HACKETT LONDON(ハケット ロンドン)のインタビュー
INTERVIEWインタビュー
1983年、メンズのヴィンテージクローズに造詣の深い創業者のジェレミー・ハケットにより、ロンドンに誕生したメンズブランド、ハケット ロンドン。オーセンティックなイギリスのテーラリングと、クラシックに固執しないモダンな感覚がミックスされた商品は、紳士のための「Essential British Kit - エッセンシャル・ブリティッシュ・キット」として、イギリスのみならず、クオリティとスタイルにこだわる世界中の男性に愛用されています。
今回はセールスマネージャーの大西さんとマーチャンダイザーの鶴田さんのお二人に、ブランドの歴史や魅力、拡大していくハケット ジャパンの展望についてお伺いしてきました。
ヴィンテージショップとして誕生したハケット ロンドン
―︎ブランドの歴史について教えてください。
大西:ハケット ロンドンはヴィンテージショップとして、1983年にロンドンのニューキングスロードにオープンしました。ハケットで取り扱う英国らしいヴィンテージに触れるため、各国の名だたるデザイナーが足を運び、日本のセレクトショップもイギリス出張のたびに通っていたそうです。実は80年代後半、日本に一度上陸しており、ライセンス商品を中心に直営店も経営していたのですが、契約満了の97年にいったんライセンスビジネスを仕切り直すことになり、日本からは撤退していました。
―︎ハケット氏は若くしてヴィンテージショップを立ち上げ、数年後には日本でもビジネスをスタートさせていたんですね。
鶴田:ハケット ロンドンができる前、創業者のジェレミー・ハケットはビスポークで作られたイギリスの古着を自分で手直しし、毎週末、ワゴンいっぱいに積んで船でフランスの蚤の市に持って行っていたそうで、フランスでも評判になっていたそうです。ですので、サヴィルロウ育ちのサラブレッドというより、古着やリメイクなどミックス感覚を持ちあわせています。それがハケット ロンドンの“Essential British Kit”、つまり「昔のものだけに頼るのでない、モダンにアップデートされたブリティッシュ・ジェントルマンの必須ワードローブ」という、ブランドのアイデンティティーにもつながっているのです。
大西:当時の資料によれば、ハケット ロンドンを立ち上げて2年目くらいにはオリジナルアイテムを作り始めたそうです。私は80年代後半にはハケットファンとして、ハケットの服ばかり着ていましたね。ちょうどイタリアブランドのブームでしたが、もっとスノッブでシャープな、テーラードスーツの源流を探していくと必ず出合うのがハケットだったんです。
創業者の精神を受け継ぎ、2007年にハケット ジャパンが誕生
大西:ハケット ロンドンは、インショップも含めると全世界で150店舗ほど展開しています。改めて世界戦略を練る上で、2007年に日本にも本社100%出資にて再出店をしました。
鶴田:現在店舗は、ヴァルカナイズ・ロンドンの青山、丸の内、大阪、名古屋の4店舗、それから伊勢丹新宿店、越谷レイクタウンにアウトレットが1店舗の計6店舗になります。
2016年3月、銀座にアジア最大の旗艦店がオープン
―︎求職者にとっては、今後拡大していく企業と一緒に成長していけるという視点で、魅力的に映ると思います。来年の2016年3月には直営店がオープンするんですよね?
大西:銀座にアジア地区最大級の旗艦店がオープンします。規模としては100坪で2層、スタッフは7,8名配置する予定です。商品構成はフォーマルが3割、カジュアルが7割で考えています。フォーマルではメイド・トゥ・メジャーとして日本でオーダーできるものから、イギリスの工場に注文するいわゆるセミビスポークも提案したいと考えています。
―︎ではこれから、店長からテーラリストや販売スタッフまで必要になってくるんですね。求める人物像についてもお伺いできますか?
