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“新たなプラットフォームとしてファッションを変えていく” STYLY八幡純和氏、パルコ林直孝氏、WIRED年吉聡太氏が語るVRの未来|Fashion VR Night レポート【後編】


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前編に続き、Psychic VR Lab八幡純和氏、株式会社パルコ林直孝氏、そして日本版WIRED副編集長・年吉聡太氏による「Fashion VR Night」パネルディスカッションの内容をレポートします。

前編はこちら>>

ポケモンGOを例に見る、VRで広がるビジネスチャンスとは

司会:VRは、すでにコンテンツを持っている既存業者以外は参入できないのではとの意見がありますが、いかがでしょうか。

八幡:僕が今準備を進めている「STYLY」はショッピングサイトなので、商品がないと成り立ちません。百貨店やファッションブランドに提供していただいて、どういったサービスができるかなということを今後議論していきたいと考えています。

林:パルコは、新しいことにチャレンジする人を応援したい、一緒に楽しいことをしたいという企業なので、ぜひ既存業者以外も参入して欲しいですね。ビジネスチャンスでいうと、少し話はずれますが、ポケモンGOがきっかけで、みんな外を歩くようになったといいますよね。でも中には、なんらかの事情で外を歩けない人もいて、その人たちの代わりに外を歩いてあげることで、歩けない人が家でヘッドセットをつけて体験できるといったことも可能になります。
こうした新しいニーズからも、十分ビジネスになるんじゃないかと思うんです。新しいものが出てくると、そうやってビジネスは必ず広がっていくと思うんですね。

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年吉:VRに限らずですが、何らかの新しいテクノロジーが出てきたときに、既存コンテンツを持っている人たちが必ずしもそれを使えるとは限らないですよね。ポケモンGOも、コンテンツとしては任天堂やポケモンカンパニーが持っていたものですが、一番儲けているのはおそらくナイアンティックですよね。同社はポケモンGOを出す前にイングレスというアプリをつくり、自分たちのテクノロジーを使って新たなプラットフォームを構築している。その上にポケモンのような大きいコンテンツを乗せることで、バーッとスケールが広がっていった。
ですから、必ずしも既存コンテンツを持っていたところが儲かるといったらそうではなくて。VRがこれからどうなっていくというのも、先んじて取り組むことで、ビジネスとして何かしらの可能性があるんじゃないかと思います。

八幡:プラットフォームという意味では、スマホの次のプラットフォームがVRといわれています。「STYLY」でいえば、ショッピングのプラットフォームとしてブランドさんに使っていただくことでマネタイズすることが考えられるわけですが、こうしたプラットフォームビジネスは、ファッションに限らずいろいろ出てくると思いますね。

林:接客という観点からいうと、今までは、接客できない夜の時間も、ネットを使えば、その時間帯にも販売できるということで当社では「カエルパルコ」などのECサイトの取り組みがありました。でも、パソコンやスマホの小さい画面の中でどこまでリアルに接客を受けられるかというと、そこには限界があって。次のステップとして、VRを活用した接客というのはものすごく説得力があると思います。

VR活用で考えられる新しいファッションの形

司会:接客のほかに、ファッション業界のこういったところで活用できそうだというものはありますか。

年吉:今は、広告キャンペーンにVRを活用することが多いように思います。

八幡:ルイ ヴィトンのS/Sのキャンペーンでは、「ファイナルファンタジーXIII」のキャラクターがモデルとして起用されました。僕にとって、これはすごく衝撃的でした。CGでつくったキャラクターが、CGでつくった服をまとっていて。そのCGでつくられた服が実際にルイ ヴィトンの服として販売されているわけです。これは、ファッション業界にとってもかなりセンセーショナルな出来事だったと思うんです。もはやモデルは、実際の人間なのか、ヴァーチャルなのか、関係なくなっているというか。同等に扱われているというのが衝撃的で、ファッションコンテンツとしても違和感なく成り立っているなあと。
そして、これはただの広告としては終わらないと思います。こうやってCGとしてつくられた服がファッションコンテンツとして成り立ち、VR上で普通にファッションとして扱われる、という未来がもうすぐそこにあると感じます。また、CGとしてつくられた服がVR上にあって、それが実際に服としてつくられて売られているということから、服のつくり方も変わっていくのではないかと思うんです。

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年吉:ファッションとは少しずれるのですが、Wikipediaの創業者がつくった「Wikia」というファンコミュニティーがあります。例えば、スターウォーズやスタートレックなどのSF映画にはファンがたくさんいますよね。製作者よりも作品を愛してやまないというファンもいたりして。そういうファンをカテゴリー別に束ねたプラットフォームなんですけども、マーケティング的な使い方をしているんですね。
例えばスタートレックの新作でまだ完成していないものをコミュニティのファンに見せて、意見を吸い上げフィードバックして作品づくりに活かすといったように。ファッションで、そういった物づくりができないかということを考えてみると、服は実際に着てみるという体験をしないとフィードバックできないですよね。そこでVRがうまく使えるのではないかと。顧客の意見を吸い上げるという形で活用できるのではないかと思いますね。

“実際にモノがあるのかないのかより、どう感じるかこそがVRの本質”

八幡:「STYLY」では、ファッションブランドの世界観をダイレクトにVR上で表現するということに主軸を置いています、ファッションで大事なのは、イメージや世界観だと思っているので。そのイメージも単に広告としてのイメージではなく、皆さんがそのブランドに対して持つイメージですね。
例えばユニクロですと、安くてコスパが良くて着心地が良い、というイメージを多くの方が持っていると思うので、それを表現しよう、となりますし。

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結局は、受け止める側がどう思うかが非常に大事で、まさにVRってそういうことなんだと。VRって、教科書的に説明すると、「人間の五感を刺激して、姿かたちは現実のものではないけれどもあたかも現実と感じられるものをつくり出す技術」ということなんですね。実際にモノがあるのかないのかは関係なく、人間がどう感じるかこそがVRの本質なんだと思っています。

司会:今後、VRがどのように進化し、ファッションやビジネス、そして私たちの日々の生活に影響を与えていくのか。イメージという抽象的な概念がリアルに具現化されて体感できるという世界はそう遠い未来の話ではないのかもしれないと、今回話を聞かせていただく中で感じました。そして、コンテンツとしてだけではなく、VRがファッション業界の新たなプラットフォームとなり、これまでにないサービスやビジネスモデルを展開していく可能性が強く感じられます。これから、ますます注目度が上がるであろうVRから目が離せません。

 

パネルディスカッション終了後には、会場に準備されたVR体験ができるコーナーに多くの参加者が集い、イベントは大盛況となりました。会場の盛り上がりに、今後のファッションとVRの可能性を強く感じる素晴らしいイベントでした。

今回お伺いした主催団体

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Bridge of Fashion

「ファッションに携わる人や業界を繋げる場を作る」をコンセプトにファッション業界に関わってきた4人で結成された任意団体です。各々がファッション業界に関わっていく中で 「ファッション業界が他の業界の人々と触れ、知る機会が少ない」という問題意識を持ち、その問題を自らの手で解決するため、定期的にファッション業界の方々を集め、今話題になっている業界やファッション業界にメリットをもたらしうるような業界の人々を繋げる場を提供しています。

text : Lina Ono(Rhythmoon) / edit&photo:Mio Takahashi(Fashion HR)

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