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海外のファッション業界インターンシップ事情【ワークスタイル from N.Y】

日本で過ごすおよそ半年分がここでの3ヶ月分に相当するほど、目まぐるしいスピードで進んでいくニューヨーク。数多くの移民が共存し、お互いのカルチャーを共有しながら、“ニュー・ニューヨーク”が日々創り出されています。“自分”を主張することが大切なこの土地では、日本で美徳とされる“人を気遣う思いやり精神”が、時に裏目に出ることもあります。弱肉強食の実力個人主義が厳しい反面、不可能を可能にするチャンスに出会える魅力も沢山あるニューヨーク。

今回の「WORKSTYLE from N.Y」では、そんなニューヨークのインターンシップ事情についてご紹介します。
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アメリカのスクールでは“優れた社長になるための教育”をしている?!

日本の教育においては、グループ行動が大きな要素になっています。例えば、私が卒業した服飾専門学校を例に挙げると、毎年開催される文化祭では、全校生徒が力を合わせてファッションショーを創りあげます。個人のデザイナーは存在せずに、各々が各パートに所属し、文化祭に向けて約3ヶ月ほどチームで活動します。運営企画となる中心のメンバーは半年前から準備を始め、多忙を極めると終電で帰ることは当たり前でしたが、終わったときの達成感はかけがえのない、一生忘れられない糧となりました。

ところが、これは海外ではあまり一般的ではない発想。極端な話、根本的に日本では「優れた従業員になるための教育」を受けるのに対して、アメリカでは「優れた社長になるための教育」を受けるのです。つまり、一般的にアメリカの競争社会の中で育つ学生は“数字に表れる評価”が何より大切で、さらにはルックス、人脈、スキル、全てのレベルを上げることで「成功」につながると考えられています。そのため、この論理で考えると、全員が全員という訳ではないですが、クレジットが載らない、自分のやりたいことを100%表現できない「グループ活動」に注力することに疑問を感じてしまうのです。

学生のうちからファッション業界で成功するための秘訣

海外のファッションスクールでは、“インターンシップ”が就学中の最も重要な要素とされています。在学中に自らインターンシップの受け入れ企業を探し、その会社で一定期間働きます。これは授業の一部に組み込まれたカリキュラムの1つになっており、このクレジットを卒業単位にあてます。

「リンクトイン(Linkedin)」をご存知でしょうか?これは、2003年5月にサービスを開始した世界最大級のビジネスに特化したツールで、facebookのように個人の写真を投稿したりゲームアプリのような機能はなく、自分の職歴プロフィールはもちろん、自分が興味のある記事をアップしたり、自分の興味がある人、企業、ブランドをフォローしてSNS上でビジネスコネクション(言わばfacebookでいう友達)を増やしていくもので、求人に応募したり、企業が募集を出したり、ヘッドハンティングなどを行うことができます。現在4億人のユーザーのうち、4千万人は学生が使用しています。

photo今年4月に新しく「リンクトイン スチューデンツ(LinkedIn Students)」という学生向けサービスのアプリが配信されました。これは就職先やインターン先を探している大学生向けに作られたもので、学校や専攻、卒業時期などを設定し、恋人探し出会い系アプリ「ティンダー」のように右に“興味有り”左に“興味なし”といった具合に、画面をスライドして興味のある企業を探すことができます。現在はまだ、アメリカのiOS and Androidユーザーの学生のみの対応ですが、徐々に使用可能ユーザーを拡大していくつもりだとCNBCに話しています。

言うまでもなく海外の学生の仕事に対する意識は高く、特にファッション業界ともなると、スキルやコネクションだけでなく、自分へのファッション感度、知識も当然のごとく最重要ポイントと並ぶくらいの必須事項になってきます。映画に出てくる「マイ・インターン」のオフィスのワンシーンはとても分かりやすい例ですね。また、bloombergの記事では次の様に書かれています。

−−「インターンシップ(という経験)は今日、必要不可欠な要素になってきている。それは、単純にこの経済状況の中で“即戦力”というものは非常に重要視されていて、学校では企業が求めるものを教えてくれない。“学位より実経験”は自分の能力を示す証になっている。方や一方で、インターンシップ先から実際のオファーを受けるのにもハードルが上がってきている」

インターンシップのハードルがあがった理由とは?

