H3O Fashion Bureau(エイチスリーオー ファッションビュロー)のインタビュー
INTERVIEWインタビュー
スタイリスト、そしてファッションジャーナリストとしてアジアのファッションシーンで活躍を遂げてきた、H3O Fashion bureauのディレクター、ジェイソンさん。ユニークなキャリアを持つジェイソンさんのこれまでや、前出の鈴木さんとの出会いや会社を立ち上げた経緯についてお聞きしました。
ファッションの世界での多岐にわたるキャリア
−まずはH3O Fashion bureau(以下、H3O)の新しいスタッフについてご紹介いただけますか?
ヴァレンティノのことだね。彼は今1歳。フルタイムでオフィスに来ているんだ。
−フルタイムの社員なんですね!
そう。僕たちはヴァレンティノをグッドラックドッグ(幸運の犬)と呼んでいるんだ。誰とでもすぐ打ち解けることができるし、人々をハッピーな気持ちにしてくれる。彼は不思議なパワーを持っている。彼がオフィスにいることですごくいい空気が生まれるんだ。まさにH3Oのアイコンなんだ。
−ではジェイソンさんご自身についてもプロフィールをお聞きできますか?日本に来たきっかけやなぜ日本でビジネスをスタートさせたのかについてお聞かせください。
僕はオーストラリアのシドニーで生まれ育ち、ティーンエイジャーの頃からずっとファッションの世界で生きていきたいと願ってきた。しかしオーストラリア国内だけではチャンスは少ないと感じてきたのも事実だ。大学在学中からオーストラリアのVOGUEで働き始め、ファッションジャーナリズムを極めたいと強く思った。そこで大学卒業とともにシンガポールに移り、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせたんだ。それが20年ほど前のことだね。
−当時のシンガポールのファッション業界の事情はいかがでしたか?
シンガポールに移住したのは1996年。まだ非常に新しい市場だったから、僕自身本当に多くの機会に恵まれたんだ。きっとオーストラリアに留まっていたり、ほかの大きな都市に移ったとしてもこんな経験をすることはできなかったはず。盛り上がりを見せつつあったシンガポールファッションのもとで、雑誌の編集、執筆、スタイリングなど、あらゆることを学んだ。現地では非常にメジャーとなった「Cream」という雑誌を立ち上げ、世界中で販売されるようになった。今ではトップフォトグラファーとして活躍するレスリー・キーとは、彼がこれほど有名になる前から一緒に仕事をして、素晴らしい作品を作ってきた。
その後、日本での仕事でスタイリングを担当することが増え、シンガポールと東京を行ったり来たりする生活が続いた。その頃、そろそろ日本に拠点を置こうと考え始めたんだ。ただ、最初はすごく大変だったよ。アジアのファッション界でトップレベルのクリエイションにずっと関わってきたにも関わらず、日本ではキャリアを最初からやり直さなければならなかったから。
デザイナーの友人たちの悩みからサービスをスタート
−その後なぜ日本で会社を立ち上げようと思ったんですか?また、鈴木さんと出会ったきっかけは?
僕を含めた創業者の3人はファッション関連のパーティで出会い、仲良くなったんだ。僕にはオーストラリアのデザイナーの友達が多いんだけれど、彼らはどうやって東京でPRをすればよいか悩んでいた。そういった色々な話を聞いているうちに、「これまでの経験を生かして自分たちで何かできるんじゃないか?」って思うようになったんだ。
−そして10年前に会社を立ち上げたのですね。その頃はまだ同じような会社はほかになかったのではないでしょうか。
当時はほかにない新しいタイプの会社として、たくさんの問題も立ちはだかっていた。日本にあるPR会社にオーストラリア人の僕がいるというだけでもすごく変わっている会社だと思われていた。
でもユニークであることはこの業界で生き残るために非常に大切なことだと思っていたし、僕自身スタイリストとしてのキャリアがあることで、PRとスタイリストそれぞれが何を必要としているのかがわかるから、このビジネスには確信があった。ただ、H3Oはブランドに対して特別で、ユニーク、そして業界の最先端となるサービスを提供することを掲げている。そのクオリティを保つことは非常に難しいことでもある。
常にトレンドの最先端であり続けるために必要なこと
−最先端であり続けるため秘訣とは?
常に新しいものを取り入れることをリスクとは感じていない。一番怖いのは、ほかの誰かがすでにやっているようなことをあえて自分たちがやること。トレンドの最先端であり続けるためにはリサーチがすべて。僕はリサーチに非常に多くの時間を費やしている。
−パリにもオフィスがあるのですよね?
パリのショールームでは、日本以外のほかの国へのセールスを行っている。今後ヒロ(鈴木裕人・ディレクター)と東京のチームはより日本でのビジネスに注力し、僕がパリのショールームや新規ブランドの獲得、ブランドへのコンサルティングなどに集中していくことになると思う。
−H3Oではどんな人材を求めていますか?
バイリンガルなショールームとして重視するのは、世界を意識して仕事ができるかどうか。英語が流暢でなくてもいい。ただ、世界を相手にどう仕事をするべきかを理解できるかは非常に重要だと思っている。日本には独特の仕事の進め方があるかもしれないが、世界にはもっと様々なやり方がある。そういう背景を理解できるグローバルマインドセットが大切だ。
−なるほど。さらに犬好きならより良いですね!
ヴァレンティノが同僚になるから犬アレルギーだと大変だね(笑)。
常にトレンドの先を行く新しいアイデアを提案し続けるジェイソンさん。ファッション業界に新しい流れを作り続けるキーパーソンは、非常にパワーに溢れていました。H3Oでのキャリアなら、世界を相手にファッションの仕事をすることの醍醐味を味わうことのできる貴重な経験を得られることでしょう。