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“少ない給料、苦しい生活よりも私が大事にしていたこと”|【外資系ブランド販売員Mさんの転職経験談】

ファッション業界を目指す方のなかにはブランドへの憧れから入社を決意する方も多くいます。しかし、憧れだけで活躍のポジションを見つけることができず、業界を離れてしまう方も一方では少なくありません。

Fashion HRが様々な転職経験者に聞く“経験談”からは、一見華やかに見えるファッション業界で働く人々の苦悩や努力のストーリーを垣間見ることができます。これから業界を目指す方は、ぜひ憧れの部分だけでなく彼らの経験談も覗いてみてはいかがでしょう。

今回の転職経験者は、20代で上京し新入社員として外資系某ブランドで働いてきたMさん(26歳)。

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20代で上京しファッション業界へ。憧れと現実で見たもの

−東北出身とのことですが、肌がきれいですね。

ありがとうございます(笑)。大学まで地元の東北にいて、その頃からアパレルで働きたくて東京で就活をしました。当時は、面接のために深夜バスで往復したり、面接するブランドごとに服を新調して、まさに就活貧乏でした。それでも東京に行くのが楽しみで、仕事が決まり上京するときにはすごくワクワクしました。

−どのあたりの企業を受けたんですか?

大手外資系ラグジュアリーブランドと百貨店、デザイナーズブランドなど面接を受けたのが全部で6社です。そのなかで唯一内定が決まったのが前職の外資系ブランドでした。6社のなかで一番初めに面接を受けた企業だったんですが、今思えば、自分を取り繕わずにありのままで面接に挑んだことが良かったのかもしれません。

−念願叶って入社後、目標にしていたことは?

実は私、入社式で「トップセールスになります!」って公言したんです(笑)。その会社では、トップセールスの人が海外研修に行ける制度があって、とにかくそれを目指しました。でも実際に働いてみるとイメージと異なる部分が沢山あって、「ただ売るだけではトップセールスになれないんだ」と痛感したんです。雑誌でよく見てたアイコンバッグ以外にも沢山のアイテムがありましたし、イメージ以上にご年配の顧客様が多かったり…。とにかく最初はギャップの連続でした。

がむしゃらにやって、半年頃から接客がすごく楽しくなって、販売が大好きになりました。他のスタッフが嫌がる個人売上ノルマも、達成することが楽しかったです。どんどん売る意欲が増えて、研修意外に自ら競合店をリサーチして接客を学んだり、教本から知識を得たり、一生懸命でした。

少ない給料、苦しい生活以上に大事にしたかったこととは?

−初めての上京、一人暮らしでの社会人生活は大変でしたね。

入社のときに聞いていたのが“初任給手取り17万円”だったんですけど、業績賞与やインセンティブがあるから安心してたんです。今まで実家暮らしだったので、一人暮らしにどれくらいお金がかかるかも知らず、特に問題ないと軽く思っていたんですよね。

そしたら、入社してすぐ会社が業績不振に陥り人事評価制度が変更されてしまったんです。それまで業績賞与が年2回あったのに、私が入社してからは1回になってしまって、それも10万円超えるか超えないかの金額でした。

−生活はしていけたんですか?

かなり稀なケースですが、本当に苦しかったです。2年目は生きるのに精一杯で、家賃も1回払えなくなりました(笑)。当時は、2枚クレジットカードを持っていて、ひたすらキャッシングもしてましたし、買い物は全てリボ払い。仕事では制服があったので、社販する必要はなかったんですけど、他店舗で勉強のために接客を受けているうちに思わず買ってしまったり、接客を学ぶために高級ホテルのラウンジでサービスを受けたり…。さらに最低限の身だしなみを保つためのネイルケアやヘアケアも毎月費用がかかります。周りのスタッフはやっぱり実家暮らしの人が多かったです。

それでも会社の人間関係にすごく恵まれていて、本社の社員の方や店長がいつも食事に連れて行ってくれたり、厳しい一人暮らしの支えになってくれていたんです。だから、大変でも続けてこられたという部分もあるんですよね。

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−当時、Mさんのなかでお金よりも大切にしたかったことってどんなことだったんですか?

やっぱり一番は、本社の社員の方や店長など、恩返しをしたい人たちが沢山いたからです。それに、顧客様のことを考えたとき、辞めるという決断まではなかなか行き着きませんでした。私に会いに来てくださるお客様がいるだけでもお金以上の喜びがありましたし。

本音をいうと、若かったのもあると思います(笑)。販売員としてお店に立ち、常にトレンドの先端にいられることもやりがいでしたし、エネルギーが溢れている年齢ですから「会社を良くしたい!」という熱い想いでとにかく突き進んでいました。

−お金よりも仕事で得られる満足感の方が大きかったんですね。

そうですね。でも、さすがに生活するためには給与面を改善してもらいたいと思って、入社2年目のトップセールスになったタイミングで少しずつ転職を考えはじめました。けど、転職するにしても何か会社に貢献したいと思って、取締役にたった1人でかけあったことがあります。今思えばすごい行動ですけど、店長にお願いしてセッティングしてもらったんです。伝えたいことは伝えましたけど、そう簡単に会社を変えることはできないですから、本格的に転職を考え、今の仕事に就きました。

“存在意義を感じられる販売職に誇りをもっています。”

−転職したからこそ分かったことはどんなことでした?

同じ頃に転職した人は、ほとんど大手外資系企業に転職しました。安定している点ではとても良い反面、あそこまで人間関係が良い会社はないと漏らす人も多いです。今でも前職の人たちに会うことがありますが、あの辛かった頃があるからこそ一生続く皆との関係を築けたんだと思います。

−大変でも販売職を辞めなかったMさんが思う販売員の魅力は?

大変な経験をしたからこそ、販売員という仕事の魅力を再認識することができました。世の中的にみても、決して給与が高い業種ではないですが、一人ひとりのお客様とファッションを通じて他にはない密接な関係が築ける仕事って素晴らしいと思うんです。自分の存在意義を感じられる販売員の仕事を私は誇りに思っています。だからこそ、今後より業界全体の販売員の地位が変化していってほしいと願っています。

−ありがとうございました!

 

Mさんは現在、別の外資系ブランドで副店長として活躍されています。あの頃に苦しい経験をしたからこそ、ファッションに対する情熱や販売員の本来の魅力に気付けたと、熱く語ってくださいました。少しずつ販売員の働く環境が整いはじめている今の時代、これから企業に求められるものは、“安定”と“やりがい”、両方のバランスなのかもしれません。

 

 

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