昨年、双子のオルセン姉妹が手がけるブランド「The ROW(ザ・ロウ)」がCFDA(The Council of Fashion Designers of America )を受賞し、ファッション業界を騒がしていた最中、無給で雇われていたインターンに起訴されるということが起きました。当事者によると、2012年夏4ヶ月間フルタイムワーカーと同等で働いたのにもかかわらず、報酬はもちろん、学校のクレジットももらえなかったとのこと。仕事内容は、掃除、コピー取り、個人の雑用、また、20kg以上あるトレンチコートを真夏の炎天下の中に運んだりと過酷な重労働を強いられており、過去にも同ブランドでは無給インターンを新卒レベルの社員として社員登録処理をしていたことがあったそうです。この件が引き金となり、その他大手のラグジュアリーブランドも摘発されました。

このように、経験を積みたいインターン生の意思を企業が逆手にとるケースも発生しており、実際に私もニューヨークで同様の体験をしたことがあります。この問題を即座に深刻に受け止めたCFDAとNYCEDC(the New York City Economic Development Corporation)は、大手企業(以下参照)に呼びかけ、選考された100人のファッション学生(高校生を含む)に向けた有給サマーインターンシッププログラムを立ち上げました。条件は6ヶ月スパンで週に25時間程度で、4月に募集をかけ7月からプログラムスタートとなる。また、参加企業は30時間ほどの教育トレーニングプログラムを受ける必要があり、現在も加盟企業を増やし続けています。

【加盟企業】

3.1 Phillip Lim, Alice + Olivia, CFDA, Coach, David Wolfson & Associates, Inc., Design Incubator Inc., Designers & Agents, Diane von Furstenberg, J.Crew, Haskell Jewels, K/ller Collection, Kate Spade & Company, Krupp Group, Lulu Frost, Maison De Mode, Melissa Joy Manning, New York Embroidery Studio, Nicholas K, Opening Ceremony, Rachel Comey, Timo Weiland, Tommy Hilfiger

2016年サマーインターンシップ in NEWYORK

それでは上記以外で、どんなインターンシップがあるのか?今現在2016年アメリカでサマーインターンシップを募集している企業をいくつか調べてみました。

Marc Jacobs(マーク ジェイコブス)・・・人事

<条件>
• 大学1年以上
• 最低週2日以上
• 他社(同等の分野)の推薦状があれば尚良し
• エクセル、ワード、パワーポイントに堪能な方

Michael Kors(マイケル コース) ・・・ニットデザイン

<条件>
• 週4,5日(9am-6pm)以上
• エクセル、ワード、フォトショップが堪能な方
• 同等のインターン経験がある方
• 販売経験があれば尚可
• ニットのデザイン経験があれば尚可
• マルチタスクをこなせる方
• やる気があり、優れたオーガナイズ力がある方

Donna Karan (ダナ キャラン)−マーケティングアドバタイジング

<条件>
• エクセル、ワード、パワーポイントが堪能な方
• コミュニケーション、メディア、ファッションビジネスを専攻している方
• 優れたコミュニケーション能力かつ細部にまで目が行き届く方
• 問題を即座に柔軟な視点で解決できる方
• 早いペースで仕事をこなせるかた
• フォトショップのスキルがあれば尚良し
• 将来この分野で働きたい方

Salvatore Ferragamo (サルヴァトーレ フェラガモ)・・・プレス

<条件>
• 最低4ヶ月以上、週2日以上可能な方
• プロアクティブで早いペースかつチームワークで働ける方
• エクセル必須

Steven Alan(スティーブン アラン)・・・ショールーム

<条件>
• 3ヶ月ピリオド、週2〜4日可能な方
• ファッションに強い関心がある方
• 優れたパソコンのスキル、細かいところに気がつく方

その他セレクトショップetc

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参考:Creatures of Comfort

近頃ではインスタグラムを使ったインターンシップ募集も増加。

(※全て2016年時点でのアメリカでの募集です)

ファッション業界で勝ち抜いていくことは、容易いことではないですが、決して無謀なことでもありません。むしろ誰にでもチャンスはあり、それをチャンスと思うか思わないかは自分次第。自分には何も取り柄が無いと思っていても、自信を持って挑戦し続けることがとても大切。その一歩が踏み出せたら、経験は自分のスキルを証明するものになります。

その過程には時に運も必要かもしれないし、無給だとしたら経済的な余力も必要かもしれません。けれど、自分の目標に向かうためにどんな経験やコネクションが必要なのか、自分の将来設計図をしっかり描けたら、思い切って企業のドアを叩いてみてはいかがでしょう!

Text : Haruka Sagoya / Edit:Mio Takahashi(Fashion HR)

 

 

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