大西:まずはストアマネージャーについて、分析力、開発力のあるリーダー経験者以上の方を求めています。それからアシスタントマネージャーがカジュアル、フォーマル、それぞれのフロアで必要になります。カジュアルでは統率力はもちろん、販売力が高く情熱のある方、さらに欲を言えばヴィジュアルマーチャンダイジングを店舗担当として見られる方だといいですね。フォーマルに関しては、ブランドの魅力をお客様にお伝えいただきたいので、テーラードの経験があればなおありがたいです。
―︎ストアマネージャーはイギリスで研修も受けられるんですよね。
大西:入社前、1週間から10日程度、本国でのストアマネージャー研修があります。
鶴田:本国では各店の坪面積も売り上げもかなりの規模になってくるので、ぜひ本国の店舗マネジメントを体験していただきたい、という目的です。イギリスでは直営店の店長はビジネスユニットマネージャー並の責任を持っているので、店舗の運営コストから日割りの予算の割り振り、進捗の確認などをしつつ、MDとコミュニケーションを取っています。本国ではそれらのスキルがストアマネージャーのリクワイアメントになっているので、実地体験を通じて日本でも実践していただきたいと思います。
―︎ということは、研修では英語が必要になりますか?
大西:基本的にはそうですね。ただそこはバランスとして、英語よりも人柄や販売力・リーダーシップを優先したいと思っています。
鶴田:本国からテーラー担当を呼んで銀座店でイベントを開催することもあると思うので、少なくともコミュニケーション能力があり、あるいは英語を学ぶことに対して億劫でないことを条件にしたいですね。それから、日本の店舗も含め、売り上げレポートなども毎週必ず本国から流れてきます。
ロンドン旗艦店のフォーマルコーナー
本国のノウハウを学べ、クリエイティビティも試せるVMD
―︎店頭でのVMDについても教えてください。
鶴田:シーズンあるいは投入時期ごとに、本国から全世界に向けてVMDの指針が送られるので、各店では什器も含めてアジャストした上でウィンドウを作って報告します。既存店においても商品構成に関しては、MDと店頭のVMD担当がコミュニケーションをとっています。大きなメゾンの場合は本国から来たVMDをそのまま実現しないといけない、といった厳しいルールがありますが、ハケットの場合は大きなテーマをプロダクト単位に落とし込み、コーディネートを組んで世界観を各セクションで作っていきます。本国の指針を学びながら、ご自分のクリエイティビティも試せるのではないでしょうか。
―︎採用の時期としてはいつ頃をお考えですか?
採用は2月1日ですが、特にストアマネージャー・フロアマネージャーに関しては11月の末くらいには内定を出せたらと思っています。
少数精鋭につき、店頭で様々なことを吸収できる職場
―︎改めて、ご自身が数十年来のハケットロンドンのファンである大西さんにとって、ブランドの魅力とは何ですか?
大西:創業してからは30年強ですが、スーツをはじめメンズの原点となるブランドです。たとえばパンツの幅や裾といった細かなディテールについて、ハケット氏はよく「10,000着の服を見てきた上で統計的に言えば、長さはこのくらいがいい」と必ず経験に基づいた回答をするんですね。ファッションというよりもオーセンティックなメンズのスタイルを感じられ、また提案できるのが最大の魅力だと思います。
―︎続いて、MD的な観点からもぜひお願いします。
鶴田:たとえば今シーズンであればイギリス産のウール生地を紹介していて、イギリスの生地メーカーとの協業など、そういった取り組みが非常に強いですね。昔からある生地であってもモダンなスタイルにアップデートして、新しいイギリスの価値観を表現しています。同時に他業種とのパートナーシップも結んでいて、F1ウィリアムス マルティニ レーシングチームのオフィシャル・ユニフォームサプライヤーであり、サッカーのプレミアリーグ、チェルシーFCのスーツやジャケット、ポロ競技のブリティッシュ・ポロ・デーでのイギリス陸軍のユニフォームを公式に供給などもしています。
大西:なので、ウィリアム王子とヘンリー王子もお召しになったんですよ!
―︎最後に、ハケット ジャパンのアピールポイントとは何ですか?
大西:ジャパン社の組織がコンパクトなので、店頭にいながらも全てのことを把握できると思います。ただし本国の組織はしっかりしているので、自分自身を成長させたい、将来は経営に関わりたいと考える人にとって、店舗運営はもちろん、ブランド運営まで学べるというのは大きな魅力ではないでしょうか。また銀座店のオープンは会社にとっても重要な節目になるので、他の出店も臨みながら、一緒に第一線で活躍してもらえると思います。
現在は少数精鋭でブランド拡大、そして来春の銀座店オープンに向け邁進している大西さんと鶴田さん。イギリスの伝統を大切にしながらも進化を恐れないその価値観に共感できるという方は、このチャンスをぜひお見逃しなく。