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ニューヨークの百貨店トップ3に学ぶ!顧客の心を掴み続ける独走の裏側とは?

top「デパート」の定義をご存知ですか?

日本では、多種類の商品を各部門に分けて陳列販売する大経営の総合小売店のことをデパートと言います。厳密に言うと、従業者が常時50人以上かつ、売り場面積の50%以上が対面販売である業態のこと。

一方、アメリカの百貨店ではバラエティーに富んだグッズを販売している小売事業のことをデパートと呼び、衣服、アクセサリー、子供用、大人用、園芸用品、家庭用繊維製品、家電、キッチン用具、電化製品、食品などが含まれることとしており、日本に比べ、かなりざっくりと“アメリカ”らしく定義づけられています。

今年の7月、アメリカのコンサルタント会社が「ベストデパートトップ10」を発表しました。ベストデパートと題した記事は他にも山ほどありますが、何を基準にするかによって順位は変わってくるもの。しかし、どのランキングでも不動のトップ3として名を連ねているデパートがあります。

「TOP 10 NEW YORK DEPARTMENT STORES」ランキング

1位: バーグドルフグッドマン(Bergdorf Goodman)

2位: サックスフィフスアベニュー(Saks Fifth Avenue)

3位: ブルーミングデールズ ソーホー店(Bloomingdale’s in Soho)

4位: ブルーミングデールズ ミッドタウン店(Bloomingdale’s in Midtown)

5位: ロード&テーラー(Lord & Taylor)

6位: ヘンリーベンデル(Henri Bendel)

7位: メイシーズ (Macy’s)

8位: ノードストローム ラック(Nordstrom Rack in Union square)

9位: ノードストローム ラック(Nordstrom (Many locations)

10位:ニーマンマーカス (Neiman Marcus Last Call)

今回は、上記トップ3のデパートにフォーカスを当てて、その独走の裏側にヒントを見つけてみたいと思います。

ブルーミングデールズのSNS活用に学ぶ。時代の流れをキャッチせよ!

近年、コンテンツマーケティングという言葉がよく使われています。これは、見込客や既存顧客にとって役立つコンテンツを提供し広めていくことで、最終的に自社の利益につながる行動を起こさせる手法です。

この需要と供給のバランスをうまく活用することで、消費者はより多くの情報量を手に入れることができます。さらにここ数年では、ITを取り込んだ仕掛けに力を入れる企業も多く、どこよりも早く効率的なマーケティング方法を取り入れています。

例えば、近年最も早いスピードで急成長しているソーシャルネットワーク「snapchant(スナップチャット)」は、“ニューコンテンツマーケティング”と言われています。スナップチャットには現在約1億人のアクティブユーザーがおり、インスタグラムやピンタレスト、ツイッターを抜き、フェイスブックの次に人気があります。特に、スナップチャットはミレニアル世代と呼ばれる若者に多く利用されています。

ブルーミングデールズでマーケティング副部長を務めるジョナサン・ポール氏(Jonathan Paul)はウェブマガジンのマーケットランドで次のように語っていました。

snapchat

“私たちは昨年9月ファッションウィーク時期にスナップチャットをはじめました。これは私たちにとって、とても大きな挑戦でもありました。スナップチャットを始めたきっかけは、他の競合がやらないやり方で私たちのブランドをお客様に伝えることができるからという理由でした。

そして単純にブルーミングデールズにフィットするからでした。スナップチャットを通じて伝えるストーリーは偽りのない信頼性があり、誰のフィルターも通されていない、リアルタイムなライフスタイルチャンネルとも言えます。

さらに、スナップチャットは単なるアニメーションではなく、エネルギーとブランドの活動力をもたらします。言い換えると、私たちを忠実に表現してくれるツールであり、NYCとともにサポートしてくれています。ブランドの何気ないコメントや、リアルな裏話を伝えることが成功の秘訣になりました。

なにより大切なことはこの基盤になることで、お客様(スナップチャットユーザー)にお店のコンテンツを引き出してもらうのです。すると彼らは、そのコンテンツに関連のあること、更に自分たちがもつお店のイメージに加えて、自分たちのフォロワーや友人にシェアしてくれます。今現在、結果として、スナップチャットのフォローワーたちをお店に呼ぶ込む事に成功しています。”
−−Jonathan Paul

こだわりのロケーション選び。サックスフィフスアベニューの戦略とは?

