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ファッション業界ウラ話

日本の企業、ブランドはどうすれば“こだわり”を生み出せるのか?−レクサス、ビームス、スノーピーク、能作のトップが語る早稲田大学ラグジュアリーブランディング研究所主催シンポジウム

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グローバルマインドを備えたビジネスリーダーの育成を目指す早稲田大学ビジネススクールの協力のもと、ブランディングの要となる“こだわり”について考察するシンポジウムを開催しました。

早稲田大学ラグジュアリーブランディング研究所 所長を務める長沢伸也教授による基調講演に続き、レクサス、ビームス、スノーピーク、能作、経済産業省、それぞれを代表するゲストとのパネルディスカッションが行われました。日本のブランドがグローバルレベルで成長するためには、どんなことが必要なのでしょう?

日本のものづくり企業が世界的ブランドに飛躍するために

第一部では、長沢教授が「ラグジュアリーブランドの要となる“こだわり”」と題した基調講演を行いました。

ものづくりへの“こだわり”が浸透してきたのはごく最近のことではないかと長沢教授は始めます。「現在ではブランドアイデンティティー、コア・コンピタンス、クレド(credo)、存在理由、組織文化、価値基準などと同意義として用いられるようになったといえるでしょう」。

また、海外のラグジュアリーブランドに目を向けると、「『エルメス』は馬、『ルイ・ヴィトン』は旅、など、ものづくりを超えた世界観にもこだわりがあるのに対して、日本のものづくり企業のこだわりはほとんど製品に限定している」と指摘。「日本の企業ももっと世界観、ストーリーを広げたほうがいいのではないか」という見解を述べました。

WBS長沢教授

エルメスやルイ・ヴィトンの他、欧州ラグジュアリーブランドはいわば地場・伝統企業。日本にも高い技術力を誇る伝統企業は多く存在するものの、欧州ラグジュアリーブランドと何が違うのか?長沢教授は、欧州ラグジュアリーブランドがどのようにして世界的に飛躍していったのか、その理由には3つの要素があるといいます。

「①理念、②実現力(技術力)、③実行力の組み合わせから成る“こだわり”を起点として、強いブランド力を構築したブランドが飛躍したと考えられる」。これをヒントに、日本の地場・伝統産業も強いブランド力を持ち、ラグジュアリーブランド化を目指すことで、クールジャパン戦略にもつながり、さらに内需拡大、外貨獲得を可能にするのではないかという考えを示しました。

日本の価値を発信している企業のトップが語る課題とは?

第二部では、日本から世界に向けて、商品とその価値を発信している企業4社と経済産業省、それぞれのゲストによるパネルディスカッションが繰り広げられました。

レクサスインターナショナルからはエグゼクティブ ヴァイス プレジデント・澤良宏さん、スノーピーク社長・山井太さん、能作社長・能作克治さん、ビームス副社長・遠藤恵司さん、そして経済産業省製造産業局 伝統工芸品産業室長の中内重則さんが登壇しました。

最初の議題は「世界から見た日本ブランドの見え方、強み」について。

「レクサスはまだまだ若いブランド。伝統的な車ブランドからみるとむしろ弱みだと思います。ただ弱みがあるということは常にチャレンジャーでいられるということ。彼らと違うことをすることによって、まだシェアは小さいけれど、違った価値観を提供できるのではないかと考えています。日本的ものづくりの価値やおもてなし、巧みの技、日本的デザインといったものを提供していきたい。むしろ同じ土俵で戦わないことが重要だと思う」とレクサスの澤さん。

レクサス澤氏

スノーピークの山井さんは、

「製品の品質という面ではメイドインジャパンは世界一だと自負しています。ただ、日本ブランドがラグジュアリーブランドとして認識されているかというとまだまだ控えめな企業が多い」。

山井社長

続いて、

「山井さんがおっしゃられた通り、日本のものづくりは間違いなく世界一。ただ何が足りないかというと、“作っている側の意識”だと思います。海外の人はそこまで技術力が高くなくても必ずひけらかすのに対し、日本の作り手は素晴らしい技術を持っているのにも関わらず謙遜してしまう。そうすると海外からすると本当に大したことのない製品に見えてしまう危険性がある」と能作さんは語ります。

パネルディスカッション

「マーケティングの世界では、4P(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)といいますが、プロダクトは抜群でもプロモーションが足りていないということなのですね」と長沢教授。

「日本の製品が素晴らしいのは、日本のお客様が素晴らしいから」とビームスの遠藤さん。「日本顧客が完成度の高いものを求めるから、作り手もそれに応える形でより素晴らしいものをプロデュースできる」という独自の見解を披露しました。

これを受けて、中内さんは「日本のものづくり企業の売り上げがピークだった昭和50年代(1975年〜)頃から現在は1/5となっているなかで、今日ご登壇されている方々のような強い発信力を持つリーダーが企業にいることが重要であると感じています」とお話しされました。

パネルディスカッション2

日本の企業、ブランドはどうすれば“こだわり”を生み出せるのか

さらに、「日本の企業、ブランドはどうすればこだわりを生み出せるか?」という議題に対し、

「こだわりを持つということは、それを好きであるということ。仕事、あるいは作っている作品を自分自身が大好きであるということ。そうするとそこにこだわりが生まれると思う。自分のやっていることは大したことではないと思っているようでは、その答えは出ないと思う。地方創生とはまさしくそこが問題なのです。住んでいるところ、作っているものを自分たちが素晴らしいと思えれば、みんなに言いたいわけじゃないですか?そういう環境づくりが実は日本には足りないんじゃないかと思っています。そうなるとこだわりはもっと生まれて素晴らしい製品にそれが反映されるのではないでしょうか」(能作さん)。

能作社長2

「こだわりというのは、まさにスパイラルだと思っています。まずは理念を整備する必要があります。理念に向かって、こだわりのものづくりを行っていく。こだわりのあるいいものができたら、理念に沿ってプロモーションをかけていく。常に理念を軸にレベルアップしていかないと世界が誇れるブランドにはなれないと思う。同じ技術を磨いているだけではいけないと思います」(澤さん)。

「日本の“こだわり”が世界を魅了する 〜2020年に向けて、日本の価値を考える〜」

ほか、外国人の来日がピークとなり、また日本の文化にもさらに注目が集まるであろう2020年に向けてどんな施策をするべきか、などの議論が繰り広げられました。

今回登壇されたのは、それぞれフィールドは異なるものの、独自のブランディング方法で世界市場に向けて価値を発信している企業ばかりでしたが、何を強みとしながらそのブランドに最も適した価値を創り出すのかについて真剣に取り組んでいる姿勢を目の当たりにし、多くの企業、ブランドがそれぞれの価値を見直す時期なのではと感じました。

Photo&Text : Fashion HR

今回お伺いした主催団体

nagasawazemi

早稲田大学ラグジュアリーブランディング研究所

革新的商品や他社には真似できない商品、高くても売れる商品、熱烈なファンのいる商品やブランドを対象として、他と違う商品づくりを絶えず試み、他との違いの本質を伝達し市場をリードすることによりブランドを如何に革新するか等のあり方について学際的に取り組んでいます。また、研究成果の発表、講義録を含む研究成果の出版等の事業を実施。併せて適宜これに関連する研究会・講演会・シンポジウムを開催する。特に、世界的ラグジュアリーブランドの経営者やデザイナーの来日時を捉えて積極的に開催。

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