する流れになっていくのではないでしょうか」
Q:ECサイトで高額なブランドアイテムをどのように実売に繋げていくべきか?アドバイスください。
A:「個人的には、アイテムの素材感やクオリティの部分をより見えるようにする必要があると思います。素材をズームアップできたり、視覚に訴えかけていくものが必要です。あとは、商品がどれくらいのサイズか、いかに分かりやすいかもポイントです。バッグなどは大体センチで表記されているものが多いですが、実際に自分のバッグが何センチかわかっている人は少ないと思います。例えば撮影の時に分かりやすく見せるために人の手で持って撮影したり、雑誌を一緒に写したりと、表現の工夫が必要だと思います」。
最後にシトウさんは、「スナップに出てくるようなチャレンジしがいのあるアイテムは売りにくいという声も多い。ショップの販売員さんは、ぜひ難しいと感じるアイテムを日常で取り入れやすくなるような提案をしてみてください」と締めくくりました。
販売職をはじめ、企画職やVMDなどファッション業界で働く上で多くのヒントになるシトウさんのストリートスナップは『STYLE from TOKYO』でも閲覧可能。ぜひ、オフランウェイをチェックしてみてはいかがでしょう。
Text&Photo:Mio Takahashi(Fashion HR)
今回お伺いしたところ
IFI ビジネス・スクール
ファッション・ビジネス界で活躍するプロフェッショナルを育てるファッション業界に特化したビジネススクール。ファッション業界を目指す人や業界で働く人々に向け、様々な講座や研修を行う。