現在国内に36店舗、アウトレット、国外を含めると136店舗という世界一のマンモスチェーンデパート、「サックスフィフスアベニュー」は、今もなお拡大に力を注いでいます。

今年の9月には、マンハッタンのダウンタウンのリバティストリート(*1)、さらに10月にはブルックリンのインダストリアルシティー(*2)内にアウトレットのオープンを予定しています。インダストリアルシティーといえば名前のとおり、以前は車の製造工場ばかりのイメージでしたが、ここ最近、サックスのような大型デべロッパーたちや、有名なブルックリンフリーマーケット(BROOKLYN FLEA MARKET)、ヴィンテージマーケットイベントのカーレントアフェア(A Current Affair)が目をつける穴場エリア。今回サックスがこのエリアを選んだのも、広さ約3000㎡と広大なスペースであることと、競合店がないことが決め手になったようです。

また、今年の4月にはテキサス州ハウストンに、The Galleriaのニューヨーク州以外の店舗に比べ2000㎡も広いスペースに出店しました。その広さ、なんと約10300㎡!

もともとこのエリアに常設であったサックスフィフスアベニューは、マンハッタン本店、ビバリーヒルズの次に売上を誇るロケーションでした。今回The Galleriaに移した理由もやはりスペース。このモールでは、375店舗以上のラグジュアリーブランドやレストランが集結しています。そのため店舗のレイアウトも広々と高級感溢れるデザインとなっており、訪れる人をリッチな気分にさせてくれます。

saks

ブルックリンとテキサスの例は極端ですが、このようにロケーションに合わせた商品の品揃えやレイアウトを意識し、店舗数を拡大することで確実にターゲットに合わせた戦略を行っています。

世界一の魔術師、バーグドルフグッドマンの“ディスプレイ・ドレッサー”

堂々1位に輝いたバーグドルフグッドマンは、何といってもディスプレイに注目せざるおえない有名百貨店。世界一のディスプレイと言われ、遠くからわざわざ足を運ぶ人がいるほど、“ランドマークデパートメント”としてその名を馳せています。バーグドルフグッドマンのディスプレイは、ただのウィンドーディスプレイではない、コンテンツマーケティングの1つになっており、彼らのディスプレイには常にストーリーが存在しているのです。

牽引するのはデイビッド・ホイ(David Hoey)というシニアディレクター。彼には約30名のチームメンバーがいて、毎年14日間のインスタレーションを作り上げる為に、3500時間/年を費やし(もちろんこれに加え、ホリデーシーズンでない通常時期のディスプレイ製作も同時進行します)、時には郊外にある数箇所のウェアハウスに数ヶ月こもり作業をします。

使用するリソースは膨大で、アンティークや非現実的なものをベースにし、チームメンバー以外に年間100人以上のクラフトマンに外注して製作するそうです。


window<2015 holiday window display>

“私達はウィンドーを創り上げるために数々の役割を同時にこなす。まるで、チームのほとんどがショービジネスに関わっているような感じだ。でも決して華やかではない。私達は、アクターではない。私達は、スタイリストであり、コメディーライターであり、プロップマスターだ。ウィンドーが完成し、お披露目する時には、まるで映画のプレミア試写会をしているような感覚だ。

一番の目標は、この私たちのショーが脚光を浴びること。オーディエンスにみてもらうために小さな努力も無駄にはできない。なぜなら歩行者が立ち止まるのは、本当に限られたわずかな一瞬だから。結局のところ、文化、ファッション、アートは一過性にすぎないから。私たちはコマーシャルアーティストなんだ。”−−David Hoey

今回挙げたトップ3の事例はデパートという箱だからこそできる、大きな強みと言えるでしょう。お堅いイメージの強い日本の百貨店と比べると、より時代の流れに敏感で、クイックであり、そして自由でクリエイティブな発想がある気もします。それぞれの良し悪しがありますが、いずれにしても百貨店の取り組みは、ビジネスが成功に繋がる沢山のヒントが隠されています。

日常の生活においても、視点を変えて見直してみることで、今まで見えなかったビジネス戦略のヒントが見つかるかもしれません。

 

 

Text : Haruka Sagoya / Edit:Mio Takahashi(Fashion HR)

(*1)Saks Fifth AvenueDOWNTOWN
225 LIBERTY STREET
New York, NY 10281646-343-6300
(*2)Saks Fifth Avenue OFF 5THBROOKLYN
830 3RD AVENUE
BROOKLYN, NY 11232

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